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期待と不安入り混じる「ChatGPT」、AIと共存していく未来とは

経済とお金のはなし 中新 大地

期待と不安入り混じる「ChatGPT」、AIと共存していく未来とは

【画像出典元】「PopTika/Shutterstock.com」

こんにちは、コピーライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

成長著しい現代のテクノロジーにおいて、特に急速に発展し、人々に注目されているのは「AI(人工知能)」の分野でしょう。その中でも多くの話題を呼んでいるのが「ChatGPT」。

人々の生活を便利なものにするとも、人々の仕事を奪ったりするともいわれる存在です。このサービスの登場で、あらゆる業界がざわついています。

今回はそんなChatGPTについて、その概要と人々とのこれからの関わり方についてご紹介します。

膨大なデータを参照?話題の人工知能「ChatGPT」とは

今話題のChatGPTはベータ版が無料で公開されており、多くのユーザーがAIとのやり取りを楽しんでいます。ですが、いったいどうやって成り立っているのか、どんなことに使えるのか、正しく理解している人は多くないのではないでしょうか。
まずはこの部分を明確にしておきましょう。

いかがでしょうか?なんとなく理解いただけたでしょうか。

実はこの『』内の回答こそが、ChatGPTによって生成されたものです。はじめにChatGPTへ、「『ChatGPT』とは?技術的な部分や用途を含めて、分かりやすく教えてください」。と伝えました。すると出てきた回答が専門的な用語ばかりでまだまだ難しかったので、「もうちょっと分かりやすく」と会話方式で伝えると、ここまで良心的な回答を生成することに成功しました。

ChatGPT自身が語るように、ChatGPTは多くのテキストデータを参照してユーザーの問いに答えてくれるチャットボットのようなサービスです。ChatGPTの説明に対して「ありがとう」と伝えると、『どういたしまして。何か他に知りたいことがあれば、遠慮なく聞いてくださいね!』と返ってくるという優秀さ。非常に分かりやすく、それでいて自然な会話を実現しています。

「教師あり学習」「強化学習」「転移学習」、さまざまに学ぶAIたち

AI
【画像出典元】「stock.adobe.com/Somchai」

多くの情報を参照し学びながら成長するAIですが、その成立に至るまでにはいくつかの学習の形があります。

まず1つ目が「教師あり学習」。これは事前に教えた正解のデータを使うことで、新しいデータを分類するもの。分かりやすく言うと、犬の写真をたくさん用意して、それを犬だと教えた上で新しい写真を見せると、それが犬の写真かどうかを判別できるようになります。

2つ目が「強化学習」。これはAIが導き出した回答に対して都度異なる評価を与えることで、AIがより最善な答えに近付こうと試行錯誤するものです。私たちがRPGで何度も失敗しながら、ボスを倒すための最善ルートを探すのに似ているかもしれませんね。 

3つ目が「転移学習」。これはAという事例で導き出した回答をBという事例に応用するもの。例えば犬の写真を分類するモデルを作ったら、猫の写真を分類することもできるようになるイメージです。

ChatGPTが用いているのは「教師あり学習」のうち「言語モデル」というもので、言語処理に長けています。ChatGPTの対抗馬と目されているのがGoogleの「Bard」ですが、こちらは教師あり学習と転移学習の両方を使っており、幅広いタスクを処理できると期待されています。

あらゆる業界に影響力、ChatGPTでできること

冒頭で紹介したようにChatGPTは、インターネット上にあるさまざまな情報源から答えを導くことができるサービスです。

「どうして人間は争ってしまうのか」「どうして人間は恋をするのか」といった漠然とした質問にも回答してくれますし、これに「哲学的に答えてください」「小学生に分かるように答えてください。」といった“条件”を付け加えることもできます。

