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貯金しても衝動買いしてしまう…「つもり貯金」なら楽しく続く!!

うちの家計簿 世継 祐子

貯金しても衝動買いしてしまう…「つもり貯金」なら楽しく続く!!

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は27歳実家暮らし、派遣社員Tさんの家計簿です。

27歳派遣社員のTさん談

働いて5年ほど経ちます。実家暮らしのため「お金を貯めなきゃ」という気にあまりならず、今は漠然と毎月3万円貯めていますが、少し貯まると貯めている目的がないためか旅行や高額な買い物でお金を使ってしまい、お金を貯めることができません。お金を使った後に「買わずに貯めていたほうがよかったかも…」と思うことが増えたこともあり、これからはちゃんと継続してお金を貯めたいと思っています。どのようにお金を管理したらよいでしょうか。

Tさんの家計簿は…?

収入は手取り18万1500円、毎月の貯金金額は3万円です。収入の約17%が貯金にあてられています。現在の貯金額は30万円です。

お金を貯める3つの目的

お金を貯めるための目的は大きくわけて以下の3つです。

①は毎月の収入では負担ができない車、家などの購入費用や車検費用、リフォーム費用、海外旅行などへの費用、②は病気やケガなどの高額な治療費用、働けなくなった時や失業した際の生活費用、③は結婚や教育費用、老後の生活費用などが挙げられます。

Tさんの貯金は足りている?

貯蓄の疑問
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Tさんは、①の高額な買い物の購入の予定はないとのこと。②については現在「協会けんぽ」に加入されているため、1カ月の医療費の上限である「高額療養費」の自己負担限度額は5万7600円となります。(参考:「高額療養費」)

病気やケガなどの急な医療費として、少なくとも自分の高額療養費の3カ月分は準備しておくようにしましょう。3カ月分だと5万7600円×3カ月=17万2800円となりますが、現在の貯金が30万円あるため、Tさんは医療費のための最低限の貯金はできています。

また業務外の病気やケガで働くことができない場合、1日あたりの報酬月額(※)の一部が通算1年6カ月にわたって支給される傷病手当金という制度があります。給与の支払いがなくなる、減少した場合で所定の条件を満たした場合に支給されます。(参考:「傷病手当金」)
(※)原則として「支給開始以前12カ月の標準報酬月額の平均額÷30日」で計算した額

Tさんの給与明細を確認すると厚生年金保険料は2万1960円です。「福岡県協会けんぽ令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料総額」で確認すると、Tさんの標準報酬月額は24万円であることがわかります。

連続する3日間を含む4日以上連続した休業後、休業4日目から支給される目安は「1日あたりの報酬額の2/3×休業日数」となります。

Tさんの報酬月額を24万円とすると、1カ月でもらえる傷病手当金の目安は、24万円×2/3=16万円となります。

病気やケガで働けなくなった場合に収入がなくなってしまうと、老後資金の基礎となる老後の年金の受取額が減少することも考えられます。まだ老後の生活資金の目処が立っていない場合は就業不能時の保険などを検討しておきましょう。

③の将来の出費については、今のところ特に具体的な出費予定はないとのことなので、まず、老後資金の費用について考えてみましょう。

まずは60~65歳の生活費分を目標に

20代実家暮らしなどで、まだはっきりした老後の自分の生活費やライフプランのイメージができない場合は、まず「60歳から65歳までの5年間の生活費を貯めること」を検討しましょう。

公的な老後の年金は基本的に65歳から支給される仕組みになっていますが、一定の収入が必ず65歳まで得られると確定しているわけではありません。正社員として働いていても60歳で定年を迎え、その後は契約社員として1年ごとに契約を更新して働くなど、収入が大きく変化する場合もあるでしょう。

貯金以外の生活費が現在約15万円なので、60~64歳までの5年間の生活費は下記を目標に検討してみてください。

Tさんは現在月3万円、年間で36万円貯めています。金利がつかないとして計算すると、25年間で900万円は貯めることができます。

衝動買いを防ぐために

衝動買い
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お金を支払って買い物した後に、「あー、いいお金の使い方をしたなぁ~」という買い物はいいお金の使い方と考えることができるでしょう。

しかしTさんのお話を伺うと、お金を使った瞬間は満足するけれど、少し時間が経って振り返ると「お金を使わなかったほうが良かったかも…」という経験が増えてきたということですから、少しお金の使い方を変えてみることをおすすめします。

今までは「欲しいと思ったら買えるものは買う」という行動をしてきたようですが、「買う」までの「プロセス」に目を向けてみてください。欲しいと思ったら、どうして欲しいのか、自分にとって本当に満足度の高いお金の使い方になるか、一呼吸おいて考えることを習慣にして「自分にとっていい買い物なのか」考えるようにしてみてください。

買ったつもり預金のすすめ―「目的預金」機能を活用

どうしても何かにお金を使いたくなったときは「Wallet+」の目的預金を活用してみましょう。

Tさんは今までお金が貯まってくると、なんとなくお金を使いたくなって衝動的にお金を使うことを繰り返してきたとのことですが、そんなときは「目的預金」機能のある金融機関のアプリで「買ったつもり預金」を作成してみてください。(参考:Wallet+「目的預金つくりかた一覧」)

目的預金とは、目標や目的に合わせて期日や目標金額を設定しお金を貯められる機能です。 アプリでいつでも「貯めるための口座」を作ることができ、貯蓄の進捗状況も確認できるので、無理なく楽しく続けられるのが特徴です。

目的預金は毎月決まった期日にお金を目的預金に入金することができますが、決まった期日以外にも自分で口座から1000円単位で目的預金にお金を入金することが可能です。

衝動的にお金を使いたくなったら、使いたいと思った金額をその都度「買ったつもり預金」へ移動させてどのくらい貯まるかやってみてください!

お金を使って後悔するという機会を減らし、衝動をコントロールすることでお金が貯まる感覚を身につけて、お金が貯まる習慣を作っていただければと思います。

アドバイスを受けたTさん談

目的預金の機能は今まで使ったことがありませんでした。さっそく目的預金を作ってみようと思います。全く買う予定がなかったものでも、WEB広告につられて見ていくうちに「買ってもいいかな」「いいかも!」と「一瞬」で買うことを何度繰り返したことか…。最近、特に後味の悪い買い物が増えていたように思います。「買ったつもり預金」やってみます。

900万円!貯金ができたらいいなぁと思うので3万円貯めるのは続けていこうと思います。
また健康保険の「高額療養費」「傷病手当金」などの制度は自分に関係がある制度だとは全く知りませんでした。標準報酬月額や健康保険料、年金保険料もじっくり確認したのは初めてです。保険もなんとなく、入院や死亡時の保険にのみ加入していたので、保険の見直しもしてみようと思います。

家計簿診断を終えて

『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)という橋本之克さんの本があります。文中に「本書は「よりよい買い物」の本です。」とありますが、お金を貯める、増やすも大切ですが、それと同じくらい「お金の使い方」、「買い物の仕方」は大事だと思います。少しずつでも、よりよい買い物の習慣を身につけていけると良いですね。おすすめの本です。