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冷蔵庫もないミニマリストライフ、あなたは真似することができる?

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

冷蔵庫もないミニマリストライフ、あなたは真似することができる?

テレビも冷蔵庫も持たない? 必要最小限度のモノだけを持つミニマリスト

ライフプラン3.0の時代は、所有を前提としなくなるという話を前回、前々回としてきました。モノをたくさん持っていることが豊かさの証ではない、という考え方は少しずつ広まりをみせています。

これに関連して、最近よく耳にするキーワードのひとつに「ミニマリスト」という言葉があります。ミニマル、つまり最小限度のモノだけを所有し、生活を営む人たちです。

例えば
・服は数着しか持たない(シンプルでローコストのものを選ぶ)
・家具や家電品も最小限度しか持たない
・ノートパソコンとスマホ(タブレット)があればテレビはなくてもいい
・本や雑誌、コミックなどは買わない
・部屋はワンルームで十分

のようなライフスタイルです。

例えば、服をたくさんクローゼットに詰め込んで、ほとんど着ないのはスペース的にも予算的にもムダの多いライフスタイルです。ミニマリストは、ベーシックな服を数着持ってそれを繰り返し着ます。プラスアルファの効果として、服を選ぶ時間も節約できるという意見もあります。

徹底的にミニマリストを追求している人は「冷蔵庫も持たない」「カーテンも買わない」「部屋にはソファーも何もない」といった生活をする人もいるようです。

冷蔵庫を持たない、というのはミニマリストとして究極的な選択です。何せ冷蔵、冷凍して保存できないわけですから、飲み物も食べ物も、必要な分だけそのつど、お店で買って消費する、ということになります。

こんなライフスタイル、あなたはどう思われるでしょうか。マネできるでしょうか。

持つか持たないか、必要か必要でないか、当たり前を問い直してみる時代

多くの人は、極端なミニマリストを真似することは難しいと感じるでしょう。さすがにカーテンや冷蔵庫がない部屋では暮らせないからです。

しかし「モノが多すぎる」「ムダなモノをつい買ってしまう」と感じている人は多いはずです。ミニマリストについて考えることは、自分の消費スタイルを見つめ直すきっかけとなるかもしれません。

例えば、私自身はコレクター気質があるので、とてもミニマリストの生活をマネすることはできないと感じます。しかし、「読まなくなっている作品の続刊を積み上げるのはムダと割り切る」「電子書籍でいいならそれも選択肢とする」のように、部分的にミニマリストの考え方を参考にしています。

どこまでミニマリストを追求するかは人それぞれですが、シンプルライフと考えれば誰にも参考にする余地はあるはずです。まずは「不要なモノを減らす(捨てる)」「不要なモノを買わない」ということを意識してみるだけでも、日々の生活のゴチャゴチャは減ってくるのではないでしょうか。

先ほどの冷蔵庫を持たない生活というのも、一笑に付すこともできません。家庭内の電気消費のトップは冷蔵庫と言われます。経済産業省(資源エネルギー庁)のホームページでは、冷蔵庫が14.2%、照明器具が13.4%、テレビが8.9%となっており、冷蔵庫とテレビを使用しないスタイルのミニマリストはそれだけで2割以上の電気代節約ができることになります。

それに、買っても冷蔵庫に入りっぱなしで、調理しないまま傷ませて捨ててしまう野菜などは支出のムダでしかありません。近年社会問題となっているフードロスでもあります。

それなら、食材の費用が割高になっても、そのとき必要な食材だけを購入するほうが経済的に合理的という側面もあるわけです(それでもやはり「冷蔵庫なし」はなかなか難しいと思いますが)。

実はミニマリストこそ ”資産形成の基本”といえるかも

ところで、ミニマリストを「必要なモノだけを消費するライフスタイル」と考えたとき、これは合理的な家計消費行動ともいえます。

仕事で稼ぐことができるお金には限界がありますが、必要ではないモノを買わないことで、手元に残る資金を多くすることができるからです。

同じ稼ぎがあっても、ムダなものにほとんど変わってしまえばお金はまったく貯まりません。年収1000万円以上稼いでいても、貯金ゼロという人は実際にいますが、これは年収を増やせば貯められるとは限らない、という実例です。

(貯蓄額)=(収入額)−(支出額)

という単純すぎる式を最大化しようとすれば「支出額を減らす」ことを避けて通ることはできません。ミニマリストの消費アプローチは、貯蓄額を増やす方法でもあるわけです。

年収にかかわらず「本当に必要なモノを、必要な分だけ買える人」はお金が貯まります。

そして、収支のバランスが改善されることで実現した、貯蓄額の増加は、長い目で見て経済的な安定をあなたにもたらしてくれます。

ミニマリストのライフスタイル、無理のない範囲で参考にしてみよう

実家に帰省すると、何十年も前の日常生活道具がホコリをかぶっていることがあります。当時、「消費すること」「保有すること」が豊かさの象徴であったモノでも、今では価値を持たなくなっていることを見せつけてくれます。

「買わない」ライフスタイル、「必要なモノだけを買う」ライフスタイルは、一度やってみると大きな生活の見直しになるでしょう。

ミニマリストの中には「必要なものは、高級品を買ってもよい」という考え方を持つ人もいます。ノートパソコンや万年筆など、仕事や生活に欠かせないモノなら、安かろう悪かろうではなく、ちょっといいモノを買うことをためらわないというのも、きちんと節約をしている人は考えてみてもいいのです。

また、ミニマリストを追求しすぎて苦しくなるなら、自分にちょうどいい消費生活を整えればいいと思います。当たり前の消費スタイルを見直すきっかけとしてミニマリストの視点を参考にしてみてください。

このコラムを読み終えたら、試しに部屋の真ん中にたって、「どこまでなくしてもかまわないか」「どこまでは残しておきたいか」、ちょっと見回してみてください。もしかすると、毎日の生活が変わってくるかもしれません。