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「出産一時金」50万に増額!?申請の種類や方法を忘れずにチェック!

そなえる 権藤 知弘

「出産一時金」50万に増額!?申請の種類や方法を忘れずにチェック!

【画像出典元】「Alena Ozerova/Shutterstock.com」

2022年6月、岸田総理が出産一時金の増額を表明しました。この表明を受け、2022年12月には「2023年度から出産一時金を50万円に増額する」という報道も。そこで今回は、少子化対策の一環として注目を集める出産一時金について解説していきます。

出産一時金とは?

出産一時金とは子供を出産したときに、加入している公的医療保険制度から受け取れる一時金のことです。自営業であれば国民健康保険、社会保険に加入している人やその被扶養者であれば健康保険から支給されます。支給される金額は42万円です(一部の病院で出産した時は40.8万円)。

正常分娩の場合、出産は病気やケガとは異なるため健康保険の適用対象外となります。そのため分娩費用や出産に伴う入院は全額自己負担になり、経済的負担が大きくなります。この自己負担分をカバーする制度が出産一時金です。

出産にかかる費用は?

一口に出産費用と言っても、大きく分けると2種類の費用が存在します。

妊婦健診費用

妊娠が判明した初診から出産までの期間中、妊婦健診が定期的に行われます。妊婦健診は公的医療保険の対象ではないため、健診費用は全額自己負担です。ただし母子手帳の交付を受けた後は、居住地の自治体から「妊婦健診14回分の補助券」が配布されます。この補助券を使うと大きな自己負担はなくなります。なお自治体によって補助の上限額が異なり、医療機関によっては補助の上限を超えることもあります。

分娩・入院費用

厚生労働省の発表によると、令和2年度の公的病院の平均出産費用は45.2万円、全施設の平均出産費用は46.7万円でした。また公的病院における都道府県別の出産費用を見てみると一番高額だったのは東京都の55.3万円で、一番費用が安かったのは佐賀県の35.1万円でした。その他、出産費用に影響を与える要因として地域の所得水準、医療費水準、物価水準、私的病院の割合、妊婦年齢等があげられるとしています。

その他に里帰り出産の交通費、ベビー服やベビーベッドなど育児用品の購入費用も必要でしょう。

出産一時金の申請方法

出産一時金
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出産費用をカバーしてくれる出産一時金、受け取り方法は以下の3パターンです。

1.直接支払制度

出産する人と病院が「出産育児一時金の支給申請及び受け取りに係る契約」を結び、病院が健康保険に出産一時金を申請する制度です。この制度を活用すると出産一時金が病院へ直接支払われるため、出産する本人が出産費用を立て替える必要がありません。ただし出産一時金は42万円であるため、42万円を超えた部分は自己負担です。

2.受取代理制度

出産前の申請が必要ですが、受取代理制度も直接支払制度と同じように、費用の立て替えが不要になる制度です。病院によって直接支払制度と受取代理制度、どちらを採用しているかが異なるため、事前に相談しましょう。

3.直接申請

出産費用を病院へ支払った後、出産した本人が健康保険の請求を行います。その後、被保険者等へ出産育児一時金が振り込まれます。直接支払制度や受取代理制度を導入していない病院で出産する場合に選択されることが多いです。なお申請は出産日の翌日から2年を経過すると時効となるので注意しましょう。

出産費用の準備

出産に関連する費用は妊婦健診の補助券や出産一時金があるので、それほど大きな自己負担は発生しません。そのため出産費用そのものよりも、その後の教育費を含めた生活費について考えることが重要です。まずは出産前に生活費や生活スタイルを棚卸ししましょう。

公的制度を活用しよう

出産のための蓄え
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出産一時金や妊婦健診の補助券以外の公的サービスを取り上げてみましょう。

出産手当金:健康保険の被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときに出産手当金が支給されます。

育児休業給付金:雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子供を養育するために育児休業を取得した場合に支給されます。

厚生年金の保険料免除:産休中及び育休等の期間中、健康保険や厚生年金保険の保険料が免除されます。

国民年金保険料の免除:産前産後期間中の国民年金保険料が免除されます。

所得税の医療費控除:異常分娩等で医療費が高くなった場合、所得税の医療費控除を適用できることがあります。

異常分娩等の場合:切迫早産や帝王切開などの異常分娩の場合、手術代や入院代に健康保険が適用されて3割負担となります。また高額療養費制度も適用されます。

なお正常分娩は民間の医療保険の対象外ですが、異常分娩の場合は医療保険から給付金が受け取れます。

まとめ

少子化対策として注目が集まっている出産一時金。高額になりがちな出産費用をカバーしてくれるありがたい制度です。出産時の経済的な負担を少しでも減らすため、現在の42万円から50万円に増額される見込みです。その後の子育てに必要な費用を考えれば、まだまだ不十分ですが、これからお子さんを考えている人にとっては朗報と言えるのではないでしょうか。