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女性特有の身体の不調に挑むフェムテック、注目のサービスとは?

経済とお金のはなし 織瀬 ゆり

女性特有の身体の不調に挑むフェムテック、注目のサービスとは?

【画像出典元】「LariBat-shutterstock.com」

近年、ベンチャー企業だけでなく大手企業も注目している「フェムテック(Femtech)」。

あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、政府(経済産業省)も補助金を拠出する実証実験を始めるなど、注目度が日に日に高まりつつあります。

そこで、今回の記事ではフェムテックの概要についてお伝えしたのち、いま注目されるフェムテック企業・サービスについてまとめてみました。

フェムテック(Femtech)とは

フェムテック(Femtech)とは、テクノロジーの力で女性の健康課題を解決する製品やサービスのこと。

女性を意味する「Female」と技術を表す「Technology」を掛け合わせた造語です。

フェムテックは比較的新しい概念であり、確立された定義が存在しているわけではありませんが、いま世界から注目を集めている市場の一つです。

生理用ナプキンやサプリメントをはじめ、女性の身体の悩みに寄り添った商品は以前から知られているものの、個々に寄り添ったサービスの提供までには至っていませんでした。

しかし、そこに新しい技術を活用することでひとりひとりの悩みに寄り添った解決策の提示が可能となったほか、女性が日常生活の中で抱える小さなストレスも解消できるようになったのです。

そうした流れを受けて、政府(経済産業省)も補助金を拠出する実証実験を開始するなど、今後ますます発展が見込める市場といえるでしょう。

フェムテックは大きく3つの分野に分けられる

フェムテック
【画像出典元】「stock.adobe.com/metamorworks」

フェムテックは、大きく以下3つの分野に分けられます。

  • 月経(生理)分野
  • 妊娠・不妊分野
  • 更年期分野

PMS(月経前症候群)やPCOS(多膿疱性卵巣症候群)、また月経(生理)は女性特有のものであり、それらが原因で引き起こされる身体の不調も人それぞれです。

また、女性特有の疾患の中にはそれらが直接的、または間接的に不妊症の原因となるケースも少なくありません。

そうした身体の悩みにフェムテック製品やサービスを利用することで、自身の体調を正確に把握できることに加え、不妊治療の負荷軽減にも繋がるでしょう。

なお、フェムテックの分野のうち、もっとも経済効果が大きいとされるのが「更年期分野」です。

女性の社会進出が取り沙汰されているものの、その中には更年期特有の不調に悩まされ、離職や昇進を辞退してしまう女性も少なくありません。

そうした現状に対し、フェムテックを活用することで離職率の低下が期待できるのはもちろんのこと、会社全体としても更年期に対する知識や理解が深まるでしょう。

ここまでで掲げた3つの分野以外にも、「ウェルネス(健康全般)」や「セクシャルウェルネス」といった分野においてもフェムテックの存在が大きくなっています。

私もフェムテックのお世話になっている一人

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私自身、高校生の頃からひどい生理痛に悩まされ、通学中の電車内で目の前が真っ暗になって、倒れ込んでしまったことも一度や二度ではありません。

その後、見かねた母に連れられて産婦人科を受診したところ、「多膿疱性卵巣症候群(PCOS)」と「子宮内膜症」と診断されました。

高校生の頃は生理不順と生理に伴う体調不良に悩まされ、結婚してからはPCOSが原因で不妊症に苦しむことに。

そうした中、私が今日までお世話になっているのが「ルナルナ」という女性のための健康管理アプリ。

ルナルナは携帯で簡単に生理前体温などを記録することができ、生理日の記録に役立つのはもちろん、過去の生理周期をもとに、次の生理予定日や、妊娠しやすい時期・しにくい時期を把握できます。

また、「ルナルナ体温ノート」では基礎体温がグラフで表示されることに加え、産婦人科を受診した際にデータを簡単に提示できるのも魅力的です。

私はルナルナをメインとして利用していますが、フェムテックはスマートフォンアプリを使ったサービスだけにとどまりません。

昨今では「生理用ナプキンを使わない吸収型のサニタリーショーツ」や「小型化したウェアラブル搾乳機」など、さまざまな商品が開発・販売されています。

いま注目されるフェムテック企業・サービス

屋上でリラックスしている女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/lielos」

ここでは、いま注目されるフェムテック企業とサービスについて見ていきましょう。

今回は以下の企業について、取り上げてみました。

  • fermata
  • エムティーアイ
  • ネクイノ

fermata

fermata株式会社は、「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をモットーにフェムテック事業を展開している会社です。

事業内容として、フェムテック専門オンラインストアの運営や専門家による無料セミナーの開催が挙げられます。

また、吸水ショーツや月経カップをはじめとした商品を実際に手に取ってみることができるポップアップストアを全国各地で展開。

日本のフェムテック市場をリードしていく企業として、いま注目を集めています。

エムティーアイ

株式会社エムティーアイは、私がお世話になっている「ルナルナ」を提供している会社です。

2000年から提供しているルナルナは、2021年に1700万ダウンロードを突破。サービス開始時と変わらず、いまもなお多くの女性の健康をサポートしています。

また、今日現在までに貯めてきたデータを元に開発した排卵日予測アルゴリズムは特許も取得しています。

ネクイノ

株式会社ネクイノは、女性の健康問題に特化したサービスを提供している会社です。

同社が提供する「スマルナ」は婦人科特化型オンライン診察プラットフォームとして知られ、医療機関と利用者をアプリで繋げています。

スマルナのアプリを利用することで、いつどこにいても、スマートフォンで医師の診察および専門家の相談が受けられ、ピルの処方も可能です。

産婦人科の診療時間内に通院することが難しい女性にとって、頼もしいサービスであるといえるでしょう。

まとめ

今回の記事では、「フェムテック」についてお伝えしました。

女性の身体の悩みをテクノロジーの力で解決するフェムテック。世界中で注目を集める一方で、日本ではまだまだフェムテック関連の法制度整備が十分ではない側面も指摘されています。

しかし、ここ数年の間に国が実態調査に乗り出すなど、フェムテックに対する意識が高まりつつあることもまた事実。そうした背景も後押しし、フェムテック市場は今後ますます目の離せない市場となるでしょう。