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パナソニックも導入予定の週休3日制、私達の働き方はどうなる?

経済とお金のはなし 中新 大地

パナソニックも導入予定の週休3日制、私達の働き方はどうなる?

【画像出典元】「Khakimullin Aleksandr/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

これまで1週間のうち5日働いて2日休むという週休2日制でワークライフバランスを取ることが多かった私たちですが、今、週休3日制の動きが高まっています。今回は制度の概要や魅力、各企業の取り組みについてご紹介します。

増える週休3日制導入

2022年1月6日、電機メーカー大手のパナソニックは、希望する社員が選べる「選択的週休3日制」の導入を目指すことを発表 しました。副業や自己学習、地域活動など会社外での取り組みを推奨し、多様な働き方と働きやすい環境づくりを進めていく方針です。ちなみに現在当たり前になっている週休2日制の導入を他社に先駆けて取り入れたのは、同社の創業者、松下幸之助氏ということはご存知でしたか?

政府が掲げる「骨太の方針」

週休3日制は、ファーストリテイリングやヤフー、SOMPOひまわり生命保険など大企業を中心にこれまでも導入されてきました。そして2021年6月に政府が閣議決定した、「経済財政運営と改革の基本方針2021」、通称“骨太の方針”を受け、その動きがさらに進んでいるのです。

この方針では、脱炭素化によるグリーン社会の実現や民間企業らのDXの加速など、環境の変化や技術の進歩に対応する必要性が述べられると同時に、「人材」という言葉も頻繁に登場しています。

それはデジタル社会やSDGsに対応できる人材、そしてこれまで続けてきた働き方改革を止めない人材も指しています。

ここで政府は「リカレント教育(学びなおし)」の強化を進めようとしています。働きながら学び、自分の能力を高めていく人材を増やすこと、そうするための手段の一つが、選択的週休3日制なのです。

企業にとっては、働きやすい環境を整えることで社員の満足度向上と離職を防止できること、採用で優秀な人材を確保できること、副業や社外活動で得たスキルや経験を会社に還元してもらえること、人件費を見直せることなどのメリットがあります。

副業や兼業、資格取得などを前提に週休3日制は進むか

本業と副業
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100年以上の歴史を持つ塩野義製薬 も、週休3日制導入へ動きました。こちらは入社3年未満と管理職をのぞく、国内従業員の8割にあたる約4000人が対象。そして資格取得奨励のために年間最大25万円の補助制度を導入するなど、社員が自己研鑽を積むための支援を充実させています。

2020年には既に週休3日制を導入していたみずほフィナンシャルグループも、「社内外で通用する人材バリューの最大化」を掲げ、2019年10月に副業・兼業を解禁 しています。同社の制度は週休3日制で労働時間が80%に減少するのにあわせて給与も80%に減らす給与減額タイプで、「働く時間が減る分給料が減って生活が苦しくなる」という声もありますが、副業・兼業を解禁したことで、休んでプライベートの充実を図るか、副業でさらなるスキルアップ・収入アップを目指すかの選択肢ができたといえるでしょう。

海外企業は積極的、幸福度や生産性にも効果あり?

週休3日制において日本は後進国です。海外企業はすでに導入しているだけでなく、その結果をレポートするに至っています。

2021年11月にイギリスのデジタル専業銀行であるアトム銀行は、給与を維持したまま、週休3日制を導入。 生産性や顧客対応の質の低下はみられない上、メンタルヘルスとウェルビーイングの向上、環境への影響を軽減させられると期待感を寄せています。出社する人・時間が減少すれば、消費電力も減少しますから、環境にもやさしいといえるのです。

日本マイクロソフトは2019年に週休3日制を試験的に行ったところ、生産性が40%向上したとレポート。 会議が以前にも増して効率よく進むようになり、労働者の幸福度も上がったということです。
さらに同社は、週休3日制のメリットやデメリットを洗い出すとともに、推進のためにはITツールを上手に活用することで、組織のマネジメントとコミュニケーションをサポートする必要があることも説明。終わりには自社のグループウェアの宣伝も行うという徹底ぶりです。 

賛否両論も肝心なのは自分?模索続く週休3日制

微笑む女性
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週休3日制を導入する企業が増えていく中、労働者としては期待も不安もあるでしょう。企業の側も週休3日にした際の給与の扱いや取得の条件、そしてそれに付随する助成や副業・兼業解禁の有無などの模索が今後も続くでしょう。

しかし、この制度を上手く使えるかどうかは、働き手である私たちの手にもかかっているといえるのではないでしょうか。この状況をチャンスととらえて大きく動くのか、それとも極力リスクを避けてこれまで通り週休2日で働くのか・・・。

私たちの働き方は、またひとつ大きな岐路にあると言えるでしょう。