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貯金がない人ほどしっかり保険に入っておくべき?/30代女性相談

FPに聞きたいお金のこと 白浜 仁子

貯金がない人ほどしっかり保険に入っておくべき?/30代女性相談

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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、インフレで家計の支出が増える中、保険にいくらお金を回したら良いか知りたいという相談です。

30代女性Bさんの相談

収入は増える見込みはないのに物価上昇で光熱費や食費、雑費など、出費は増えています。保険料はどのくらいがベストなのですか?貯金がない人ほどしっかりと入っておいた方が良いのでしょうか?

無理のない範囲でリスクに備える

あちこちで物やサービスの価格が上がって、家計の負担増を感じる人が増えてきました。
Bさんがおっしゃる通り、万一病気やケガ・死亡というリスクが起こった時、貯金からまかなうことができなければ、保険でしっかり備える必要があります。とはいえ、リスクばかりを気にすると保険料がどんどん高くなり、そのせいで貯蓄も進みません。外食をするとき、誰もが予算内で美味しくいただけるお店を選ぶと思います。保険も同じです。予算を決めて無理なく必要な保障を確保したいものです。

30代後半から保険料が増える傾向に

「SICK」と書かれた積み木とコイン
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生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯が払い込む年間保険料の平均は約37万円です。年代別で見ると、29歳以下は約21万円、30~34歳は約25万円と平均より低い一方で、35~39歳からは約39万円と急に増えています。
これは、年齢が上がるにつれて、既婚者が増え子供を持つ夫婦が多くなるなど、保障に関心を寄せる人が増えているためと考えられます。

見方を変えて、世帯年収別に保険料を比べると、年収300万円~700万円の世帯では、年間保険料32万円~33万円程度とほぼ年収による違いがありません。しかし、年収700万円以上では約43万円、1000万円以上では約58万円と大幅に増えているのが特徴です。Bさんが支払っている保険料はいかがでしょうか。

毎月の貯蓄額と保険料はどちらが多い?

家族の状況や保障の種類などそれぞれなので見直しの必要性は一概に言えませんが、統計よりずいぶん保険料が高い、抑えたい、という場合は見直しを検討してみましょう。また、筆者は、保険料の適性額を考えるとき、「月の貯蓄額を超えない範囲かどうか」をひとつの判断材料にしています。一般に万一が起こる確率は、今ある現実が続く確率より低いためです。

先のことは誰にも分かりませんが、貯蓄があればある程度は対応できます。仮にBさんの年収が統計の300万円~700万円の範囲なら、月の保険料は2.7万円(年間保険料32万円÷12)ということになります。2.7万円以上の貯蓄が出来ているかを目安にするというわけです。

死亡保障の必要性は?保障には優先順位をつけて考える

生命保険の冊子
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では、保険料を抑えたい場合はどうしたらよいでしょうか。ポイントは、保障に優先順位をつけること。特に、死亡保障は注意が必要です。一般に、専業主婦(夫)家庭や子供が小さい家庭は死亡が最も大きなリスクといえます。

死亡保障の検討をした後に、病気や入院をした場合の医療保障、三大疾病への備え、就業不能時、介護への備えなどご自身が大事にしたい保障に優先順位をつけて、劣後するものは保障の減額や解約を検討することで、保険料を軽減できます。また、健康状態によって保険料が割安になるなど様々なタイプの保険があります。既存の保険から入りなおすことで節約できる場合があるかもしれません。

遺族年金や障害年金、医療費の高額療養費制度、働けなくなった場合の傷病手当金などの公的保障も踏まえ検討しましょう。

掛け捨てタイプの方が割安で加入できる

もし、Bさんが積み立てタイプの保険に入っているなら、掛け捨て保険に見直せないかも検討してみましょう。積み立てタイプは、解約する時期によっては元本割れの可能性がありますので、払済みにするなども含め保険担当者に相談してみましょう。見直しで浮いた保険料は、まずは家計のインフレ対策に充て、もし余裕があるなら一部を貯蓄や資産運用に回すことも検討してみましょう。

日本より先にインフレを迎えた米国は、徐々に落ち着きを取り戻しています。日本も後をたどると思われますが、コロナ前の水準まで戻るかどうかは不透明です。長く効果が続く保険料の見直しは先々の安心にも繋がります。

急激なインフレに戸惑ってしまいますが、反対にライフプランを考える好機とポジティブにとらえるのも良さそうです。今のうちにお金のことを整理しておきましょう。