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忘れてない?コロナ陽性で医療保険の給付金がもらえる場合とは?

そなえる 白浜 仁子

忘れてない?コロナ陽性で医療保険の給付金がもらえる場合とは?

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もし新型コロナウイルス感染症にかかった場合、医療保険に加入していれば、給付金が受けられるということをご存じでしょうか?今回は、医療保険から給付されるときの具体的な要件や、申請の方法について見ていきましょう。また、最近のコロナ保険についても紹介します。

新型コロナウイルス感染症は、従来の医療保険でも適用される?

一般的な民間の医療保険では、入院日額〇〇円という保障がついていることが大半ですが、コロナにかかって入院した場合でも、疾病による入院として給付の対象となります。

仮に入院日額5000円の保険に加入しており、10日間入院した場合は5万円の給付金を受け取れます。なお、1日でも入院したら、一時金として一括で10万円を受け取れる、といったタイプの保障もあります。

中には「コロナの疑いがあり医師の指示で入院したものの、検査を受けたら陰性だった」ということもありますが、その場合も給付の対象です。また、給付金の削減支払や不担保など特別条件が付いている契約の場合でも、コロナが原因なら特別に給付金を支払うと定めている保険会社もあります。

コロナにかかったけど請求せず、そのまま医療保険を解約してしまったという人もいるかもしれません。その場合は、保険加入当時、コロナに罹患していたことを証明できれば、給付金の請求が可能です。

入院したら保険給付が受けられるというのはイメージしやすいですが、病院が満床で自宅療養を指示されたというケースもあります。そのような場合、医療保険からの給付はもらえないのでしょうか?これは、適用される場合とされない場合があります。

〇適用される場合

コロナにかかったけれど病室に入れず、軽症者を治療するためのホテルなどの臨時施設で治療を受けた、または、自宅療養となったというケースは多くあります。その場合でも入院とみなしてくれるようです。

〇適用されない場合

濃厚接触者となってしまい、自宅や施設で待機することになったときは対象外です。もちろん待機者がPCR検査を受けて陽性になれば対象となります。また、市販の検査キットでPCR検査をすることもあるでしょう。この場合は、陽性だったとしても給付対象にはなりません。あくまで医師の診断など客観性、専門性が求められますので、自身で検査した後に医師の診断を仰げば対象とされます。

また、保健所からの療養期間が過ぎた後でも、職場の独自ルールでしばらく自宅療養をしなければならない場合もあるでしょう。その場合は、残念ですが対象外です。

申請のタイミングと方法、期限について

印鑑と書類記入
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給付金の申請は、保険会社のHPから手続きをする方法や、HPから書類をダウンロード、または、資料を取り寄せてから郵送する方法があります。保険請求の時効は3年間のため、急がないのなら体調が回復してからゆっくり申請することもできます。

入院の場合は、保健所や自治体が発行する証明書、または医療機関が発行する「診療明細書」や「退院証明書」などの書類が必要になります。

また、自宅やホテルでの療養の場合も同様に保健所や自治体が発行する書類が必要です。もしこれらの書類を紛失した等で持っていない場合は、保険会社所定の書類に保健所の証明をもらうなどの手続きが必要です。

「コロナ保険」にはどのようなものがある?

コロナ保険
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コロナを対象とした特徴のある保険にはどのようなものがあるか、見ていきましょう

〇「コロナお見舞金」(団体総合保険:新型コロナウイルス感染症一時金支払特約)

損保ジャパンがPayPayほけんサービス株式会社という代理店を通じて販売している保険です。3カ月の保険期間内にコロナにかかった場合、2万円のコロナお見舞い金を受け取れます。保険料1500円はPayPayで申し込み決済をします。また、決済時にPayPayポイントも1%付与されます。

6カ月契約なら保険料3000円、1年契約なら6000円という少し長い契約も可能です。しかし、いずれも加入後14日間は免責となっており、この間にコロナにかかった場合には支払い対象外となるので注意が必要です。

契約期間は、1日~月末を1カ月と数えるため、仮に、6月1日に加入したら6月1日~8月末までの3カ月が契約期間となり、うち6月1日から14日間は免責ということになります。

