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私の保険手厚すぎ?30代女性、備えるべきリスクと必要な保障は?

そなえる

私の保険手厚すぎ?30代女性、備えるべきリスクと必要な保障は?

【画像出典元】「HBRH/Shutterstock.com」

超高齢社会を迎えている日本。1年間にかかる医療費はどのくらいなのでしょうか?厚生労働省の国民医療費の概況(2019年度)を見ると、年間の国民医療費は44兆円を上回っています。30年前が20兆円程度なので、約30年で2倍以上増加しています。一人当たりにすると、年間約35万1800円です。

もちろん、健康保険に加入していれば個人の負担割合は原則3割ですし、さらに高額療養費制度もあります。そのため、その全額を負担するわけではありませんが、年齢を重ねるほど医療費の負担は増していくため、早めに準備しておくに越したことはありません。

30代女性が罹患しやすい病気は?

今回は「30代女性」にスポットをあて、かかりやすい病気や治療費などを紹介しながら、必要な保障を独身・既婚別に紹介したいと思います。

一般的に、30代女性は以下のような、女性特有の病気に罹患しやすいと言われています。
・乳がん
・子宮頸がん
・子宮筋腫
・卵巣のう腫 など

特に乳がんは、以下の表からも分かる通り、30代以降に罹患率が高まります。

出典:国立がん研究センター がん統計

2018年にがんに罹患した女性は42万1964人で、そのうちの約22%にあたる9万3858人が乳がんに罹患しています。なお、その次は大腸がんが多く、6万5840人と全体の約15.6%を占めています。

治療費は治療方法により大きく異なりますが、例えば乳がんで外科手術(全摘術・温存術)をした場合、3~10日間の入院で、約60万~70万円。放射線療法の場合、25回で約30万円とかなり高額な費用がかかります。(参考:宇都宮セントラルクリニック

子宮頸がんや子宮筋腫で子宮全摘手術となった場合も、乳がんの外科手術同様60万円程度かかります。

上記は医療費実額のため、実際の負担額は原則その3割、さらには一定額以上は負担しなくて良い高額療養費制度があります。しかし入院となると、医療費とは別に差額ベット代などもかかります。また、健康保険の適用対象外の高額な自由診療が治療の選択肢になることもあります。いずれにしてもある程度の額を女性特有の病気に対して備えておきたいものです。

ライフスタイル別、保険との付き合い方・見直し方

ハートを包む女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/sewcream」

厚生労働省の人口動態調査(2020年)の平均初婚年齢は男性31.0歳、女性29.4歳となっており、男女ともに30歳前後が結婚を考える1つの節目と言えます。生き方にはさまざまな価値観があり、結婚に対する意識も人それぞれですが、結婚して子供を産みたいと思う女性は一定数います。

では結婚し、子育てなどを中心に忙しく過ごす30代女性の保険はどうあるべきでしょうか?専業主婦の場合、共働きの場合、独身の場合に分けて、それぞれ上手な保険との付き合い方を紹介します。

〇夫が会社員、妻が専業主婦、子供がいる場合

家事や育児を中心とした生活の場合は、保険料が負担にならない程度の医療保険やがん保険で最低限備えておくと良さそうです。死亡保険についても、加入する場合はお葬式代の備えとして、最低限の金額でも良いと思います。

夫の収入で家計をやりくりしているため、万が一妻が入院しても大幅な収入ダウンとはなりません。ただし、入院中には夫が仕事をしながら家事や育児を担うこととなり、医療費以外にも予期せぬ出費が予想されます。入院日額5000円程度の医療保険などがあると安心です。十分な貯蓄がある場合は必ずしも保険に入る必要はありません。

〇夫婦共に会社員で共働き、子供がいない場合

夫婦共働きでともに会社員の場合、それぞれが雇用保険や健康保険、厚生年金の被保険者となり、病気の際の傷病手当金や万が一の遺族厚生年金など社会保障も手厚くなります。それゆえに生命保険や医療保険での備えが最も不要だと思われがちですが、注意も必要です。

子供のいない共働き夫婦の場合、自分たちに使えるお金が多いこともあって、比較的生活水準が高い傾向にあります。例えば便利で立地の良いマンションなどに住み、家賃(ローン)負担が大きいといった具合です。また、趣味や習い事、旅行などそれぞれの好きなことにお金を使い、結果として収入に対し金融資産が意外と少ないというケースも見受けられます。

そんな中、妻が乳がんで入院ともなれば目先の収支プランが大きく変わることになります。家計に余裕があるからこそ、医療保険とがん保険、それぞれの加入を検討してください。今後、子供をもうける予定がある場合も、医療保険に入っていれば、切迫早産など異常分娩の場合は給付金をもらうことができるので、そういった備えにもなります。子供がいない間はお互い大きな死亡保障はそれほど必要ないでしょう。

〇独身の場合

平均初婚年齢を過ぎた30代半ばから後半ぐらいになると、自分自身の価値観やライフスタイルを優先し、結婚はせず一人でのライフプランを描く人も多くいます。このような場合、極論ですが「保険は全く加入しない。」というのが理想です。

30代独身で会社員の場合、20代と比べて収入も多く、月に5万~10万円貯蓄している人も少なくありません。配偶者がいないことに対する将来の不安も感じながらしっかり老後のために貯蓄しようという意識が働いているようです。貯蓄残高も500万や1000万に達していることも多く、ある程度の健康リスクに対応可能です。

漠然とした不安から保険に加入することは、お金を貯めるペースを減速させてしまいます。よって、保険はどうしても必要性を感じるものだけにして、貯蓄や投資を優先するというスタイルがおすすめです。

医療保険の女性疾病特約を上手に活用

医療保険
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3つのケースを紹介しましたが、いずれの場合でもやっぱり医療保険があると安心。という方が多いのではないでしょうか?上手に医療保険に加入し、付き合いたいものです。

一般的な医療保険では女性疾病特約を付けることができます。女性特有の病気のみならず、全てのがんが対象になるなど、その特約がカバーする範囲はかなり広いものです。

「入院日額は1万円欲しい」という場合は医療保険の主契約自体を1万円にしがちですが、主契約を5000円、女性疾病特約を5000円にするのも効果的な方法です。

もちろん女性疾病特約に該当しない病気、健康リスクも想定されますが、事前に女性疾病特約の範囲を細かく確認してみてください。想像以上に保障の範囲が広いため、多くのケースで特約を適用でき、主契約と合わせて日額1万円(5000円+5000円)の給付が見込めます。何より主契約を5000円にすることで毎月支払う保険料を大きく抑えることができます。

また近年は入院の短期化に伴い、入院すれば日数に関わらず一時金を受け取れるタイプの医療保険が増えています。長年保険を見直していない方はこういった最新のタイプに見直すことも検討してはどうでしょうか。

正しく恐れて、適した対策を

30代女性にとって、罹患率が増える女性特有の病気に対しては不安もあると思います。しかし、不安だからといって、生命保険や医療保険で過剰に備えておくのではなく、健康診断などで定期的に自身の健康状態を把握しながら、まずは貯蓄でしっかり対応できる準備を進めましょう。