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いまさら聞けない「新NISAの始め方」知っておきたい注意点は?

ふやす 中村 賢司

いまさら聞けない「新NISAの始め方」知っておきたい注意点は?

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老後年金の不安や国の後押しなどで、周囲に株や投資を始めた人が増えていませんか?来年から新NISAも始まる中、私もやった方がいいのかしら?と検討している人もいることでしょう。そこで今回は、いまさら聞けないNISAの始め方について解説します。

「みんなやっているから…」は良くない! 新NISAを始める前に目的を考えよう

まずNISAを始める前に考慮すべき点は、「投資目的の明確化」です。なぜNISAを利用したいのか、長期的な資産形成が目的なのか、それとも短期的な目的で貯蓄をしたいのかをまず明確にしてください。長期的な資産形成であれば、NISAを利用し、投資信託などで運用することはお勧めできますが、短期的な貯蓄であればリスクを取らず預金などでこつこつ積み立てる方が良いでしょう。

さらに新NISAは、非課税期間が無期限となります。よって投資期間の設定も考えておく必要があるでしょう。自分が投資を続けられる期間を考慮し、その期間にどのような投資で成果を出したいのかも考えてください。

続いて考慮すべき点は、「リスク許容度」と「投資対象の選定」です。投資にはリスクが伴います。自分のリスク許容度を把握し、どれくらいの変動に耐えられるかを考えましょう。新NISAには成長投資枠とつみたて投資枠があり、それぞれ投資対象となる商品が異なります。

ある程度のリスクが取れるという人は、つみたて投資枠で株式投資信託やETF(上場投資信託)を積み立てるのがおすすめです。また、もう少しリスクを取って、成長投資枠で株式投資を行うのも良いでしょう。

逆にリスクをあまり取りたくないという人は、成長投資枠を使い比較的値動きが小さい債券型投資信託が良いでしょう。債券は株式に比べると値動きは比較的小さい傾向にあります。

いずれにしてもみんながやっているからと焦って始めるのではなく、今後の資金計画を考えて、長期的に投資にまわす資金を割り出してください。当面生活に必要な資金やお子さまの教育資金など明確に必要となる時期が確定している資金まで投資にまわさないようにしましょう。

新NISAを始める具体的手順

「STEP」と書かれた積み木と人形
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新NISAを始めるにあたってまず考えることは、金融機関の選定です。NISA口座を開設できる金融機関には、銀行、証券会社、ネット証券などがあります。その中から自分に合った金融機関を選ぶようにしましょう。

続いて、選んだ金融機関でNISA口座の開設を申し込みます。最近は、ネット証券だけでなく銀行や証券会社なども、窓口へ出向かずにオンラインで申し込むことができるようになってきています。口座開設にあたっては、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)が必要です。オンラインで申し込む際は、郵送の他、WEB経由でそれらの書類をアップロードして完結することもできます。

ここまで済めばNISA口座の開設手続きは完了です。後日金融機関から来る口座開設完了の連絡を待ちましょう。

NISA口座は1人1口座しか開設できません。よって、まず初めにやるべき金融機関の選定は慎重に行うようにしてください。(過去にNISA口座を開設したことがあり、別の金融機関に口座を開設したい場合は、現在その口座を使っていなくても、口座を閉鎖しなければなりません。)

金融機関の選び方のポイント

ではNISA口座を開設する金融機関はどのような基準で選べば良いのでしょうか。初心者が金融機関を選ぶ際は、以下に挙げる2つの選び方を参考にしてください。

対面でアドバイスが欲しい人は、現在取引のある銀行で開設する

既に口座を持っている銀行であれば、資金移動がスムーズであり、新たに口座情報を覚える必要がありません。入出金などの利便性が高いだけでなく、同じ銀行内で複数のサービスを利用することによりトータルでの資産管理がしやすい点もメリットといえるでしょう。

窓口がある銀行であれば、分からないことも担当者が対面で丁寧に説明してくれます。また、投資の相談もできるのは大きなメリットです。長年利用している銀行であれば、セキュリティーの面でも安心なのではないでしょうか。

対面のアドバイスが必要ない人は、ネット証券で開設する

手数料の安さと取扱商品の多様性という面では、ネット証券がお勧めです。銀行では手数料がかかる投資信託でも、ネット証券で購入すると手数料無料というケースがあります。また最近、SBI証券や楽天証券では、株式の売買手数料を無料にするというサービスも始まりました。

たまにセキュリティーの面が心配という声も聞きますが、過去大手ネット証券では情報漏洩など大きな事故などはなくセキュリティー面でも安心です。しかし、フィッシング詐欺などによる、ログインIDやパスワードの漏洩だけには気を付けておきましょう。

ネット証券は銀行のように担当者がいないので、手続き方法や投資の判断は自分自身で行うことになります。対面での手続きが煩わしいという人には向いていますが、何かあった時に担当者へ相談したいという人には向いていないかもしれません。

運用を始めてからの注意事項

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NISA口座で運用を始めた後に注意すべき事項はいくつかあります。まず、NISA口座で運用する商品は投資商品のため、日々価格が変動します。しかしその日々の値動きに対して一喜一憂せず、長期的な視野に立ち運用を続けることが必要です。値下がりしたから怖くなって直ぐに売却したり、値上がりしたからもっと投資しようと追加投資したりするようなことはあまりお勧めできません。

もちろん市場の変動や経済動向などを定期的に確認しておくことは必要です。そのためにもどのような商品を選ぶか、ご自身の知識を日々アップデートするなど継続的な学習も必要となるでしょう。

自分のリスク許容度や投資目的に合っているかどうかなども定期的に確認するようにした方が良いでしょう。若いうちは株式中心のポートフォリオでもあらかじめ決めた投資期間が近づくにつれて債券中心のポートフォリオへ見直しをするというようなことも必要です。定期的に投資のバランスを確認することも重要といえます。

まとめ

新NISAは、制度の恒久化や投資額の拡充、さらに非課税期間の無期限化により注目度は今まで以上に高まっています。まわりが始めているからと安易に始めるのではなく、以下のようなポイントを良く考えて始めるようにしましょう。

忘れてはいけないことは、NISAを利用して購入する商品は投資商品ということです。短期的に儲けようという気持ちではなく、長期的に自分の資産を育てていくという気持ちで始めてください。

複数の金融商品を比較検討して、その商品を取り扱っている金融機関を選定する。自分の投資スタイルに最も適した選択をすることが重要です。必要であれば、専門家に相談してみるのも良いでしょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。