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赤ちゃん用品、値上げ率高騰で負担増!おむつ定期便など自治体支援も

経済とお金のはなし 織瀬 ゆり

赤ちゃん用品、値上げ率高騰で負担増!おむつ定期便など自治体支援も

【画像出典元】「Studio 888/Shutterstock.com」

インフレによる物価の上昇が続く中、一番家計に負担を感じているのは子育て中、とりわけ赤ちゃんを育てている世帯かもしれません。浜銀総合研究所によると、同社が独自に計算した「赤ちゃん物価指数」の上昇率は直近で過去最高のプラス6.9%を記録しており、消費者物価指数の2倍近い値となっています。

なぜそんなに赤ちゃん用品が高騰しているのでしょうか。今回の記事では赤ちゃん物価指数に見る昨今の値上がり状況と、子育て世帯の負担削減策の事例として福岡市が発表した「おむつと安心定期便」について取り上げてみました。

赤ちゃん用品の物価は消費者物価指数の2倍⁉

なにかと物価の高騰が続く昨今、浜銀総合研究所が独自に計算した「赤ちゃん物価指数」が話題になっています。赤ちゃん物価指数とは乳幼児を育てる世帯への影響を示した数値のことを指し、5月時点での赤ちゃん物価指数は前年同月比でプラス6.9%を記録しました。

出典:浜銀総合研究所 赤ちゃん物価指数

赤ちゃんにとって特に必要な「粉ミルク」「乳児服」「紙おむつ(乳幼児用)」のみに絞って計算した「赤ちゃん物価指数(おもちゃ除く)」についてもプラス6.0%と、赤ちゃん物価指数の作成に必要な統計が揃う1990年以降で最も高い伸び率を記録しています。

また、総務省が発表した全国消費者物価指数は5月時点でプラス3.2%となっており、赤ちゃん物価指数が倍以上の伸び率を記録していることは明らかです。

ベビー用品の値上がりラッシュ

続いて、同レポートより赤ちゃん物価の内訳品目の伸び率を見てみましょう。

出典:浜銀総合研究所 赤ちゃん物価指数

内訳品目の伸び率を見ると、粉ミルクや紙おむつといった赤ちゃんのお世話に欠かせない品目の上昇率が目立ちます。

実際、粉ミルク「ほほえみ」を販売している株式会社明治では2023年5月より乳幼児用粉ミルク16品目の7.8~8.0%の値上げを実施。2023年8月には粉ミルク「ぴゅあ」を販売する雪印メグミルク株式会社が乳幼児用粉ミルク4品目の価格を10月1日納品分から7.6~7.7%値上げすることを発表しています。

また、幅広いベビー用品を手がけていることで知られるピジョン株式会社も2023年9月1日受注分から、哺乳瓶やおむつ関連用品をはじめとしたベビー関連用品を2~22%値上げすることを発表しました。

値上げはベビー関連用品に限らず、食料品などにも及んでいることから、子育て中の世帯が感じる家計負担は数値以上であるといっても過言ではありません。また、今後もしばらく物価の上昇傾向は続くとみられており、国や自治体に対策を求める声も高まっています。

政令市初、福岡市がおむつ定期便をスタート

ぬいぐるみとおむつ
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子育て世帯の家計負担が増している現状を受け、福岡市では2023年8月1日から「おむつと安心定期便」をスタートすることを発表しました。政令市としては初となる取り組みで、福岡市内に住む0~3歳の誕生月までの子どもを育てる家庭を対象に、子育て世帯の負担軽減を目的としています。

具体的には専用サイトに登録後、子どもプラザや産後ヘルパーなど子育て関連施設やサービスを利用した際に受け取れる電子スタンプをサイト上で育児用品と交換する流れになっています。また、生後3ヶ月までは施設を利用せずとも専用サイトにあるアンケートに回答することで電子スタンプを取得可能です。

福岡市では他にも、第2子以降の保育料を親の年収や兄弟・姉妹の年齢に関係なく、すべての世帯で無償化することを発表しており、子育て世帯の負担軽減が期待できるでしょう。

自治体による支援には依然として大きな差が残る

今回記事で取り上げた福岡市以外に兵庫県加西市でも、全保育・学校施設の給食の無償化や生後3ヶ月から満1歳までの子供がいる世帯を対象におむつ等の無償化といった子育て支援を実施しています。その他にも、自治体独自の子育て支援策として割引クーポンの配布やタクシー代の助成等に取り組んでいるところも見受けられますが、自治体によって支援の内容に大きな差があることもまた事実です。

赤ちゃん物価指数が上昇している一方、児童手当は変わることがなく、大きな負担を感じながら子育てに励んでいる世帯も少なくありません。この状況を受け、国や自治体におむつや粉ミルクの現物支給をはじめとした早急な支援策が求められているといえるでしょう。