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空き家リノベの相場はいくら?知っておきたい補助金や減税制度は

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空き家リノベの相場はいくら?知っておきたい補助金や減税制度は

【画像出典元】「didesign021- shutterstock.com/」

全国的に増える「空き家」の問題を解消させるべく、空き家をリノベーションし、住宅や店舗にして活用しようとする動きが目立ってきています。実家が空き家となりリノベーションを考えている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、空き家のリノベーションにはデメリットもあり、物件の状態によっては2000万円を超える高額な費用が発生することも。

そこで今回は、空き家リノベーションに関するメリット・デメリット、費用相場、使える補助金やローンなどについて解説します。空き家について理解を深めた上で、リノベーションを進めましょう。

空き家リノベーションのメリット

ウッドの溢れるオシャレなリビング
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空き家をそのままの状態にしておくと、倒壊や犯罪のリスクが高まってしまいますが、リノベーションを行うことでさまざまなメリット、恩恵が受けられます。

倒壊・犯罪のリスク軽減

建物は時間と共に劣化していきますので、空き家をそのまま放置しておくと、景観を損ない近隣住民に不快感を与えます。最悪の場合は倒壊する恐れもあり、誰も住まない空き家は不法投棄や不法占拠など犯罪の温床となることも。

空き家をリノベーションし綺麗に維持しておけばこうしたリスクを軽減でき、さらに「賃貸」や「民泊」などに活用すれば収益を得られることもあります。

特定空き家に認定されにくい

状態の悪い空き家を放置し、行政から「特定空き家」と認定されると、「住宅用地に係る特例」措置が解除され、固定資産税が最大6倍にまで跳ね上がることがあります。空き家をリノベーションしておけば、特定空き家に認定されにくくなるため、結果的に税金の負担を抑えられます。

物件価格が安い

家を探しており、これから空き家を購入する人の場合は、その「安さ」が一つのメリットとなります。空き家は新築よりも物件価格が安く、築年数の古い空き家や地方の空き家などであれば、ほぼ土地だけの価格で購入できるケースもあります。たとえば、空き家のマッチングサイト『空き家ゲートウェイ』では、売却価格100円の空き家も多数掲載されています。

空き家リノベーションのデメリット

荒れた外観の住宅(庭の木も倒壊)
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空き家のリノベーションにはデメリットや注意点もあります。なかにはリノベーションをして後悔する方もいますので、デメリットも理解した上で検討しましょう。

想定外の費用がかかることがある

空き家の状態によっては、内装や外壁のリフォーム以外にも、下記のような部分の修復が併せて必要になることがあります。

・シロアリ被害の補修と消毒
・雨漏りの原因調査と補修
・耐震補強
など

中でも「耐震補強」は高額になりやすく、追加で200万円前後の出費が発生することがあります。建築基準法が改正された1981年以前の「旧耐震基準」で造られた住宅の場合、耐震補強が必要となるケースが特に多いため、1981年以前の古い空き家をリノベーションする際には注意が必要です。

自由にリノベーションできないこともある

物件の構造によっては、レイアウトが制限され、思い通りにリノベーションできないことがあります。たとえば建物の構造に関わる「通し柱」「筋交い」は取り外しができないことが多く、レイアウトや間取りを大きく変えられないことがあります。大規模なリノベーションを考えている方の場合、どこまで手を加えられるかを事前に確認しておくことが大切です。

周囲の環境は変わらない

空き家をリノベーションしても、周囲の交通、商業施設、住宅などの環境は変わりません。そのため「交通の便が悪くとても生活できない」「お店にしたけれどお客が来ない」など外部要因が原因で不便さを感じてしまうこともあります。物件だけでなく、その地域環境もよくリサーチして検討することが大切です。

空き家リノベーション費用の相場

家を建てる金額シミュレーション(家のミニチュアと硬貨)
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空き家のリノベーションにかかる費用は「500万~2500万円」程度が目安とされています。とはいえあくまで目安であり、どこまでリノベーションするかによって費用は上下します。

たとえば内装の張替えや水回り(キッチンやバス)の修復など、目に付く範囲だけ手を加えるのであれば、一軒家でも500万円以下に抑えられることがあります。

一方で、耐震補強、シロアリ被害の補修、外壁の補修、太陽光発電システム等にまで手を加えようとすると、2000万円以上の出費となることがあります。新築を購入する以上の費用がかかることも。

