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え、NISAでも税金がかかる!?「株式数比例分配方式」って何!?

FPにききたいお金のこと 白浜 仁子

え、NISAでも税金がかかる!?「株式数比例分配方式」って何!?

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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、つみたてNISAの受け取り方で、課税扱いになってしまうのではないかと心配する40代女性Rさんからの相談です。証券口座を開くときに選択する証券会社特有の仕組みなので、初めての人は誰もが「むむ?」と疑問を感じる部分と思います。でも、実はそんなに難しくありません。一つずつ整理しながら見て行くことにしましょう。

40代女性Rさんからの相談

つみたてNISAの受け取り方法で、「株式数比例分配方式」と「銀行口座受け取り」がありますが、どう違うのでしょうか?銀行口座受け取りにすると、税金がかかると聞き、心配になりました。どちらを選択したら良いでしょうか?

つみたてNISAの受け取り方法は基本どちらでもOK

Rさんは、つみたてNISAを始めようとされている、または、始めているのですね。証券会社で口座を開く時にいずれか選択しなければならないため、どうすべきか疑問を感じておられるようですが、この辺りは、聞きなれない単語もありモヤモヤすると思います。

結論から申し上げますと、つみたてNISAで投資信託を積み立てるときには、基本的に、どちらを選択しても影響ありません。まずは安心されてください。

ただ、「基本的に」としましたように、場合によってはつみたてNISAでも関係するケースがあります。そのことも含めて、株式数比例配分方式や銀行口座受け取りなどの選択肢や内容について、以下で整理していくことにします。

株式の配当を受け取る時の方法は3つ

指を3本立てる女性
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Rさんが言われている「証券会社で口座を開設する時に指定する受け取り方」というのは、「個別株を購入して配当金を受け取る時の受け取り方」のことです。大きく次の3つがあります。

①「配当金領収証方式」は、郵送で自宅に届く「配当金領収証」を持ってゆうちょ銀行等の金融機関で配当金を受け取る方法です。②「登録配当金受領口座方式」は、指定した預金口座に配当金を振り込んでもらい受け取ります。そして、③「株式数比例配分方式」は、その銘柄を保有している証券会社の口座で受け取る方法です。

ここで分かるのは、つみたてNISAは、そもそも個別株が購入できないため、どれを選択しても影響ないということです。

一般NISAで個別株の配当を非課税で受け取るには

個別株は、一般NISAで購入することができます。ただ、その配当を非課税で受け取るには、上記のうち③「株式数比例配分方式」でなければなりません。知らずに他の受け取り方法を指定していた場合は、配当金から税金が約20%差し引かれるため注意が必要です。

まずは、ここまで押さえていただければ良いと思います。その上で、もう一歩踏み込んでみていきましょう。

初心者の方には、少し難しく感じてしまうと思いますが、投資信託の中には、「ETF(上場投資信託)」や「REIT(不動産投資信託)」といった、特徴が少し異なる投資信託があります。ETFやREITとは、投資信託でありながら株式のように売買がおこなわれ価格が変動する商品です。実は、そこから支払われる分配金は個別株と同様の取り扱いとなります。NISA制度を利用して購入したETFやREITでも、分配金を非課税で受け取るには、個別株と同じように③「株式数比例配分方式」を指定しなければならないというわけです。なお、一般的な投資信託は、1日に1回基準価額が見直されETFやREITとは似て非なるものになります。

つみたてNISA商品のうちETFは8商品のみ

ETF
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ここで、RさんのつみたてNISAの話に戻ります。つみたてNISAで購入できるのは、一定要件を満たし、国に届け出された投資信託です。2023年11月2日時点で257商品あり、各金融機関でそのうちいくつかの商品が販売されています。

つみたてNISAで購入できる投資信託の大半は一般的な投資信託ですが、8商品だけETFが含まれます。もしRさんが、ETFで積み立てるのでしたら、株式数比例配分方式でなければ、分配金が非課税扱いにはならないため気を付けなければなりません。多くの方が購入している一般的な投資信託から支払われる分配金は、上記3つの受け取り方法とは関係なく、自動的に非課税扱いとなります。ETFはつみたてNISAの対象となる257商品のうち8商品しかなく、販売をしている金融機関も限られますので、恐らくRさんのつみたてNISAで積み立てしている商品も、一般的な投資信託ではと勝手ながら想像しています。もしETFでの積み立てでしたら上記に注意されてください。

なお、来年1月から始まる新NISAの場合も同様です。新NISAでは、つみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」に加え、一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」の2つの枠があり、これらを同時に利用できるようになります。成長投資枠では個別株等が購入できますので、今後、投資する可能性があるのでしたら、株式数比例配分方式にしておくと安心です。

株式の配当の受け取り方法は、いつでも変更可能です。ただ、複数の証券会社に口座がある場合は、自動的に統一されることは知っておきたいところ。今後の投資ライフの参考となりましたら幸いです。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。