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夫婦で育休取って給与が減っても、意外と家計への影響は少ない?

ためる 白浜 仁子

夫婦で育休取って給与が減っても、意外と家計への影響は少ない?

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母親に比べて圧倒的に数が少ない男性(父親)の育休取得率。でも「父親ももっと子育てに関わりたい」という若い世代も増えています。しかし気になるのは収入面。夫婦で育休を取ったら収入が減って厳しいのでは…と考える人も多いでしょう。でも本当にそうでしょうか?夫婦が両方育休を取った場合のシミュレーションや意外と知らない助成金や給付金などの補助制度をお伝えします。

なぜ男性の育休取得が少ないのか

〇男性の育休取得率は約7%

厚生労働省が公表している「令和元年度 雇用均等基本調査」によると、平成29年10月1日から平成30年9月30日までの1年間に妻が出産したという家庭で、令和元年10月1日までに育休を取得した男性の割合は7.48%とのこと。違和感がない調査結果かと思いますが、一方で2020年は小泉進次郎環境大臣の育休取得が話題になるなど、男性の育児参加が唱えられるようになり今後も徐々に増えていくことが期待されています。

厚生労働省が公表している「令和元年度 雇用均等基本調査」

〇男性が育休を取得しない理由

ではなぜ男性の育休取得率は低いのでしょうか。

日本労働組合総連合会(連合)による「男性の家事・育児参加に関する実態調査2019」によると、男性が育休を取らない理由として次のことが挙げられています。

・職場で仕事の代替え要員がいない 47.3%
・収入が減る 36.6%
・男性が取得できる雰囲気が職場にない 32.2%
・仕事にブランクができる 13.9%
・男性が取得するものではないと思う 11.3%
・取得すると昇進・昇給に悪影響がでる 8.3%
・取得すると異動になる 2.7%
・上司に取得したら不利益を被ると言われた 2.0%
・上司に取得しない方が良いと言われた 1.8%   

日本労働組合総連合会「男性の家事・育児参加に関する実態調査2019」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20191008.pdf

中には育児休暇や時短勤務を希望する男性社員へのハラスメントであるパタニティ・ハラスメントに当たるものも含まれますが、全般に言えることは、まだ男性が育休を取得するための環境整備や風土作りが十分でないということではないでしょうか。

筆者が出産した20年ほど前、女性は結婚と同時に退職するという寿退社(死語ですね)が一般的で、結婚後も働き続け育休を取るのはごく一部でした。

ですが、前述の厚生労働省の調査にもありますように、今は女性の育休取得率は83%と高い水準になっています。筆者が出産前のご夫婦とライフプランを立てる時にも、育休を取ることを前提としたプランを希望されることが大半です。女性が仕事と育児とを両立するための環境が随分と浸透していると言えます。

男性の場合も、今は課題があるにせよ、今後は徐々に浸透していくものと思われます。ちなみに、男性の取得率は前回調査より1.32ポイント上昇しており、女性の0.8ポイント上昇に比べ勢いがあるようです。

〇男性が育休を取得するメリットは3つ

男性が育休を取るメリットは、大きく3つあると考えています。

1.    まず、産まれて間もない赤ちゃんと今しか経験できない貴重な時を刻めるということです。仕事でゆっくり家にいられないという男性も多いのではないでしょうか。

2.    メリットの2つ目は、男性が育休を取得することで、夫婦で家事や育児に取り組み、赤ちゃんを育てていくための環境作りができること、そして、夫婦間の絆を強め、家族愛を深めていくことができる点だと思います。女性にとっても、1人で何とかしなければという責任を分け合うことができ、パートナーを頼もしく感じることでしょう。

3.    最後は、夫が育休を取ることによって、妻もスムーズに職場復帰を果たし、育児と仕事の両立をできることではないかと思います。女性が仕事を続けるコツのひとつは、育児が女性任せのワンオペにならないことでもあります。夫婦で働くことができれば、ゆとりのあるマネープランを立てることもにも繫がりますし、2人目、3人目を考えやすくなるでしょう。

3つ目の話では、男性の育休は、共働き家庭だけにあるものという印象を与えてしまうかもしれません。男性の育休は、共働き家庭、専業主婦家庭など関係なく、会社員なら誰でも取得できます。専業主婦家庭もわが家には関係ないと思わず、見落とさないようにしましょう。

育児休業は男女ともに取得できる、法律で守られた権利

そもそも育休とは、育児・介護休業法に基づく休業制度で、仕事をしながら育児ができるように子育て世代をサポートしてくれるもの、つまり、法律で守られたれっきとした権利です。

今はまだ育休といえば女性が取得するものという認識が強いですが、男女問わず利用できる制度です。女性は出産後8週間の産後休暇の後から取得でき、男性は赤ちゃんの誕生時に育休に入り、1歳になるまで取得することができます。

保育園問題で、1歳になった時に入園が難しいというケースもありますが、そういう場合は最長2歳まで育休を取得できます。

産休、育休中にもらえる手当や給付金についておさらい

子育ての給付金
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少子化対策という流れもあり、育休中の収入減をサポートするものとして手当や給付金は結構充実しています。今回は育休がテーマではありますが、産前~育休も含む出産前後での一連でおさらいをしていきましょう。出産前後の手当や給付金などのサポートは、

です。もう少し詳しくいていきましょう。

①        の「出産育児一時金」は、本人、または扶養している配偶者が出産したら支給されます。1児に対し42万円(産科医療保障制度に未加入の医療機関で出産した場合は40.4万円)となっており、出産に掛かる費用の大半がこれでまかなえます。

②        の「出産手当金」は、産前6週、産後8週の間に受けられる手当で、日給の3分の2が日数分支払われます。出産予定日から起算しますが、実際の出産日が後ずれした場合は、その分も産前日数に加算され支払われます。
③        の「育児休業給付金」は、②の産後8週が経過した後に取得する育児休業時に受け取れる給付金です。最初の6カ月は日給の67%、その後は50%が受け取れます。

このように産休や育休で収入減となる時期に受け取れる手当・給付金はとても助かります。ただ、同時にこれまでの給与より減ることも分かります。

しかし、④にあるように手当や給付金が非課税扱いであることや、⑤ の厚生年金や健康保険などの社会保険料が免除されるので、思ったより手取りは減りません。会社員の場合、税金や社会保険料は自動的に引かれているため、あまり意識が届きません。これも育休時のサポートとして大きなものです。

とりわけ社会保険料のうち厚生年金保険料の免除は注目したいところです。この期間は保険料を支払っていなくても、払ったものとして加入期間や年金額を計算してくれるため、将来受け取る年金が減額されるという不利益を被ることはありません。

例えば、赤ちゃんが1歳になるまで育休を取ったとします。女性の場合は、産前産後休暇がありますが、その時から社会保険料の免除は始まり、1年とちょっと払わなくてよくなります。あくまで概算ですが、月25万円の給与をもらっている人の場合、厚生年金を払わなくても年間約1.6万円の年金が増えることになります。

たったこれだけ?と思うかもしれませんが、この積み上げが将来の生活を支える年金になるのですから馬鹿にはできません。年金1.6万円があるなら毎年豪華なディナーを楽しむこともできるでしょうし、将来お子さんが大きくなって結婚し孫が生まれたら、お年玉として奮発することだってできるわけですから。

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