大好きなことが仕事になった!フィギュア原型師のお仕事
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大好きなことが仕事になった!フィギュア原型師のお仕事

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足の踏み場がないほど、フィギュアがぎっしりと並べられた仕事場。「自分が作ったものもありますが、買ったものもたくさんあります」と、ニコニコと話す岩倉圭二さんの様子に、この仕事が大好きな様子が伝わってくる。どうやって好きなことを仕事にしたのか、これまでの道のりを聞いた。

Q.フィギュアの原型は、どのようにして作るのですか?

Q.フィギュアの原型は、どのようにして作るのですか?

基本は、グレーの粘土でキャラクターの形を作ります。まず、そのキャラクターらしいポーズを考え、針金で芯を作り、ざっと粘土をまとわせます。そこにさらに粘土で肉付けをして、最終的に表面は大小のヘラで削り出します。この粘土はオーブン粘土といって、焼いて初めて固くなるので、それまで「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら形を作ることができます。最後は、オーブンで焼いて、原型の完成です。

メーカーではこの原型を元に、まるで鯛焼きのように流し込むための型を作り、PVCやソフトビニールといった素材を流し込んで、フィギュアが完成します。

Q.岩倉さんが得意とするフィギュアはどんなものですか?

フィギュアには大きく分けて4種類くらいあると考えています。美少女もの、メカもの、クリーチャーもの、映画やアニメの登場人物もの。僕は、映画やアニメに登場するキャラクターとクリーチャー的なものを作ることが多いです。

最初にフィギュアと出会ったのが20代前半です。友人の家で見せてもらってそのかっこよさに驚き、その足でトイザらスに行って買ったのが、アメリカンコミックの『SPAWN』というキャラクターでした。それ以来、ちょっと生々しくグロテスクで、筋肉質なキャラクターが好きですし、そういうものを作る時に自分のよさが出るような気はします。

Q.そもそも、どうやったら原型師になれるのですか?

わからないですよね! 僕も、美術系の勉強でデッサンはしていましたが、造形はまったくやったことがありませんでした。そもそも最初は仕事にしようなんて考えはなく、とにかくカッコイイものを作りたい!の一心でした。

最初に作ったのは、大好きなアーノルド・シュワルツェネッガー。ネットも今のようには使えない時代ですから、資料となる写真が豊富にあるわけではありません。映画『ターミネーター2』のビデオをコマ送りしながら、細部をスケッチしていきました。「あ、やっとジャケットの脇のところが見えた!」なんて、地道な作業です。そしてそれをフィギュアにして…。ひたすら全ての過程が楽しかったですね。

それからも趣味として、バットマンなどのアメコミヒーローを作っていました。それはそれは楽しい毎日なのですが、父から「仕事はどうするんだ?」と聞かれまして…。この楽しいことが仕事にできたらうれしいなと思い、1年の間でプロになれなければ就職活動をするという約束で、時間の猶予をもらいました。

それから、フィギュアの雑誌を発行している東京の出版社に、作品を見てもらいに行きました。「原型師になりたいのですが…」と話すと、「それなら、ここじゃないね」って。確かに行く場所を間違っています(笑)。ただどこへ行けばよいのか、分からなかったのです。お会いした編集者がとてもいい方で、メーカーを紹介してくれ、そこで「すぐに発注することはできないけれど、トライアルをやってみますか?」と言ってもらえました。それからは、作ったものを見てもらってはアドバイスをもらい、また作り直して…の繰り返し。そこから少しずつ発注をもらえるようになり、仕事になってきた感じです。

Q.自力で仕事を手繰り寄せた感じですね。そうして手にした仕事はいかがですか?

楽しいの一言です。こんなに好きなことをしているのに、お金をもらっていいのかな?という気持ち。フィギュアづくりを仕事にすることが最初の目標だったので、これからの目標は、これで食べ続けることです。

だいたい一つの原型を作るのに、1ヶ月くらいの時間を確保します。その中で実質作業しているのが、2週間くらいでしょうか。よくも悪くも、僕が原型を作ると、「キャラクターそのまま」にはなりません。僕の好きな筋肉質のフォルムになっちゃうんですよね。これは『ドラゴンボール』の大猿です。神龍も作ったことがありますよ。だんだん自分向きの仕事がやってくるようになりました。

もちろんたまに、全くこれまで興味がなかったキャラクターを作ることもあります。その時は「どこが魅力なのかな?」「どう打ち返したら、自分に発注してもらった意味があるかな?」などじっくり考えて取り組みます。

こちらはオリジナルで作った「悟空」です。これは映像制作を仕事にしている友人と、「いつかアニメを作ろう」と考えて、数年来コンセプトやキャラクター、絵コンテを作っているものです。いつか形になるといいですね。

誰しも承認欲求ってありますよね。「いいね!」と言ってもらいたいものです。僕は制作や仕事を通して認めてもらっていることが、こんなに楽しく働いている理由の一つでもあるかもしれません。

Q.フィギュアのよさは、どんなところにあると思いますか?

Q.フィギュアのよさは、どんなところにあると思いますか?

なにより、手で触れるところです。映像やマンガでしか見たことがないものが、厚みをもって手に取ることができるのは、二次元とは違った楽しさがあります。

立体ならではの「自分のものにできるうれしさ」というのも感じます。時々公園で、子どもたちがフィギュアをぶつけ合ったり、投げ飛ばしたりして無茶な遊び方をしているのを見ると、なんだかうれしくなるんです。あれは自分の分身として遊んでいるのだと思います。

Q.岩倉さんは、子どもたちが参加できるワークショップもされているとか。どんなことをしているのですか?

子どもに限らず、大人も参加してもらえるフィギュアづくりのワークショップをしています。特に大人は、幼稚園の粘土遊びくらいから経験が更新されていないので、「私は作れないです!」と頑ななのですが、いざ作り始めると、意外にみなさん熱中して作られますよ。

ワークショップをやっていて一番楽しいのは、僕自身がびっくりできること。以前、これは定番なのですがうんちを作っていた子がいました。その子はその後、それを囲うトイレをつくり、さらにそれに座る人間を作っていました。内心(そうくるかー!)と舌を巻きました。

Q.岩倉さんのお金の使いみちを教えて下さい

やっぱりフィギュアです。買わないということは、興味がなくなってしまう時で、そうなると作れなくなってしまうような気がします。購入したフィギュアの足の裏を見ると、飾ってしまえば見えないその部分まで、しっかり作りこまれているものがあったり。作り手の愛情を感じて、自分も心を込めて作らなければ!と気持ちが新たになります。

フィギュア原型師 岩倉圭二

フィギュア原型師 岩倉圭二

北九州市在住。『ONE PIECE』や『ドラゴンボール』などの人気漫画・アニメ作品から、『バットマン』『ミュータントタートルズ』などの海外映像作品まで、幅広いキャラクターのフィギュア原型を手掛ける。

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