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育休中の収入が不安…給付金をもらいながら副業してもOK?

そなえる 白浜 仁子

育休中の収入が不安…給付金をもらいながら副業してもOK?

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育児休業給付金をもらいながら育児のために仕事を休む「育児休業」。その間の収入が減ることに不安を感じる人は多いことでしょう。育児休業中の給付金はいくらもらえるのでしょうか?また育児休業中に、副業やアルバイトなどの仕事をして収入を得ていいのでしょうか?そんな疑問を解決すべく、今回は育休中の収入について解説します。

育児休業給付金の制度について 受給要件は?

乳児を抱えて働く女性
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赤ちゃんが生まれる時、働く女性のほとんどは子育てと仕事の両立に不安を感じています。私の事務所にも、出産を機にマネープランを考える若いご夫婦が心の声を聞かせてくれることがあります。一方で、出産して育休をとりながら徐々に子育てに慣れ、社会復帰への体制作りをしているという方や、復帰しても意外と何とかなったという方のお話しもよく伺います。

まず、出産が近付くと産前産後休暇を取ることができ、その間は出産手当金が受け取れます(健康保険に加入していること等の条件が必要です)。おおよそ給与の3分の2程度が給付されますが、ここでは詳細に触れず、産休から育休に入った時の給付金と副業についてフォーカスします。

育休中は雇用保険から育児休業給付金が受け取れるため、給与が無くても全くの無収入になるわけではありません。では、どのくらい受け取れるのでしょうか。

育児休業給付金は、最初の180日が給与の67%、その後は50%が支給されます。これらの給付金は非課税で、しかもこの期間の社会保険料は支払いが免除されるのに、払ったことにしてくれるという、働くママに優しい制度です。

受給要件は
(1)雇用保険の被保険者であること
(2)満1歳未満の子どもを育てるために仕事を休んでいること
(3)育児休業を開始した日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12カ月以上あること。(これを満たさない場合でも令和2年8月1日以降に育児休業を取得する時は、賃金の支払いの基礎となった労働時間が80時間以上ある月が12カ月以上あれば良い)
(4)休業中、勤務先から休業前の給与の80%以上が支払われていないこと
(5)育休中に就業する場合は、就業日数が10日以下であること、10日を超える場合は就業時間が月80時間以下であること

育休中に給与をもらうというケースは少ないと思われますので、まずは給与明細から雇用保険料が差し引かれているか確認し、直近の2年間それなりに働いてきたというママが対象になると考えてもいいでしょう。
ちなみに、転職したばかりでも一定の場合、前職で働いていた期間も含めることができるのであきらめず確認してくださいね。

育児休業給付金は、いつどのくらいもらえる?具体的にシミュレーション

育児にかかるお金
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育児休業給付金の支給額は、最初の180日が

(休業開始時賃金日額×支給日数)×67%

その後は、

(休業開始時賃金日額×支給日数)×50%

で計算します。
*休業開始時賃金日額とは:直近6カ月の賃金を180(日)で割ったものです。

給付は、1歳まで(パパ・ママ育休プラス制度の利用なら原則1歳2カ月まで)受け取れます。もし、保育園に入園できず待機をしなければならない場合は最長2歳まで支給されるようにもなっています。

具体的に計算してみましょう。

●直近6カ月の給与が30万円のママの場合
賃金日額が1万円(30万円×6カ月÷180)なので、1日あたりの支給額は6700円(1万円×67%)
となります。30日間では、給与の3分の2である約20万円を受け取れる計算です。後半は支給率が50%に下がるので、1カ月30日分が15万円程度ですね。

育児休業中に副業・バイトをするのはOK?条件や注意点は

とはいえもう少し収入を得たい、この機会に副業にチャレンジしてみたいというママがいるかもしれません。ただ、そもそも育休中に副業をしていいのか、育児休業給付金の支給への影響は無いか気になるところです。

最初に育休中の副業ですが、それ自体に問題はありません。もちろん、副業を認めている勤務先であることが大前提です。副業OKでも育休中はNGとしている会社もあるようなので、後々トラブルにならぬよう確認しておきましょう。

また、副業が認められていても、働きすぎると育児休業給付金が減額・支給停止になることがあるので注意が必要です。この働きすぎの目安をみていきましょう。

まずは就業日数の要件があります。
これは、前述した育児休業給付金の受給要件(5)と同じです。

(5)育休中に就業する場合は就業日数が10日以下であること、10日を超える場合は就業時間が月80時間以下であること

次に収入の要件です。以下のように計算されます。

給与+育児休業給付金 ≦ 育休前給与(6カ月間の平均)×80%

収入合計が育休前の給与の8割以下なら給付金は満額を受け取れるというわけです。

もし平均月給が30万円のママなら
給与と育児休業給付金の合計が24万円を超えなければ良いということですね。

では、もし超えてしまったらどうなるのでしょうか。

単純に超えた分だけ、育児休業給付金が減額されます。
この例で給与と給付金の合計が27万円となった場合は、超えた3万円が給付金から減額されます。

知っておきたいのは、前述の通り育児休業給付金は非課税ですが、給料は課税となる点です。つまり、同じ3万円分の収入でも給与なら税金の分だけ手取りが減ります。
となると、頑張って働きすぎると超過分の給付金が減り、更に課税分手取りが減るという悲しいことになってしまいます。もちろん、これからは副業が当たり前の時代になっていくでしょうから、この機会に副業を定着させたいということでしたら一概に金額だけで測れるものではありませんが。

ちなみに、育休に入る前の休暇である8週間の産後休暇のうち、6週は就業禁止、その後2週は医師が認めた場合のみ可能と法律で定められています。

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まとめ

新型コロナの流行によって、誰もが想像さえしなかった時代を迎えています。ニューノーマル(新常態)への移行が急激に進む今、仕事の仕方も変化しており副業もそのひとつといえます。育休中の副業が気になるママの参考になりましたら幸いです。