お金

納税のために借金をすることもある弱小企業の社長の暴露と悲哀。

「お金0.2から2.0まで」新しい経済のルールと生き方を考える 中村 修治

納税のために借金をすることもある弱小企業の社長の暴露と悲哀。

【画像出典元】「Inside Creative House/Shutterstock.com」

ワタシ(中村修治)が代表をやっている有限会社ペーパーカンパニーは、めでたく本年で創立30周年を迎える。合計360回の月末の支払いを行い、30回の決算を済ませ、毎年2月と8月に、税金を納めている。法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税・消費税を振り込んできた歴史を有している。

お金だけの話をすると、納税の度に、大きなリセットが繰り返される。‟何のために働いているのだ!?ワタシは!?”という経験を、60回もしているのである。

納税のために借金をする社長がいるのだよ。 

この世には、納税時期に会社のお金がなくて、やむなく借金をする本末転倒な社長さんがいることを知っておいて欲しい。

弱小企業なんて、大抵は、チャリンコ操業である。蓄えがあったとしてもせいぜい3ヶ月先くらいまでだ。頼みの綱だった、請求していたお金の振り込みが遅れる。突然、キャッシュが必要なことが起こる。そうなると、一挙に、お金がなくなる。ちゃんと税金を納めるための別口座を用意している賢い経営者は、少ない。ワタシのまわりには、皆無である。笑

そうやって、準備を怠っている経営者は、納税の時期になると焦り出す。どうしてもダメなときは、金融機関等に飛び込んで、納税のための借金を頼む。

ホントに、馬鹿だなぁと思う。
反省がまったく活かされない。

国税さんからの電話って、どんなのよ!?

経営者なんて30年もやっていると国税のコールセンターからご指名で電話をいただくことがある。消費税の納税の遅延については、なかなかに厳しい。

そのありがたいお電話の内容は、税金をいつ納付いただけるかという確認。不徳のいたすところである。「×月末日には納付しますよ」と答えると「もう少し早くなりませんか」と言われる。確かに・・・。でも、コールセンターの電話口の人間は、きっとアルバイトかなんかである。マニュアルに則してたくさんの経営者に督促の電話をさせているのである。「×月末日に納付すると約束しているのに、なぜ早くというのですか?」と問うと、その明確な答えは、悲しいかな、ない。頼まれてやっているだけだから仕方ない。ワタシが、ちゃんと期日までに納税しておけば良かっただけの話である。

しかし、ちゃんと税金を納めることを前提で言わせてもらいたい!!

こちとらずっと井戸を掘り続けているのである。税金を払うために、また、違う井戸の水を汲み上げに行くのである。自分で井戸を掘ったこともない人たちだけで動いているであろうオペレーションが、どれだけ弱小企業の経営者のやる気を損なっているかをお考えか?そもそも、水は自らが掘りにいかないと手に入らないものなのによぉ!!と悪態をつきたい衝動に駆られながらも、納めさせていただく。

1円の延滞金の督促が、63円のハガキでやって来る!!

この世に文字というものが生まれたのは、およそ6000年前。それも定かではない。印刷技術の始まりは、中東の粘土板に刻まれた楔形文字に遡ると言われている。この印刷技術は英雄や神様の物語を記録するために生まれたと思われがちだが、実際は違うらしい。現存する、その大半は、小切手や納税用紙や約束手形だったというではないか!?笑

印刷技術は、文化を広め、歴史を遺してきた。しかし、神様の物語とともにコピーされ続けてきたものは、手形や納税用紙だったのである。
歴史上最大量の印刷物は「預金通帳」。
いちばん印刷されてきたものは「紙幣」。

納税に遅れると延滞金が発生する。申し訳ない。短い間でも、それは発生する。ワタシの元には「1円」の延滞金の納付の依頼が、63円のハガキでやってきたことがある。

文句は、言うまい!!
すべてワタシの不徳の致すところである。
ワタシが、無駄な税金を使わせてしまっている!?
そうか!?ホントにそうなのか!?

弱小企業を30年も経営していると、こういう切ないことがいっぱい起こる。起業したいなんて言っている若い人たちには、忠告しておきたい。納税の現実と矛盾と不条理をつきつけられるのが起業だよと。

29期の納税も終わった。こうやって、この時期のモヤモヤを書かせてもらえるmymoに感謝である。またまた、リセットである。
何のために働いているのだ!?ワタシは!?