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大学生の息子の奨学金が「停止」…シングルマザーで教育費どうすれば?

うちの家計簿 世継 祐子

大学生の息子の奨学金が「停止」…シングルマザーで教育費どうすれば?

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿をmymoで診断する【うちの家計簿】。今回は公務員44歳女性、Yさんの家計簿です。シングルマザーで育ててきた息子さんの大学にかかる給付金型奨学金が打ち切りになり、困っているというご相談です。奨学金の仕組みと合わせて、どのような対処法があるのか解説していきます。

40代シングルマザーYさんの相談内容

シングルマザーです。夫からの養育費はもらっていません。今までなんとかやってきましたが、やっと大学に入学した長男が、学業不振で奨学金の給付を打ち切られてしまいました。本人は大学中退も考えているようです。「教育費を支援すること」を私自身の目標にしていたのでこれからお金のことをどう考えたらよいか分からなくなりました。教育費の考え方などあれば教えてください。

Yさんの家計簿は・・・?

手取り合計が31万3050円。貯金が2万5000円、手取りの約8%の金額を貯めています。大学の授業料は年払いで納付済みです。毎月3万円の奨学金を借りていました。

奨学金の認定基準は?「廃止」や「停止」などの区分の違い

日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は大学(昼間部)で49.6%、短期大学(昼間部)で56.9%、大学院修士課程で49.5%、大学院博士課程で52.2%となっており、だいたい2人に1人の学生が奨学金制度を利用していることがわかります。

奨学金の給付が受けられた場合、入学後は学校が学修状況や生活状況について奨学金を支援している機構に定期的に報告をします。学業等の成績、結果によっては奨学金の支給が停止されることがあります。

奨学金の仕組みをよく理解していないと教育費の支出に混乱が生じてしまうので、利用する際には基本的な仕組みを知っておくことが大切です。

奨学金制度では、学年末や必要に応じて「適格認定」が行われています。認定基準に基づき「継続」「警告」「停止」「廃止」と区分されます。 
※概要を記載しています。詳細は奨学金の窓口にご確認ください。

奨学金には多くの国のお金が含まれているため、入学時だけでなく奨学金の支給を受けている間も「優れた学生」であることなどが求められます。学業等において求められる成績を継続した場合に給付が受けられる支援だということをあらかじめ理解して利用することが大切です。

Yさんのお子さんは現在上記の区分ですと「停止」となっているようですので、今後学業の成績が回復すれば届出により奨学金が復活することもあります。

教育費の考え方

支出を個々の費目ではなく目的別に以下の3つに分けて考えてみましょう。

①    生活をしていくうえで欠かせない支出「消費」
②    必要ではないが今を楽しんだりするための明確な目的のない支出「浪費」
③    必ず必要ではないかもしれないが将来につながる支出「投資」

Yさんにとってお子さんの「教育費」は、子供の将来のために捻出したい③の「投資」として、今まで一生懸命お子さんのために工面されてきたと思います。親としてできるかぎり子供の応援をしてあげたいとお話いただきました。子供を応援しようと頑張ってきたのに奨学金打ち切りの連絡を受け、また、お子さんから中退の話などを聞くと目的を失うような気持ちになったかもしれません。

大学へ通うか、別の進路を選択するかは親の問題ではなく、子供の問題と考え、お子さんにとって「奨学金」が自分の将来のための「投資」となっているかじっくりお話をしていただければと思います。

教育費とは「お金をだせば正解」というものでもなく、せっかくのお金が目的のない支出の「浪費」になってしまっては元も子もありません。またYさんのお子さんが給付を受けていた「奨学金」は返済が必要なタイプですので、将来お子さんが「返済」していくお金となります。今回の奨学金停止の連絡を機に、是非お子さんと今後の進路についてしっかりお話しすることをおすすめします。

子供が大学生までにかかる教育費はだいたいいくら必要か?

教育費
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Yさんのように、子供の教育費を「できるかぎり捻出する」と考えてしまうと、ついつい目の前の一人分の支出のことを考えてしまいがちになりますが、子供の人数分、将来の進路に応じて教育費が必要となってくることを忘れないようにしてください。

Yさんの場合、2人目のお子さんはまだ高校生で、大学進学などの具体的な進路が決まっていないそうですから、常に2人目に将来かかる教育費の準備や支出のことも頭に入れながら支出計画を立てることを検討ください。進学希望先の学校がある場合は、具体的な費用を確認し、概算で構わないのでこれからかかる費用を見込んでおくことが大切です。

また教育費の支出が終わったときは自分の年齢はいくつになっているか、老後資金の準備はできているかなども念頭に置きながらお金の流れをイメージしておきましょう。お子さんが大人になって自立したあともYさんの人生は続きます。「今」と「将来」が見えるように、ざっくりでいいのでお金の収支とライフイベントを含めたライフプランを作成してみることもおすすめです。ライフプランを作成することで教育費に割ける金額の上限なども見えてきます。

アドバイスを受けたYさん談

奨学金が打ち切られることを全く想像していませんでしたし、事前に制度をよく理解していなかったので、驚いてパニックになってしまいました。話しているうちに教育費のお金の心配をしているのではなく、子供の進路が心配なことに私自身気がつくことができました。私にとって教育費は優先順位の高い「投資」でしたが、子供自身の将来の進路に対する気持ちが変わってきているかもしれません。まだじっくり話ができていないので、まずは話して、気持ちを聞いてみるようにします。

家計簿診断を終えて

教育費はお金をたくさんかけることが正解ということでもなく、また進路の変更などが往々にしてあり、悩ましい支出ですね。

シングルでの子育ては費用の準備も含め本当にいろんな意味で大変です。ただ教育費がかかる時期は一般的に大学生までと期間が限られており、いつまでも続く費用ではありません。ご家庭でじっくり話し合って計画をたて準備していくことをご検討ください。