家のサイズも費用に直結し、大きな空き家ほど内装や外壁の面積が増えるため、素材も多く必要になることから、リノベーション費用も高額になります。

箇所別の費用目安

国土交通省の資料では、箇所別のリノベーション費用について以下のように見積もられています(工務店・リフォーム会社・量販店等約40社のアンケート&ヒアリング調査により算出)。

上記もあくまで目安であり、どこまで行うかによって上下します。

例えばキッチンの場合、システムキッチンの交換であれば40万~80万円ですが、アイランドキッチンにすると300万~450万円の費用がかかることがあります。

空き家リノベーションで使える制度(減税、ローン、補助金)

窓口で手続きを行う女性
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空き家の増加は社会的な問題となっており、リノベーションするなどして有効活用することが求められています。国や自治体側も空き家のリノベーションを推進するべく、減税、ローン、補助金などさまざまなサポート制度を用意しています。

減税制度

リフォーム促進税制:
リフォームローンの利用有無にかかわらず利用可能。控除期間は1年。最大控除額は105万円。

住宅ローン減税:
償還期間10年以上のリフォームローンを組んだ場合に利用可能。控除期間は10年。最大控除額は140万円。

固定資産税の減額:
適用要件を満たすリフォームを行った場合、固定資産税が減額される制度。減税期間は1年。軽減額は、耐震リフォームで1/2、バリアフリーや省エネのリフォームで1/3、長期優良住宅化リフォームで2/3。

ローン

空き家の増加が社会問題となる中、地方銀行をはじめとする民間金融機関では「空き家関連ローン」と呼ばれる空き家リノベーション向けのローンを提供しています。空き家関連ローンには「解体ローン」と「活用ローン」の大きく2タイプがあります。

解体ローン:
名前のとおり空き家の解体工事費に対するローン。ほとんどの商品は無担保、保証人不要で利用可能。条件は緩めであり、年金受給者などでも借りられる。

活用ローン:
活用ローンは、主に空き家のリフォーム工事を対象としたローン。ただし中には空き家の購入資金向けのローン、防火・耐震、防災・防犯上の設備対策費、太陽光発電などの環境配慮型設備工事費に利用できるローンも存在。こちらも担保・保証人は原則不要であり、条件は緩め。

補助金

住宅エコリフォーム推進事業(国土交通省):
省エネ性能の高い住宅へリフォームした場合に支給される補助金。補助率は省エネ設計等費及び省エネ改修工事費を合算した額の40%まで、限度額は最大35万円まで。

長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省):
「性能向上リフォーム工事」「三世代同居対応改修工事」「子育て世帯向け改修工事」などを行った際に支給される補助金。限度額は、評価基準型で最大100万円、認定長期優良住宅型で最大200万円まで(三世代同居対応改修工事を実施するとさらに50万円加算)。

​​​​​子育て支援型共同住宅推進事業(国土交通省):
共同住宅(分譲マンション及び賃貸住宅)が対象。子どもの安全確保に資する設備を設置した住宅へリフォームした場合に支給される補助金。補助率は費用の1/3まで、限度額は最大100万円まで。

 次世代省エネ建材の実証支援事業(経済産業省):
断熱性能を向上させるリフォーム(外張り断熱、内張り断熱、窓断熱)を行った場合に支給される補助金。補助率は費用の1/2まで、限度額は工事内容によって異なる。

既存住宅における断熱リフォーム支援事業(環境省):
省エネ効果(15%以上)が見込まれる高性能建材(断熱材、ガラス、窓、玄関ドア)を用いた住宅の断熱リフォームを支援する補助金。補助率は費用の1/3まで、限度額は、戸建住宅の場合120万円まで(蓄電システムや蓄熱設備に手を加えるとさらに加算)。

※補助金に関しては、締め切られている可能性もありますので、現在の募集状況も併せてご確認ください。

このほかにもさまざまな補助金制度が用意されていますので、詳細は国土交通省の「住宅リフォームの支援制度」をご確認ください。また国だけでなくお住まいの自治体側でも、空き家のリフォーム支援金制度などを用意していることがありますので、併せてご確認を。

空き家を上手く活用すれば良質な住まいを安く手に入れることができ、社会問題の解決にもつながりますので、意欲のある方は挑戦してみるのもよいかもしれません。しかし今回紹介したように空き家のリノベーションにはデメリットもあり、一つ間違えば大きな出費となってしまうこともあります。補助金の活用なども視野に入れ、入念に検討した上で進めることをおすすめします。