しかし、ChatGPTはその頭脳明晰ぶりを活かして、質問への回答のみならず、ビジネスでも使えるような“提案”をも可能にしています。

例えば、私が「東京で飲食店を始めたいと思っています。どこに開業して、どんなものを売ればいいだろう?」と伝えると、『東京は、飲食店の種類が豊富で、競争も激しいため、開業前に十分な調査と計画が必要です。以下は、開業前に考慮すべきポイントです。』と述べた上で、『1.地域の需要と競合状況、2.メニューとコンセプト、3.資金調達と予算、4.マーケティング戦略、5.衛生管理や法律関連の問題』をまとめ上げ、(ここでは詳細の記載は省きますが)それぞれについて分かりやすく、自然な提案をしてくれました。

さらには「100文字でホラー小説を書いてください」といった要望にも応じてくれます。100文字の縛りが厳しすぎたかなとも思いましたが、登場人物もシチュエーションもちゃんと分かる、きれいな物語を作ってくれました。皆さんもいろいろな条件を加えた上で、ぜひ試してみてください。

ChatGPT登場で起こる期待と不安

AIと人間
【画像出典元】「stock.adobe.com/Photobank」

ChatGPTの登場によって、生活が便利になるという期待とともに、仕事が取られるという不安があるのも事実です。確かにChatGPTの登場によって、人間が行ってきたことの一部は代替されるかもしれません。冒頭でChatGPT自身が述べた、カスタマーサポートなどが最たる例かもしれません。

しかし実際に使ってみると、「○○についてキャッチコピーを考えてください」といった少々クリエイティブであったり、情報の受け手にその如何を委ねたりするような“余白”のある回答はまだ難しいように感じます。つまり、その返答は自然ではありますが、どこか物足りなさや、既視感を覚えるようなものばかりなのです。

もっとも、AIは日々新しい情報を参照しながら進化しているので、あくまでも現時点にはなりますが、ChatGPTが得意とするのはインターネット上に明確な答えや事例があるような返答といえます。

ただ、教育への影響は確かに心配なものがあります。
なぜなら、子供たちは自分の宿題をChatGPTにやらせることもできてしまうからです。当然、ChatGPTは求められたことを善悪の判断無しにこなしますから、これをやられてしまっては子供の学力低下はもちろん、得意不得意を推し量るのも難しくなるかもしれません。ChatGPTは子供自身が読んでいない本の読書感想文だって書けてしまいます。

実際、ニューヨーク市は生徒の学習への悪影響とコンテンツの安全性や正確性への懸念を理由に、学校のコンピューターからChatGPTへアクセスできないようにしました。もっとも、自分の家からは使えるのでいたちごっこといえますが。

ChatGPTの登場によって、学校や先生そして親は、新しい教育の形や評価基準について考える時が来ているのかもしれません。もちろん、生徒自身も教育の重要性やあり方について、きちんと理解し、主体的に行動していく必要があるでしょう。

AIと人間の共存の形

AIと人間の共存
【画像出典元】「stock.adobe.com/waranyu」

AIと人間がどう共存するかは、その黎明期から常に語られてきたテーマです。
少なくとも“現時点”では、AIは人間側が上手く条件を与えることで、プライベートにおいてもビジネスにおいても、極めて頼りになるパートナーとなってくれそうです。いくらAIが自然な解答や提案を導き出したとしても、その決裁権を握っているのは人間であり、それらを監修する人、特に資格保有者などは依然として重宝されそうです。

マニュアルがありチャットなどで対応する業務などは、AIが取って代わる最たる業務かもしれません。しかし、これも『人間と直接話さないと、落ち着かない。信用できない』というニーズがある限りは、存続し続けることでしょう。

私たちはAIにどこまで任せられるか、あるいは何を任せられないのかの基準の議論や責任等の法整備を進めつつ、浮いたリソースを人類のさらなる発展へ有効活用することが求められるのではないでしょうか。

また、今回のChatGPTのように、その利便性と扱いの難しさの両方について実際にふれてみないことには、AIに関する議論・活用の場に立つことはできません。本記事執筆時点のChatGPTのベータ版は、メールアドレスと電話番号を登録すれば無料で使うことができます。
皆さんもChatGPTとの会話を気軽に楽しんでみてくださいね。