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都道府県民共済、メリット・デメリットを知って選べば安くて手厚い!

そなえる 権藤 知弘

都道府県民共済、メリット・デメリットを知って選べば安くて手厚い!

【画像出典元】「SewCream/Shutterstock.com」

病気・ケガをしたときの医療費の備えや、万が一のときに役立つのが生命保険や医療保険ですが、同じように役立つ「共済」という仕組みをご存じでしょうか?今回は手ごろな掛け金で手厚い保障がある「都道府県民共済」について解説します。

共済の仕組みと特徴

共済とは、組合や企業・団体が組合員からお金を集め、病気やケガ、万が一の際に経済的に助け合うというもので、基本的な仕組みは保険と同じです。ただし共済と保険で異なるところもあります。共済の主な特徴は以下の通りです。

①    共済は営利目的ではないため、毎月の掛け金が割安

共済は生命保険と同じように病気やケガ・死亡時の保障を目的にしていますが、民間の生命保険会社と違い営利を目的にしていません。そのため掛け金が割安になっています。

②加入対象は原則として組合員とその家族

組合員と聞くとハードルが高そうですが、実際には組合員以外の人でも、加入するための出資金を支払うことで契約できます。また出資金の費用も200円程度に抑えられています。

共済の種類

一口に共済といっても運営する団体により違いがあります。ここでは主要な共済をあげていきます。

都道府県民共済

県民共済・都民共済・府民共済・道民共済・全国共済という名称で運営されており、居住地か勤務地にあたる都道府県の共済に加入できます。

こくみん共済coop

以前は全労済という名前で知られていましたが2019年に名称が変わりました。元々は労働組合に加入している組合員向けの共済でしたが、現在は出資金を払うことで一般の人も加入できます。

コープ共済

食料品や日用品などを取り扱っている生活協同組合が、組合員向けに用意したのがコープ共済です。店舗や宅配の係員を通じて加入できます。ジュニア向けの共済商品が人気です。

JA共済

農業協同組合であるJAが運営する共済です。農家以外の人でも契約できます。JAは全国組織ですが、出資金などは各都道府県で異なります。

その他、企業や団体による共済もあります。今回は代表的な共済として都道府県民共済についてさらに解説します。

都道府県民共済の良いところ・メリット

メリット
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都道府県民共済のメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

①    掛け金が安い

入院と死亡保障がセットになった「総合保障型」、入院保障を手厚くした「入院保障型」、どちらも基本の掛け金は毎月2000円です。掛け金をプラスすることで、がんや三大疾病などへの保障を上乗せすることができます。代表的な商品である総合保障2型では、死亡保障の他に事故で入院した場合に入院1日目から5000円、病気で入院した時は1日あたり4500円を受け取れます。

②    掛け金が変わらない

都道府県民共済では18~65才、65~69才、70~85才というように加入者の年齢を大きく3つに分けています。掛け金はどの年齢層でも2000円が基本ですが、年齢によって保障内容が異なります。

③    割戻金がある

共済は営利目的ではありません。そのため1年ごとの決算において余剰金が出た場合、加入者に割戻金があります。割戻金があれば、共済の実質コストはさらに安くなります。ちなみに令和3年は、総合保障2型・年間2万4000円の掛け金に対して、全国平均で7934円の割戻金がありました。

都道府県民共済の注意点・デメリット

デメリット
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コストパフォーマンスがとても良い共済ですが、いくつか注意するポイントもあります。代表的な商品の総合保障2型を例に見ていきましょう。

①    死亡保障の金額が高くない

総合保障2型では18~60才までの死亡保障金額は交通事故で1000万円、不慮の事故で800万円、病気死亡で400万円です。家族の大黒柱の死亡保障の金額としては残念ながら不足しています。

②    60歳以降の保障内容が手薄に

共済は60才以上になると、医療・死亡共に、保障内容が薄くなります。ただし誤解のないようにお伝えすると、民間の生命保険でも年齢と保険金額で保険料が決まります。共済は設定されている掛け金が2000円であるため、年齢が上がったときの保障が薄くなるのはやむを得ないでしょう。

③    カスタマイズができない

運営コストを下げる・内容を分かりやすくするなどの目的もあり、共済は商品構成が非常にシンプルにできています。そのため死亡保障・医療保障ともに内容をアレンジすることができず、自分に必要な保障のスタイルに合わせにくいところがあります。

共済で保障を考えるなら?ライフスタイル別プラン

森で楽しむ家族
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共済には年齢や家族構成などにより必要な保障のスタイルがあります。筆者が考えるプランは以下の通りです。

①    独身の場合

死亡保障を備える必要がそれほど高くなければ、死亡保障と入院保障がパッケージになっている総合保障2型で良いでしょう。入院時の日額が4500~5000円で設定、死亡保障も最低400万円が付いているので最終整理資金や奨学金などの借入の精算などにも使えます。

②    お子さんがいる家庭の場合

まず大前提として死亡保障は共済以外で準備しましょう。共済では万が一の時の保障が不足しています。そのため死亡保障は民間の生命保険で準備し、医療保障が不足していたり、特定の年代の医療保障を手厚くする時に共済を使うといいでしょう。その場合は総合保障型・入院保障型、どちらでも良いと思います。また、がんの保障が必要であれば特約を付けましょう。

まとめ

毎月2000円で基本的な保障が準備できる共済はとても良い商品だと思います。特に独身の若年層にとっては、当面はこれ一つでも十分でしょう。ただし、一生涯の十分な医療保障や家族のための死亡保障を準備するには、共済だけでは力不足です。民間の生命保険も含め保障を準備する際は「何が目的で・いつまで・どれくらい必要か」を考えましょう。