椎名林檎の世界観に300万円を捧げた趣味人
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椎名林檎の世界観に300万円を捧げた趣味人

趣味とお金とわたし

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今回の趣味人は、福岡市中央区薬院で居酒屋「喜人(きじん)」を営む三橋邦弘さん。椎名林檎ファン歴は20年。今では店自体がファンの間で“聖地”と呼ばれ、親しまれています。そんな三橋さんが、椎名林檎ワールドに惹かれる理由を伺ってきました。

今回の趣味人:喜人 店主 三橋邦弘さん

音楽が昔から好き

音楽が昔から好き

音楽が昔から好きで、高校時代からヘビーメタルバンドを組んで活動していたんです。担当はドラム。でも当時はヤンキーカルチャー全盛期だったので、ものすごく肩身が狭かったですね。かなりオタク色強めの存在だったように思います(笑)。でも18歳の時にテレビで「三宅裕司のいかすバンド天国(通称・イカ天)」が始まって、バンドブームが盛り上がってからは活動にもさらに熱が入り、舞鶴のライブハウス「DRUM Be-1」などでライブをさせてもらったりしていました。林檎さんも福岡時代は西新の「Ja-Ja」(現在は閉店)でライブをやっていたそうですが、ちょっと世代が違うので、残念ながらその頃のことは知らないんです。

先輩の行動が明らかに。そして衝撃がやってきた

ある日、音楽仲間の先輩たちが、「BS ヤングバトル」という、ここで優勝したらプロになれますよ、的なコンテストで優勝して上京したんです。その後、他のバンドメンバーは福岡に戻ってきたんですが、ドラムの先輩だけが帰って来ない。それで理由を聞いたら「椎名林檎のバックバンドに入りたい」と言って残っていると。残念ながらそれは叶わなかったのですが、そこで初めて「椎名林檎はすごいらしい」というのが話題になって。それまで、「ロックは洋楽やろ!」と思っていたのですが、先輩の行動が気になって、一度じっくり聞いてみたんです。そしたらもう、衝撃しかなかった。音もそうですけど、彼女が醸し出す世界観にショックを受けてしまったんです。

ファン活動がきっかけで、人生一番の出会いも

ファン活動がきっかけで、人生一番の出会いも

それが彼女のデビュー年1999年のことで、以降、CDやDVDは出るたびに全部購入しています。ファン歴20年になりますけど、毎回衝撃をもらえるんです。僕自身は、30歳で音楽活動にけじめをつけて飲食業界に進み、33歳でこの店を持ったんですが、オープンから17年、店では毎日欠かさず彼女の音楽を聞いています。そんな感じだったので、「喜人の大将は椎名林檎ファン」という話が広まって、気がつけばファンの方々が少しずつ遊びに来てくれるようになったんです。そのうちのひとりが妻なんですが(笑)。

ファン活動にトータルでかけた金額は?

ファン活動にトータルでかけた金額は?

CD、DVD、ライブ代、グッズ代…。ファン歴20年ですから、もしかしたらトータル300万円くらい投入してきたかもしれませんね。

今、一番手に入れたいグッズは…

店に並べているグッズは、妻が持っていたものも多いんです。彼女は林檎さんと同世代で、雑誌を切り抜いてコレクションもしていたくらい。あとは店に来てくれるファンの方々からのプレゼントも多いですね。前に北海道から来てくれた方が、「この切り抜きもらってください!」と、かなり昔のものを綺麗にファイリングして持ってきてくれて。さすがに貴重だしもらえませんと言ったら、「いや、私ももう1セット持っているから大丈夫です」と。ありがたい話です。

《写真上は大将の一番のお気に入りだというプラモデル。友人から1つプレゼントされ、気に入ってあと2つを販売店から取り寄せたのだとか。写真左は、北海道のファンの方がプレゼントしてくれた貴重な切り抜き》

今一番欲しいものは、毎回ライブの時に販売される手旗です。一番最初のツアーのものだけ持っていなくて。オークションとかでも出ないかな〜と、夫婦であれこれ手を尽くしているんですけど出てこない。そうですよね、ファンにとっては貴重ですもん。あと2018年のツアーで着物や帯が販売されていたんですけど、帯くらい買えるかな?と思っていたら予算オーバーで諦めました(笑)。バイトの子は一生懸命貯金して、一式購入したみたいです!

ついに、その時が来た!

ついに、その時が来た!

4,5年ほど前のことになりますが、なんと、本人が店に来てくれたんです。ご友人が「椎名林檎を応援している店があるよ」って言ってくれたみたいで。その日、店ではたまたまオフ会が開催されていたんですけど、突然の来店に僕はもちろん、店内騒然ですよ。滞在はわずかな時間でしたけど、一生の運を使い果たしてしまった気がします。悔まれるのは、僕自身パニック状態でほとんど話せず、サインすらもらい忘れてしまったこと。今となっては夢だったんじゃないかと思っています。2回目、あるのでしょうか。でもまた来て欲しい気持ち半分、やっぱり遠くから見ているだけで十分な気持ち半分です。

20年ぶりに、復活させました

20年ぶりに、復活させました

実は今年から、またドラムを叩き始めたんです。スタジオを借りて林檎さんの音源を流しながら合わせて叩くんですけど、叩きながら改めて曲の奥深さを知ったりして、毎回唸ってますね。実は全国各地の椎名林檎ファンが、割り当てられた課題曲を練習して披露する大会が開催されていて、僕も来年、挑戦できたらいいなと思っているんです。課題曲は「丸の内サディスティック」。最近は店にもドラムパッドを持ち込んで必死で練習しています。

《写真大.三橋さんの名刺には、自らが描いた椎名林檎のイラストが。写真左.オープン当時、店の壁は白だったが、椎名林檎が音楽監督を務めた映画「さくらん」に影響を受けて赤に塗り替え、自ら絵を描いた。まだ制作途中で、最終的には天井まで描き広げる予定》

ファンになったからこそ、広がった世界

ドラムを復活させたこともそうなんですけど、着物を着て店に立つようになったり、絵を描くようになったり、椎名林檎というアーティストに惹かれるようになってから自分の中に様々なチャレンジや創作意欲が生まれて、世界が広がった気がしますね。全国からお客さんが遊びに来てくれたり、バイトの子たちが集まってくれるような、いいつながりが生まれたのも彼女のおかげなのかもと。もともと「誰かが元気になるような場所を作りたい」と思って店を持ったのですが、それが椎名林檎ファンであることを通じて、少しずつカタチになってきているところが嬉しいです。

「喜人」店主 三橋邦弘

福岡県出身。高校時代から30歳まで、ドラマーとしてバンド活動を行う。20代後半から飲食業界でも経験を積み、33歳で独立して、居酒屋「喜人」をオープン。同じく椎名林檎ファンの奥さまと店を切り盛り。2児の父。

喜人

住所:福岡市中央区薬院2-4-26 1階
電話:092-716-2502
営業時間:18:00~24:00 (L.O. 23:00)
休み:木曜(営業の場合もあり)

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