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食べログ加盟店でのスマホ注文が加速!?客とお店のメリットは?

経済とお金のはなし 箕輪 健伸

食べログ加盟店でのスマホ注文が加速!?客とお店のメリットは?

【画像出典元】「Nikola Stanisic/Shutterstock.com」

「レストランや居酒屋で、店員がなかなか注文を取りに来てくれない」とイライラした経験がある方は多いのではないでしょうか。特にお店が混んでいる場合、どれだけ店員さんが頑張っても注文を取りに行けないという場面は少なくありません。それは会計時も同様です。

そんな経験がある方に朗報です。レストラン検索・予約サイト「食べログ」を運営する株式会社カカクコムは、お客さん自身のスマートフォンで飲食店の注文や会計ができる新サービス「食べログオーダー」の提供を開始しました。この新サービスはどのようなサービスで、利用者や店舗にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

「食べログオーダー」とはどんなサービス?

「食べログオーダー」は、カカクコムと決済サービスなどを手掛ける「デジタルガレージ」、東芝グループの電機メーカー「東芝テック」の共同事業。店舗に来店したお客さん自身のスマートフォンを通して、注文や会計ができるサービスです。

「食べログ」の調査によると、飲食店でお客さんがストレスを感じることの第1位が「注文時に店員を呼んでも来てくれなかった」で、第2位が「注文したものが来ないため、店員に確認した」でした。この調査結果から「食べログ」は、「お客さんからの不満の多くは待たされること、それがそのお店の評判や売り上げなどの機会損失につながっている」と分析しました。

そのお客さんの不満を解消するために生まれたのが「食べログオーダー」です。サービスの利用方法はいたってシンプル。まず、来店時にお店から二次元コードが発行されます。お客さんはその二次元コードを自身のスマートフォンで読み取ることで、メニュー画面に遷移できます。あとはメニュー画面から注文するだけ。会計依頼もスマートフォンから行えます。レジでの支払いのほか、スマートフォンから直接オンライン決済をすることも可能です。

現在、「食べログ」には、83万件の店舗が登録されていますが、早期に1万店舗、中長期的には10万店舗での導入が目標だそうです。

クーポンやポイントなど、客側のメリットは多い

スマートフォンでデリバリーフードを探す
【画像出典元】「stock.adobe.com/HiroSund」

「食べログオーダー」だけではなく、このところ、スマートフォンで注文や決済できる「スマホ注文」が急速に拡大しています。事前注文・決済サービス「Rakuten Ready」の調べによると、飲食店の売り上げの中で「スマホ注文」が占める割合について、2015年はわずか1%だったものの、2020年には10%に拡大しています。2020年から2年が経っている現在、その割合はより増しているでしょう。

とはいえ、中には、「二次元コードの読み込みや、専用アプリのダウンロードすら面倒くさい。従来通りの注文方法で問題ない」と思う方もいるでしょう。しかし、実は「スマホ注文」は、お客さん側のメリットがとても大きいものです。

例えば、マクドナルドなどのファストフード店で、自分の後ろに並んでいる人に遠慮して、ゆっくりとメニューを選べなかったという経験をした方は多いと思います。後ろに並んでいる人も決して急かしているわけではないと思いつつも、どうしても気になってしまいますよね。そんな時、「スマホ注文」であれば、誰の目も気にせずにゆっくりとメニューを選べます。

また、お店での待ち時間も削減できます。事前にスマートフォンで注文と決済を済ませておけば、あとは商品を受け取るだけです。大体の「スマホ注文」アプリでは、時間指定ができますので、ランチのお弁当を朝に注文・決済しておき、昼休みと同時に受け取りに行くといった使い方も可能です。

さらに、中にはクーポンやポイントが付与されるアプリもあります。たとえば、前出の「Rakuten Ready」は、事前注文・決済が完了すると、100円につき1ポイント(1円相当)が付与されます。お客さん側は、利用するだけでポイントが貯まるため、使わない手はありません。

店舗側にもメリットいっぱい

カフェ スタッフにスマートフォンを見せる女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/One」

この記事をお読みいただいている方の中には、店舗を運営している方もいるでしょう。「スマホ注文」を導入することで店舗側のメリットはあるのでしょうか。

「スマホ注文」は、利用者側に数多くのメリットがあるように、導入する店舗にもメリットがあります。一番のメリットは、お客さんを待たせなくて済むという点。先ほども紹介したように、お客さんの一番のストレスは店舗で待たされることです。いくら料理が美味しくても、長く待たされた場合、お客さんには「待たされた」という悪印象が残るでしょう。

また、客単価の向上も期待できます。たとえば「食べログオーダー」には、おすすめメニューを紹介できるレコメンド機能など、客単価向上につながる機能が搭載されています。その結果、「食べログオーダー」の導入で、月間客単価が20%アップした店舗もあったそうです。

お客さん側にはメリットしかない「スマホ決済」ですが、店舗側にとってはデメリットもあります。一番のデメリットは、利用料がかかる点。「食べログオーダー」は、1店舗あたり初期費用15万円のほかに、月額1万5000円の利用料がかかります。

お客さん側には、積極的に利用することをおすすめしますが、店舗側にはこうしたデメリットもあることを把握したうえで、導入検討される事をおすすめします。