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日経平均、なぜ高値に?2024年以降の新NISAで国内株は買うべき?

経済とお金のはなし 山下 耕太郎

日経平均、なぜ高値に?2024年以降の新NISAで国内株は買うべき?

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11月20日、日経平均株価は終値でバブル崩壊後の高値を一時上回りました。円安が進み外国人投資家の買いが増え、2024年からの新NISAによって個人投資家も国内株への関心を高めています。そして、2024年は日経平均株価の最高値3万8915円の更新があるのかどうかに注目です。この記事では、日本株が上昇している理由と、新NISAで日本株を買うべき理由について解説します。

11月の日経平均株価は2628円上昇

11月の日経平均株価は月間で2628円(約9%)上昇しました。月間で上昇したのは5カ月ぶりで、上げ幅は3年ぶりの大きさとなりました。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測の後退が背景にあり、ハイテク株の成長が世界的な株高につながったのです。また、日本企業の2023年4~9月期の決算が好調であったことも、上昇を支えました。そして、11月20日には7月3日につけた終値3万3753円を上回り、一時バブル崩壊後の最高値を付けました。

日経平均株価とは、東京証券取引所のプライム市場に上場している銘柄の中から、日本経済新聞社が選定した225社で構成される株価指数です。日本の株式市場の動きを把握するときの代表的な指標になっています。

日経平均株価の史上最高値は、1989年12月29日につけた38,915.87円です。日経平均株価は1990年のバブル崩壊以降低迷していましたが、2023年になって高値を狙える水準まで上昇してきているのです。

日本株が上昇している理由

日本株が上昇
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2023年になって日本株が上昇している理由の1つに、日本企業の構造的な変化や進展があります。きっかけは、東京証券取引所(東証)が上場企業に対して企業価値の増大と持続的な成長の達成を要請したことです。特に、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業に要請されました。

東証は、プライム市場とスタンダード市場に対し、PBRが継続的に1倍を割っている企業には、改善に向けた方針や取り組みの具体例、進捗状況の開示などを強く要請することを3月31日に明らかにしました。

出典:JPX「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

そもそもPBRとは何の指標なのでしょうか?PBRは企業の株価と1株あたりの純資産を比較する財務指標で、計算式は以下の通りです。

PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)

PBRが1倍を下回ると、市場の評価が企業の資産価値を下回っていることを示します。つまり、投資家が企業に対し、成長力や将来性に疑問を抱いていることを示しているのです。現在、多くの日本企業のPBRは1倍を割れているため、東証は企業に計画策定を要請し、改善に向けた計画の公表を要請したというわけです。今後は、新たな成長投資や、自社株買いや配当などの株主還元策によって株主リターンを高めることなどによる、評価の見直しが期待されます。

出典:「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表の公表等について

7月中旬時点でプライム市場の31%(379社)、スタンダード市場の14%(120社)が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する情報を開示しています。特に時価総額1000億円以上でPBRが1倍未満の企業は45%が開示しており、これらの取組みを評価した買いが、日経平均株価の上昇につながった一因になったと考えられています。

出典:「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表の公表等について

コロナショック後の経済再開とインバウンド

外国人観光客
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日本の株価上昇の理由は、PBRを高めるという東証の要請だけでなく、経済再開も要因となっています。日本はコロナ対策による入国規制期間が長期に及んだため、パンデミック後の経済再開が遅れをとる形となりました。しかし、2022年10月に外国人観光客の受け入れが再開され、インバウンド需要も回復しています。

観光庁の発表では、2023年10月の外国人延べ宿泊者数は1180万人となり、パンデミック前の2019年の水準を超えました。訪日外国人の増加により、旅行、レジャー、ホスピタリティ業界など、国内事業が中心の企業も恩恵を受けるようになり、株価上昇につながったのです。

新NISAで国内株を買うべき?

2024年から始まる新NISA(新しいNISA)で投資を始めようと考えている人もいるでしょう。新NISAでは非課税保有期間が無期限になり、年間投資枠も拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円)され、年間最大360万円まで投資が可能となります。

出典:金融庁「新しいNISA」

現在の「つみたてNISA」では米国株などの外国株の人気が高く、新NISAでもその傾向は続くと考えられます。たとえば、SBI証券の週間買付金額ランキング(11月20日~24日)は、以下の通りです。

1.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2.SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
3.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
4.SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド
5.インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)

出典:SBI証券

ただ、三菱アセット・ブレインズの調査では、10月末時点における国内株式の12カ月リターンは15.5%で、外国株式の8.6%を大きく上回っています。分散投資の観点では、外国株式だけでなく、国内株式を含めたポートフォリオを考えるべきです。

日経平均株価を対象にした「日経225ノーロードオープン」などのインデックスファンドもつみたてNISA(2024年以降のつみたて投資枠)の対象ファンドとなっているので、ポートフォリオの一環として検討してみるといいでしょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。