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手取り16万円、貯金切り崩しの赤字生活を抜け出す方法はある?

うちの家計簿 世継 祐子

手取り16万円、貯金切り崩しの赤字生活を抜け出す方法はある?

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は、貯金を切り崩す生活で、お金がなかなか貯まらず困っているという社会人5年目の会社員27歳女性、Bさんの家計簿です。

27歳会社員Bさんの相談内容

就職して5年目になりますが、お金がなかなか貯まりません。毎月支出がバラバラで赤字になる月もあり、お金が足りなくなったら貯金を切り崩して使うので、お金が貯まらない状態がずっと続いています。どうしたらもっとお金を貯められるでしょうか。

Bさんの家計簿は…?

 

手取り16万2000円で、この月の貯金は1万円。手取りの約6%を貯金に回しています。現在の貯金残高は30万円です。

予定外の支出で貯金を切り崩さない方法

空の財布を持つ若い女性
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通帳を見たときに「えっ!〇〇の引き落としがあるのを忘れていた!」という経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか。冠婚葬祭に関する出費や家電の修理費用など、さまざまな予定外の支出があると思います。

ただ、Bさんのように「予定外の支出」がある度に貯金を切り崩しているようでは、いつまでたってもお金は貯まりません。予定外といっても、ある程度の予算を立てて事前に支払いの準備をしておくことが必要です。

また、予定外の支払いについては、どうしても必要な支出なのかどうかを見極めることから始めましょう。見極める目を持とうと意識していくと、だんだん慣れてきて支出に慎重になってきます。

不定期な出費には税金の支払いや帰省費用などがあるかと思いますが、まず毎月かかる費用以外に不定期支出にはどのようなものがあるかピックアップして金額を計算し、引き落としの期日、帰省する月など予測できるものは書き出して1年分の予算をとっておくことが必要です。

あらかじめ準備をしておくことで、お金が「かかる」ものから「かける」ものになります。お金との関わり方が前向きになり、お金に振り回されることが少なくなります。

3つの通帳を使い分け、貯まる「仕組み」をつくる

お金が貯められない方の特徴として「何にお金を使っているか把握できていない」ということがあります。できるだけ楽に家計を管理するために、通帳を下記3つの目的別にわけましょう。

①    収入用
②    支出用
③    貯金用

収入用の口座

収入用の口座は給与の振込口座として使い、「収入のみ」の口座にします。この通帳を見れば1年間の収入も一目で分かり、把握しやすくなります。

使うためのお金は、必ず収入用の口座から支出用の口座にお金を移して使うようにしましょう。「収入用」の通帳からお金を引き出して使うようにすると、残高を見て使っていいような気持ちになってしまうことがあります。つまり、使いたくなる仕組みになってしまうのです。

お金があればあるだけ使ってしまう仕組みから抜け出せない限りは、これから手取りが20万円、30万円に増えても支出が増え続け、お金は貯められないことを自覚しておきましょう。

支出用の口座

お金を貯められない方の多くが、支払先にしている口座が複数に分かれている傾向にあります。クレジットカードの支払いも含め、支払いは1つの口座にまとめるようにしましょう。そうすると、1カ月の支出が格段に管理しやすくなります。

電子マネーなども支出用の口座から支払うようにし、支出用口座の予算内でやり繰りをすることを心掛けてください。不意な支出も予算をとってこの口座に入れるようにし、この口座から支払うようにしましょう。

貯金用の口座

そして「貯金用」口座に入れたお金は決して支出には充てないようにすること。お金を引き出さない通帳を意識してつくることが大切です。その行動が小さな積み重ねとなって、お金が貯まる習慣につながり、自分の自信に変わっていきます。人は意外に単純です。

お金が貯まる人と貯まらない人では、通帳の管理に大きな差があります。貯まらない人の方が、通帳の数、クレジットカードの数も多く、収入と支出の管理をできにくくしています。貯まらない仕組みを壊して、貯まる仕組みをつくることを意識してみてください。

手取りの15%を先取り貯金に回す

「お金が余ったら貯金に回す」という習慣では、いつまでたっても貯まりません。手取りの中から常に15%程度は先に貯めるようにしましょう。

Bさんが27~65歳まで月1万円を貯めていったら、1万円×12カ月×38年=456万円です。月2万円貯めたら912万円です。月額1万円の違いが、将来約450万円の差につながることを意識しましょう。

老後も働いていたり年金収入がある程度あるかもしれませんが、現役時代からすれば収入は確実に減ります。老後を迎えたときも安心して過ごせるように蓄えが必要です。貯める金額を1万円と定額にせず、手取りの15%は必ず貯金用の口座に移すことを検討してみてください。手取りが増えれば、貯金に回す金額も増えていきます。

貯まったら使うということを繰り返していると、預金が増え続けることはないでしょう。また、大きな病気やケガをして継続した治療費が必要になったときや、自然災害にあったときに、預貯金がなくて生活が立ち行かなくなるかもしれません。

Bさんは幸い、ローン、キャッシングなど負債は抱えていませんが、今の貯金ができない生活が続くと、将来、負債を抱える事態になる可能性があることを予想しておかねばなりません。そうならないように、貯金分はこの先必要なお金として、必ず先に貯金用の口座に移動させるようにしておきましょう。

支出を見直す

お金と計算機
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Bさんの手取りの15%は2万4300円です。現在は貯金が1万円しかできていないので、あと1万4300円の支出を見直す必要があります。

Bさんの満足支出が「月に1回の友達との外食」とのことですが、その外食分の予算も立て、支出の項目として予算をとってみてください。その満足支出を継続して支出できる家計にするため見直せる項目がないか確認しましょう。
 
まずは「雑費」で何にお金を使っているか明確にすることが大切です。雑費のうち、「使途不明金」が多ければ多いほど満足支出は減り、浪費が増えていくことを意識しましょう。

例えば「お小遣い」「サブスク費用」「雑費」の合計は月額4万7570円です。年間で考えると57万840円です。この中で、どうしても減らせない支出は何か、減らしてもいい支出は何か、自分と向き合ってみてください。57万円の使い方として別の使い道が考えられるかもしれません。

アドバイスを受けたBさんの感想

あまり利用していないサブスクは解約し、月額1490円に減らしました。お小遣いの中から友達と外食のお金を出していたのですが、美容費も含めて「お小遣い代」は3万円の予算でやり繰りするようにしました。雑費は何に使ったか分からないものも多く、必要ではない支出も多いと思ったため、一旦8000円で予算をとるようにしてみます。

この見直しで月1万5000円を貯金に回すことができます。現在の1万円と合わせて2万5000円を貯金用の口座に貯金してから、友人との外食をしっかり楽しむようにしたいと思います。支出用の口座を確認したところ現在は3つに分かれていたので、これから支出用口座を1つにまとめるようにします。

家計簿診断を終えて

今回はBさんご自身で支出を見直し、貯金に回せるお金がないか検討してもらいました。ご自分で支出に向き合っていただいた成果だと思います。ご自分の家計ですから、ご自身が決断し、判断するのが一番継続しやすい家計管理法となると思います。

生活費の半年分を貯めることができたら、資産運用の検討を始めていただくのも良いと思います。貯める仕組みさえできれば、あとは継続するだけです。まずは1年間、しっかり自分の収入と支出、そして貯金に向き合ってみてください。