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大きく増えた資産を守り、安定運用していくポイントとは?

お金をとことん増やしたい人のための「資産運用」超入門 泉 正人

大きく増えた資産を守り、安定運用していくポイントとは?

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

資産を減らさない、「王道」の投資法とは?

CONCENTRATION(集中期)ステップで大きく資産を増やすことができたら、次のステップはPECDの「D」。D?なんだろう?

DIVERSIFICATION、つまり「分散」という意味で、「大きく増えた資産を守る」段階だよ。PLAN(計画期)で設定した資産額に到達したら、いよいよ「分散投資」をしながら資産を守り、安定させていく時期なんだ。

目標設定した資産額に到達したということは、「老後資金の不足リスク」がなくなったわけですもんね。もう心配せずに、安定した一生を送ることができるようになるのか~。

でも、ここからが重要なポイント。さらに資産を増やし続けることも1つの選択肢ではあるけれど、「老後資金の不足リスク」がなくなったということなら、次は「資産が減るリスク」に目を向けて、資産を減らさないような手法を取るべきなんだよ。そのために、ここでは資産を減らさない投資法の王道、「分散投資」を行っていくんだ。

なるほど。ここで分散投資を。

複数の種類に自分の資産を振り分けて、変動幅を減らし、資産が極力減らないような運用法が最も効果的だよ。

分散投資に欠かせない「アセットアロケーション」

とはいえ、どうやって資産を振り分けるのか…。

そうだね。集中投資の段階を終えて、資産を守るための「分散投資」の段階では、いくつかの運用商品を組み合わせて運用する「アセットアロケーション」(資産配分)の考え方が大切なんだ。

アセットは、日本語で「資産」でしたよね。アロケーションはなんだろう?

「配分」のこと。どの資産にどの程度の割合で投資するのかを決めるのが、アセットアロケーションなんだ。資産は、以前も話したことがあるけれど、次の6種に分けられる。

「投資信託」には、株式を対象にした投資信託、債券を対象にした投資信託など、さまざまなタイプの商品があるので、「投資対象」によって1~6の分類(アセットクラス)に含めよう。ちなみに資産をどのくらいの割合で持つかは、その人の資産状況やリスク許容度、運用目的などによって適切な配分が異なってくる。

1つだけに集中するより、いくつかに分散して持つ方がリスクを避けられそうですよね。

そうだね。だからたとえば、2,000万円の資産のうち、株式・債券・為替を3分の1ずつ持っている人もいれば、資産の50%を不動産で保有し、残りを株式と債券で25%ずつ、という持ち方をする人もいるよ。

えーっと、ぼくの場合は…。

もしも今、Kくんが銀行預金だけを持っているなら、6つのアセットクラスのうち、「5 現預金(為替)」を持っていることになり、住宅ローンがまだ残っていて自宅マンションと銀行預金があるなら、「3 不動産」と「5 現預金(為替)」を多く持っているということだよね。

適切な配分をするのに、何かポイントはありますか?

資産の種類(アセットクラス)ごとに、「値動き幅(ボラティリティ)が存在する。資産の種類ごとに値動きの特徴や相関性があるので、これらを知ることで、適切な組み合わせを、適切な配分で保有することができるようになるんだよ。

なるほど。分散投資の基本スタンスとして、この「アセットアロケーション」の考え方はとても大切だということなんですね。

ポートフォリオをつくってみよう!

Kくんは、「ポートフォリオ」って、何か知っているかな?

聞いたことはありますが、何かと言われると説明できないです…。

資産配分の戦略が「アセットアロケーション」。「ポートフォリオ」は、具体的な銘柄でアセットアロケーションを実践した結果のことを言うんだよ。

株式、債券、不動産、預金など、自分が所有している資産の組み合わせのことですか?

そう。それぞれの資産の内容や特徴を把握したうえで、どのような資産を、どのような配分で組み合わせれば実現できるのかを考えるわけ。

なるほど。

あくまでも1つの例だけど、「目標リターンが年利3%なら、預貯金30%、国内株式と国内債券を35%ずつ保有する」「目標リターンが年利5%なら、国内債券と海外債券を20%ずつ、国内株式と海外株式を30%ずつ保有する」というように組み合わせるんだよ。以下のような円グラフにすると、よりわかりやすくなるんじゃないかな。

 

わかりやすいですね!

DIVERSIFICATION(分散期)では、あえて高いリターンにチャレンジする必要はない。自分なりのポートフォリオをつくり、しっかり安定して、資産を守りながら増やしていけるように調整していくことが大切なんだ。

長期的な安定は、「家賃収入」で手に入れる

実は、「DIVERSIFICATION」(分散期)に入って安定している人は、多くの場合、不動産資産を保有しているんだ。

そりゃ、資産があればマイホームは手に入れますよね。

いやいや、不動産資産といってもマイホームではないよ。部屋を他人に貸して賃料を得るという、不動産投資としての不動産資産なんだ。

あっ、なるほど。

以前学んだように、不動産投資からの賃料収入は長期的に安定した収入となって、「個人年金」と呼ぶ人もいるくらい、毎月毎月、安定した収入をもたらしてくれるんだ。値上がり益を主な目的とする株式投資とは違って、毎月のキャッシュフローを目的とする不動産投資は、将来、仕事を引退したあとでも、仮に病気になったとしても、毎月毎月、家賃収入を運んできてくれる資産になるんだよ。

安泰ですね。

ただし、株式投資や為替取引のように少額で投資するのは難しく、マンションやアパートを購入するなら、最低でも数百万円くらいは元手が必要になってくるけどね。

そのためにも、今後不動産投資をしてみたいという人は、株式投資や為替取引でまずはまとまった資産をつくり、その後のステップとして不動産投資に取り組んでいくという順番が良いんですね。

そのとおり!

まとめ

CONCENTRATION(集中期)ステップで大きく資産を増やすことができたら、次のステップはPECDの「D」。「DIVERSIFICATION」とは「分散」という意味で、「大きく増えた資産を守る」段階です。

ここで大切なことは、自分の資産をアセットアロケーションに基づいて配分し、どうしたら目標を実現できるのかを考えながらポートフォリオを作ること。安定して、資産を守りながら増やしていけるように調整していくことです。

また、まとまった資産ができたら、不動産資産を手に入れて、安定的に家賃収入を得られるようにするのもひとつの手です。

次回は、「うまい話にだまされないために」について学んでいきます。お楽しみに!