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年棒制の額はどうやって決まるの?ボーナスや残業代は無し?

ふやす 白浜 仁子

年棒制の額はどうやって決まるの?ボーナスや残業代は無し?

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皆さんの勤めている会社はどのような給与体系でしょうか。なかには年俸制の給与体系となっている企業もあるでしょう。この年棒制、月給制との違いは何でしょうか。今回は、年俸制が導入されている企業や職種の特徴、働く側にとってのメリットや注意点についてみていきましょう。

給与体系は大きく分けて4つある 

仕事を探すときには、求人票にある業務内容と同時に、「社員募集・月給〇万円」「アルバイト募集・時給〇円」という給与体系が気になるところ。この月給や時給は給与の計算単位で、主なものとして、時給制、日給制、月給制、年俸制の4つがあります。日本の会社員は月給制が大半ですが、中には、欧米に多い年俸制を採用している企業もあります。

年俸制を採り入れているのはどんな企業や職種?

年俸制と聞いて、まず頭に浮かぶのはプロ野球選手ではないでしょうか。年末が近づくと各メディアで年棒額について取り上げられているイメージがあるでしょう。年俸制を採り入れているのは、プロスポーツ選手の他に、外資系企業、システムエンジニアやプログラマーなどのIT系企業、研究職、デザイナーなどの専門職というケースが多いようです。また管理職のみ年俸制としている企業もあります。

年棒制の額はどうやって決まる?

札束を差し出す手
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年俸制は、勤続年数の長さに応じて昇給していくものではなく、1年ごとに業務への取り組みや実績を評価し、翌年の年俸に反映させるというものです。つまり、成果を上げれば翌年の年俸アップが期待できる一方、成果を残せなければ年俸は下がってしまいます。

また、年俸制というと、年に1度まとめて受け取るイメージがありますがそうではありません。労働基準法第24条において、賃金は月1回以上に分けて支払う必要があることが定められているため、年俸制も12分割され、毎月支払われます。

ボーナスや残業代は無し?

となると、年俸制はボーナスがないのではと思ってしまいますが、必ずしもそうではありません。先ほど、年俸制は12分割して月々支払われる、と言いましたが、中には給与12カ月、ボーナス2カ月の14等分で支払われることもあります。

それでは、残業代はどうなのでしょうか。年俸制は決まった年額を分割して受け取るため、残業代が付かないのでは、と思っている方もいるかもしれません。しかし、年俸制も月給制と同様に労働時間を超えて働く場合、残業代は別に支給されます。

しかし、年俸制では「みなし残業制(固定残業制)」を導入している企業が多く、その場合は、一定の残業代が最初から年俸に含まれます。つまり、一定の残業時間を超えた分だけ追加で支払われるということです。

年棒制のメリットとデメリット

メリットとデメリット
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企業側

企業側にとって年俸制のメリットは、1年間の支払総額が確定しているため、人件費が明確で事業計画が立てやすい点にあります。また、成果に合わせて人事評価をするため管理がしやすくなります。一方で、業績が悪くても事前に決まった額を支払う必要があります。月給制のように、給与を途中で見直すことができないため、その点は企業にとってのデメリットといえるでしょう。

従業員側

従業員にとっては、何と言っても勤務年数に関係なく、頑張り次第で高額の報酬が期待できることがメリットです。スキルアップをはかりながらキャリアを実現していきたい人には嬉しい働き方でしょう。

また、景気が悪くて業績が落ちた時でも、それに左右されず1年を通して安定した収入を得ることができます。つまりマネープランが立てやすいということです。デメリットとしては、成果を出せなかったら翌年の年俸が下がるというプレッシャーや、成果が出せずに年俸が下がった時のモチベーション維持が難しい点が挙げられます。

年棒制ゆえの問題点も

年功序列から、成果主義の時代への風潮を少しずつ感じる世の中ですが、年俸制が企業成長の足かせになる点もあり問題視されています。それは、1年という短期的な成果獲得に目を奪われ、3年、5年という中長期で取り組むべき企業の課題解決や、研究への取り組みに関心が持てなくなることです。

また、成果のみが第一優先になると、成果と関係のない業務からは距離を取り、同僚へのフォローなどに時間を割くことを避けてしまうという傾向もあるようです。

まとめ

今回は、年俸制についてみてきました。年功序列で終身雇用という従来の働き方だけでなく、欧米的な実力主義の雇用形態、他にも副業やプチ起業などといくつもの選択肢が増えています。今後はさらに、自身のワークプランやキャリアプランと向き合い、能動的な選択が求められる時代になりそうです。