お金

テスラ株売却のため?イーロン・マスク氏のTwitter買収、その真意は

経済とお金のはなし 中新 大地

テスラ株売却のため?イーロン・マスク氏のTwitter買収、その真意は

【画像出典元】「Sergei Elagin/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。
Facebook、Instagram、TikTokと、様々にあるSNSですが、そのなかで比較的歴史も古く、多くの人が利用してきたSNSといえば、やはり「Twitter」ではないでしょうか。

ある人は日々の何気ないことも手軽に書き連ねる日記として、ある人は自分の興味関心に関連した情報収集手段として。栄枯盛衰のあるSNS業界において、Twitterは安定した地位を築いてきました。

そんなある日、実業家であるイーロン・マスク氏によってTwitterが買収されるというニュースが飛び込んできました。今回はその経緯と動向についてお話しします。

イーロン・マスク氏がTwitterを欲しがった理由

まず、今回の買収騒動のざっくりとした時系列はこのようになっています。

・2022年3月14日 イーロン・マスク氏がTwitterの株を9.2%取得
・4月14日 イーロン・マスク氏がTwitterに430億ドル(約5.4兆円)で買収を打診
・4月25日 約440億ドル(約5.6兆円)でのTwitter買収が決定
・7月8日 マスク氏がTwitterの買収撤回を発表

マスク氏は言論の自由を守ることが民主主義にとって必要不可欠であると前置きした上で、Twitterはそれに応えることができていないと指摘。自らが買収し非公開企業として生まれ変わらせることを、買収の理由として掲げていました。

資産総額2190億ドル(約27兆5900億円)という世界一の富豪であり、テスラやスペースXを率いる一流のビジネスパーソン、イーロン・マスク氏。彼にとってTwitter買収は造作もないことのように思えます。ただ、買収を打診した後、詳細を協議していく過程でTwitter上に多数存在しているとされるスパムおよびフェイクアカウントの存在を疑問視。調査と解決を要求したが、納得のいく回答が得られないことに業を煮やしたマスク氏が、話をひっくり返してしまったのでした。

そして遂に、7月12日にはTwitterが契約の履行を求めて、マスク氏を訴える事態に。情報の精査を求めるマスク氏は、2023年2月以降の審理開始を求め、問題は泥沼化しています。

彼ならやりかねない?Twitter買収を止めた本当の理由

チェスの駒
【画像出典元】「stock.adobe.com/totojang1977」

表現の自由の重要性を強く主張していたマスク氏。彼はトランプ前大統領のアカウントが過去の言動を理由に凍結されたことにも疑念を抱いており、その復活も示唆していました。
買収は彼の信条を形として示すために、うってつけの手段だったとも言えます。

それでも撤回してしまったのは、なぜなのでしょうか。

実は、買収打診当初から『マスク氏は本当にTwitterを買う気(意味)があるのか?』と問う声もありました。
マスク氏は買収決定直後、4月29日に80億ドル超(約1兆円超)ものテスラ株を売却。 当初は買収のための資金準備と見られていましたが、『本当は市場に大きな混乱をもたらすことなく株式を現金化するために、Twitterの買収を利用したのでは?』『高値で売却することで、財務基盤を強化する狙いがあったのでは?』とする噂も浮上。

「真実は“彼”のみぞ知る」といったところですが、前述の通り一流のビジネスパーソンであり、ゼロから財を成したあのイーロン・マスク氏であれば、そうした手荒な手段を用いないとも限らない・・・。そう思う人も多いはず。
多額の現金を手にしたことで、マスク氏はまた新たなビジネスを始めるのかもしれません。

これからのTwitterとSNS

今後の行方が定まらないTwitterですが、混乱のさなかでも様々なアップデートが計画されています。

従来の1投稿140文字という文字数制限をはるかに上回る、2500字もの長文を投稿できる「Twitter Notes」。
仲間内だけで会話を楽しめる「Twitterサークル」。
自分へ送られた他ユーザーのリプライに対し下向きの矢印を押すことで、他のユーザーに公開されなくなる新機能など。

これらはいずれも既にテストが開始されており、表現の多様化やコミュニティのさらなる醸成、そしてSNSの誹謗中傷対策にも有効と見られています。
マスク氏が買収していたとしたら、これらの計画はどうなっていたのか・・・。トランプ大統領のアカウントの復活を掲げるくらいでしたから、「場所だけ用意してあとはユーザーに任せる」といったもっと自由なSNS、見方を変えれば無法地帯のSNSになっていく未来もあったのかもしれません。

SNSとの付き合い方を考えよう

SNS
【画像出典元】「stock.adobe.com/andranik123」

SNSはポジティブにかつ正しく使うことが大切です。
いつどこにいても豊富な情報に触れられるのはとても便利ですが、見知らぬ誰かの発信が軋轢を生むことがあるのも事実。
SNSをなぜ使うのか、どのSNSが自分に向いているのか。SNSで受け取った情報をどう処理するのか、そして自分はSNSで何を語るのか・・・。

私たち一人ひとりが、SNSとの付き合い方を考えるべき時が来ています。
誰がSNSの存在意義や方向性を管理しようと、それを使うのはいつだって私達自身なのですから。