6月20日に契約した場合も同様の考え方で、同じ3カ月の契約でも月の途中となる6月20日~8月末が契約期間となります。免責期間が14日あるため、実質的に保障される期間は7月に入ってから8月末までの2カ月弱です。つまり、契約するなら月初に加入する方が保障期間が長く取れて有利になります。

もともと販売当初は、保険料500円で3カ月の契約ができましたが、想定以上の感染者が出ていることと、収束の目途がつかないことから保険料が値上げされました。お見舞金も当初は5万円だったのが今年6月14日以降の契約分から2万円に減額されています。

なお、この保険は、専業主婦(夫)や産休・育休中の人は対象外です。対象業種は国民経済維持の業務を支援する事業とされており、以下のような一定の制限がありますが、比較的広くカバーされています。

〇「コロナminiサポ保険」(特定感染症保険)

第一生命のグループ会社である第一スマートほけん(第一スマート少額短期保険株式会社)が提供する保険商品で、コロナウイルスやエボラ出血熱のような特定感染症(1~3類の感染症)にかかったと医師に診断されると特定感染症一時金が10万円給付されるというものです。10~69歳の方が加入でき、保険料は感染状況によって変動します。6月20日時点での保険料は5750円で、3カ月間保障されるようになっています。直近1年間の保険料は以下です。

こちらも14日間の免責期間があるため、その間に罹患した場合は給付の対象外です。また、保険料は自動で更新時のものが適用されます。保険の申し込みはwebで行い、支払方法はクレジットカード決済のみです。

〇「コロナ助け合い保険」(シンプル医療ほけん)

こちらは、株式会社justInCaseというベンチャー企業の保険で、コロナウイルス感染症の拡大が始まった2020年5月にいち早く立ち上げられた少額短期保険です。

感染の急拡大や、免責期間を設けていなかったことから、コロナ罹患後に不正に契約するケースもあって支払額が拡大し、現在は新規申し込み受付が停止となっています。既契約者への保障も見直され、当初は入院一時金10万円でしたが、2022年4月7日以降の入院開始分については10分の1の1万円に減額されました。

ただし、自宅やホテルでの療養を除く1泊2日以上の入院では入院費用をまかなうことができないため、justInCaseグループが見舞金として残り10分の9を支払うという配慮がされています。

〇「入院重点プラン感染症プラス」

太陽生命ダイレクトのスマ保険では、組曲BEST「入院一時金保険」の新タイプとして「入院重点プラン感染症プラス」という保障が付けられます。例えば30歳の男性で保険期間・払込期間が10年の契約の場合、月額1340円で、入院一時金10万円、災害入院一時金10万円の合計20万円が一括で受け取れる保障に加入できます。免責期間は10日、年齢や契約内容によって保険料は変わります。医師の指示により自宅やホテルでの療養となった場合も給付の対象です。

その他、FWD生命は、医療保険の特約としてコロナのような感染症と診断されたときに最高10万円の一時金が受け取れるプランなどもあります。

まとめ

医療保険
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医療保険に加入していれば、コロナに罹患した場合に給付金が受け取れることがあります。保険は万一のために入るものであり、また、自分で請求しなければ受け取れません。コロナにかかった人もですが、そうでない人も自身の保険契約はどうだったか確認しておくと良いでしょう。

また今回のようにコロナに特化した保険などさまざまな商品がありますが、不安を言えばキリがないのも事実です。多少の出費は預貯金でまかなうという考えも必要だと思います。自分の生活環境やマネープランに合わせて賢く選択しましょう。

ここでは、保険会社の一般的な取り扱いや概略の説明となっていますので、詳細は各保険会社に確認するようにしてください。

コロナ保険についてのQ&A

Q:本来入院となる病気でしたが、コロナが理由で自宅療養になってしまいました。この場合は、医療保険の入院給付は適用外でしょうか。

A:本来入院すべき状況にもかかわらず、自宅やホテルでの療養となった場合、給付対象とする保険会社は多くあります。


Q:治療費の領収書を失くしてしまいました。医療費控除は受けられないでしょうか。

A:領収書がない場合は、健康保険から届く医療費通知をもとに控除の申告をすることができます。