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30代年収400万の妥当な貯金額は?浪費癖アリの彼との結婚に迷い

FPにききたいお金のこと 内山 貴博

30代年収400万の妥当な貯金額は?浪費癖アリの彼との結婚に迷い

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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、結婚を考える彼の浪費癖が気になっている30代女性Wさんのご相談です。

30代独身女性Wさんからの相談内容

30代独身です。将来的には、結婚したいと考える31歳の彼がいます。しかし彼には浪費癖があり貯金がほとんど無いようです。30代で年収400万くらいだと、貯金残高はいくらくらいが妥当なのでしょうか?

30代、年収400万円の場合の貯金額は?

将来結婚するとなると、年収や貯蓄といった経済力も気になりますね。お金の話は価値観の違いにもつながりますので、結婚前にしっかり話しておく方が良さそうです。気になる貯金の平均値などを紹介しながら、夫婦でどのように家計管理をした方が良いかを一緒に考えていきましょう。

「30代かつ年収400万円」といった具体的な貯金平均額について調べるのは難しいですが、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」によりますと、30代の2人以上の世帯で金融資産を有している人の割合は76.1%、有していない人の割合は23.9%となっています。

2人以上のため独身世帯はカウントされていません。結婚して配偶者がいる、養うべき子供がいるといった複数人で構成されている世帯に絞っても4世帯に1世帯は貯蓄ができず、毎月の収入でなんとかやりくりしている状況にあることが分かります。

年収別で見ても、年収300万~500万円の世帯の23%が金融資産ナシと回答していますので、同様の結果となりました。

貯金(金融資産)の額は平均値と中央値を紹介します。平均値はかなりの資産を有している一部の影響を受けて高くなりがちなので、ちょうど真ん中の層を表している中央値の方がより実際を反映していると考えてください。
なお、「金融資産を有している世帯」の値であるため、約23%の金融資産を有していない世帯は含まれていません。

<金融資産を有している世帯の金融資産額>

知るぽると「金融資産の状況等」より

平均値、中央値は参考程度に

貯金
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先に紹介した中央値を参考にすると、400万~500万円ぐらいの貯金が目指すべき1つの目安となりそうです。ただ、あくまで参考程度にとどめておいてください。

FPへの相談の中でも「他の人はどうしていますか?」「平均はどれくらいですか?」と家計全般についてよく質問されます。ただ、同じ30代でも、同じぐらいの年収でも、それぞれ立場や状況は違いますし、価値観も異なります。将来のライフプランを考えた時、主人公はあくまでWさんです。

例えば、「貯金優先で趣味や外食をすべて犠牲にする」という生活を想像してください。何が何でも貯金優先というスタイルを望む人もいれば、そうじゃない人もいますよね。もちろん、今回のご相手のように浪費癖があり、ほとんど貯蓄がないのも困りますが…。あまり平均値や中央値にこだわると焦燥感に駆られて、常に我慢し続ける生活を送ってしまうことも考えられます。まずは浪費癖を直し、それから貯蓄体質にするといった具合に、2人で協力しながら無理ない範囲で少しずつ貯金してください。

お金の貯め方より使い方の見直しを

ルール
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通常、お金を上手に貯めるには手取りの1~2割を先に貯蓄に回し、残った金額で生活をする「先取り貯蓄」が有効とされています。ただ、今回の場合、「浪費癖がある」ということなので、せっかく貯めたお金も途中で使ってしまう可能性もあります。よって、まずは「お金の貯め方」よりも「お金の使い方」に目を向けてください。

例えば頻繁に飲みに行きたくさんお金を使ってしまう傾向にあるのか、パチンコや競馬が好きなのか、高価なブランド品などに興味があり衝動買いをするのかなど。おそらく何らかの傾向があると思います。まずはその主たる要因から改善を試みてください。

一気に「無駄遣いゼロ」は難しいので、例えば「飲みに行くのはOK。ただし1カ月あたり〇円まで」といったルール作りが有効だと思います。加えて、「貯めたお金で旅行に行く」など近い将来に楽しい目標を設定するのも効果的です。しばらくは貯金が増えなくても、まずはこういった意識を変えるところから着手してみてください。焦らず長期的に向き合うことが重要だと思います。

お金の管理を夫婦共同で

筆者が海外の論文等を調査した結果、「夫婦共同でお金の管理をしている割合が高いほど、お金への注意力が高い」という傾向にあることが分かりました。筆者の経験則の限りではありますが、日本において、特に40代以上の夫婦は、「家計管理は妻が担い、夫はお小遣い制で家計に無頓着」という形態が非常に多いと感じています。これは夫婦で協力して資産を増やしていこうという意識の希薄化にもつながります。

また、お小遣いの範囲でのやりくりとなると、夫がお金に関する一般的な知識を身に着ける機会も少なくなります。夫婦が共同で家計管理を行い、保険の見直しから税金、そして貯金まで協力することでそれぞれがお金の知識を高めることができ、注意力も高まります。その結果、よりお金を貯めやすい状況や仕組みを作りやすくなるでしょう。

ぜひ、細かいお互いの欠点などを指摘し合うのではなく、まずはちょっと先の楽しい目標を掲げ、お互いで協力して楽しく貯金ができるような作戦会議から始めてみてください。