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株価急上昇!その時どうするべき?ライフプラン3.0世代の投資術

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

株価急上昇!その時どうするべき?ライフプラン3.0世代の投資術

33年ぶりの株価上昇?ここは売り時なのか?

ここ数カ月、日本の株価が上昇していて「バブル崩壊後の最高値」とか「33年ぶりの高値」のようなニュースが連続して報じられています。

ちょっと前に株価の大幅下落時の可能性についてコラムを書きましたが、どうやら当面その心配はなさそうです(といっても、海外を含め、いきなり株価が下がる可能性はまだあります。それは投資をする限り避けられない可能性です)。

さて、株式投資を含めた資産運用にチャレンジしている場合、購入時の価格より値上がりをしたときは「含み益」が出ている状態にあります。1万円で買った投資信託が1万1000円に値上がりしていたとすれば、値上がりした1000円分が含み益です。

物価が上昇し始めているにもかかわらず、預金金利は低いままですから、含み益が数%ではなく10%以上になっている場合、これは大きな利回りを得たことにもなります。先ほどの例でいえば1000円の上昇は10%の利回りに相当します。

これだけの値上がりがあると、私たちの頭をよぎるのは「これ、売っちゃおうか?」という気持ちです。

ライフプラン3.0世代にとって、もしかしたら本格的な株価上昇局面は初めてのことかもしれません。

こうした値上がりがあったとき、どうすればいいのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

儲かったら売ってもいい、ただし「投資を続ける」ことを考えよう

投資で利益が出ている状態にあるのなら、これを売って確定させること(利益確定)は問題ありません。せっかく投資をして、値下がりする可能性とも向き合ったわけですから、うまく増やせた場合はしっかり運用収益を手にしたいものです。

ただし、できるだけ「投資を続ける」ことを意識した売り方を考えてみましょう。そのためのヒントは「部分的に売る」ということです。

もし投資信託であれば、保有口数を全部売るのではなく、何割かを手放す形で売却します。投資信託は基本的に、保有口数のうちどれだけを手放すか自由に決めることができます。

仮に10万円分買った投資信託が13万円になっていたとしたら、3万円分を手放し、10万円分の投資は今後も続けていく、といった案配です(口数では3/13に相当する分を手放す)。

これは、この先ももっと株価が上昇していく場合などに後悔しなくてすむ一番賢い方法です。もし、13万円分の投資信託を全額現金化してしまうと、その後も株価が上がったときに「ああ、もっと値上がりしたはずだったのに…」と後悔することになります。

しかし、部分的に売却しておけば、残った10万円分にあたる投資信託はさらに値上がりをしてくれます。うれしさはまた続くわけです。

部分的に売るほうがいい理由はまだあります。売ったあと値下がりしたときにも、「儲かった分の一部を現金化しておいて良かった!」となります。そして「長い目で見ればまた株価は回復するだろうから様子を見よう」と考えることもできます。

全部を売ってしまうのは、投資において当たり前のことのようですが、実は難しいことばかりです。

13万円分を全部売ったあと、もう一度投資に回すタイミングを考えるのは大変です。さらに5%値上がりしたとき、5%値下がりしたとき、あるいは10%以上値下がりしたとき、いずれのシチュエーションでも、「もう一度投資をする」という判断は難しくなります。一度儲かったものを現金化してしまっただけに、改めて投資をする判断がしにくくなるのです。

あなたがライフプラン3.0世代であれば、まだまだ投資を通じて資産形成をする時間もあります。そして時間が長期に渡るのであれば、投資を続けておくことで高い収益を得るチャンスも長く確保できるということです。

すでに60歳代に達している世代に対しては「今の株価上昇がラストチャンスかもしれないと思うなら全額売ってしまってもOKです」とか「これからはもうリスクとはつきあわずのんびり老後を楽しみたいなら全額売ってしまってもOKです」とアドバイスをしますが、まだまだ投資をする時間がある皆さんは、「部分的に売る」で「投資を続ける」を目指してみてください。

ライフプラン3.0世代の投資は「長く続ける」

今までの世代の資産運用はおおむね「儲かったら、全額売る!」というスタイルでした。次にまた、儲かりそうな株をみつけたら全額投資に回す、という感じです。

この投資スタイルは長期的な視点ではありません。短期的に話題になったらちょっとだけ保有し、売り抜けることを考えています。

投資は企業の成長、社会の発展を中長期的に支援するものであることがその本質です。AppleがiPodやiPhoneを開発したり、ユニクロ(ファーストリテイリング)がフリースを開発したり、イノベーションが社会を豊かにしたことの成果として企業も成長し、株価も上昇していくのです。

だとしたら、企業がいろんなビジネスにチャレンジする時間を与える必要があります。どんな企業だって、新規事業を立ち上げるのに数年はかけます。新商品の開発から販売が軌道に乗るためにはやはり何年もかかるはずです。トヨタ自動車のプリウスは開発までに何年もの時間を要しましたが、苦労しただけの価値はありました。

企業の成長には一定の時間が必要なのに、株式投資をする人だけが数日や数分で株を売買して利益を得ようとするのはちょっとおかしな話ではないでしょうか。投資をするということは、本来企業や経済に成長する時間とチャンスを与えてあげることでもあるのです。

よく「長期投資が大切だ」といいます。短期的には値下がりや低迷があっても社会経済は中長期的には回復・成長することが理由のひとつです。投資で堅実に成果を得ていくためには時間が必要だ、ということを意識してみてください。

若い世代は「長期積立分散投資」で投資していこう

実は、長期的に投資をする、という発想そのものがライフプラン1.0世代にはありませんでした。長期投資という考え方が日本に根付き始めたのは、ようやく今世紀に入ってからだからです。

ライフプラン3.0世代はぜひ、長期的な目線で資産運用を行っていきましょう。
例えば、つみたてNISA制度やiDeCoを利用しているのはほとんどが現役世代ですが、

・少額からの投資を行う(スタートはゼロ円)
・少額の定期購入を行う
・国内外への分散投資を行う
・長期投資を行う

ということを基本的には実践しています。預金金利を上回る利回りが、投資に期待できるとなれば、こうした「長期積立分散投資」を継続していくことは、資産形成の力を大きく高めていることになります。

今回は「長期投資」について紹介しましたが「積立投資」と「分散投資」を加えて三位一体で投資に臨むと運用がプラスで終わる可能性が高まることが分かっています。

ぜひ、長期的な視点を持ち、短期的な値上がりや値下がりに一喜一憂することなく、資産形成に取り組んでみてください。

 

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。