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感情を排除して投資…できない!?「応援投資」の理想と現実【初心者株投資36話】

ドタバタ!株投資ルポ うだひろえ

感情を排除して投資…できない!?「応援投資」の理想と現実【初心者株投資36話】

またも緊急事態宣言延長?大変な企業を応援したい気持ちはあるのだけど…

新年度も始まったと思ったらすぐに連休に入ってしまい、月日の流れの速さにびっくりしています。はて、二度目のコロナ禍連休、どうしましょう。私、昨年のGWはどうしていたっけ、と連載記事を読み返しておりましたら、あつ森やって、日産<7203>ナンピンしていました。

当時は子どもの休校も続いていてゲンナリしていたと思うのですが、今の私から見たら、もう少し先に希望があるはずだと、真っ直ぐに信じているように見えました。

いやあ、まさか1年後、こんな状況だとは。前回も書いた気がしますが、閉塞感もここまでくると目をそらしたくなりますね。

朝のニュースでも、「昨年のGWに比べて、今年はこんなに人出が!」なんて言っていて、おいおいみんなもうちょっと我慢しようよと思いつつ、でもちょっと気持ちは分かると思ってしまう私がいます。

私は、10年ほど前に夫と小さなカフェを運営していたことがありまして、昼間はランチ、夜はお酒も出していました。当時、リーマンショックによる外食控えや、近くの大きな病院が移転してしまったことなどがあり、テイクアウトに力を入れたり、夜のバー営業で客単価を上げたりと、策を練っては実行することを繰り返しておりました。

そんなお店を、もし今このコロナ禍でやっていたとしたら。
「厳しすぎるね」「そうだね…」夫と話して、少し想像しただけで、その大変さは手に取るように分かります。

小さなお店では、テイクアウトを充実させることも簡単にはできません。お店でのランチなら1000円でドリンクを付けてお腹いっぱいになってもらうことができましたが、テイクアウトは容器代も馬鹿にならず、量にも限界があり、どうしても出てしまう割高感、そして常連さんすら離れてしまうのでは、という危機感が。

店内も対策してパネルやシートを設置し、都度消毒などコストをかけ、なおかつ時短要請、しかも稼ぎ時の夜を、となったら・・・。

もちろん補償はありますが、その額で足りる店舗だけではないことも想像に難くなく、どうしてもう少し、困っている人たちを最大限カバーできるような仕組みを作ってくれないのかと、ヤキモキします。

そんな大変な飲食店を極力応援したいと、感染者数が落ち着いてきた頃には、家族で個室を利用しながら外食していましたが、だんだん私たちの方も、応援する余力がなくなってきました。そこに来ての、緊急事態延長のニュースは、自分たちだけじゃないところからの絶望感も手に取るように感じます。

ついに出た飲食店の反撃!応援したい、けども…

株価下がって悩む女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/pathdoc」

 そんなコロナ禍での飲食店の大変さに心を痛めていた頃、目についたニュースがありました。3月22日、外食チェーンのグローバルダイニング<7625>が、東京都からの時短命令は違法として都に対して損害賠償請求を行ったのです。

このニュースに、「いいぞ!」と思ったのは私だけではないようで、22日の株価終値248円が、翌23日始値268円、高値328円、その翌24日の高値は373円をマークしました。

私はいつもの通り、気付いたら値上がりしていたので買うチャンスを逃しておりましたが、それでも、低迷を続ける飲食業においての希望の光、しかも2~3万円代で購入できるという現状に、「投資で応援したい!」という気持ちが芽生えて、株価をチェックするようになりました。

25日には安値254円をマークすると、それを底値として300円を超えて値が戻ったかと思うとまた落ちてを繰り返し、新学期が始まってからはゆるゆると下降しておりました。4/23には安値243円をマーク。240円になったら買おうか、15%オフの株主優待もあるし、関東に行ったときに使おうか、県内にも新しいお店ができているらしいぞ?などとのんきに想像しておりましたら・・・。

連休前、4月30日に決算発表。これがなんと、前年同期の大赤字とは打って変わっての、増収、黒字転換。どうやら、時短要請に応じないというニュースが追い風となり、「夜も営業しているお店」として大繁盛。デリバリーやテイクアウトも評判になり、海外拠点の売り上げも倍以上になったのだそう。

・・・このニュース、肩透かしを食らった感があるのは、私だけでしょうか。「応援投資」しようとしていたのだけど、蓋を開けてみたら、「もう間に合ってます」と言われたような感覚です。このニュースを受けた連休明けの5/6相場では、前日終値256円から始値320円、高値335円と上がりました。連休前に買っていたら80円くらいのプラスにはできたかも。でもその後下がって終値302円。3月下旬のニュース後ほどの高騰は見せず、私の気持ちも、買うまでには盛り上がらず。

悔しいような、寂しいような、複雑な感情で、そっとブラウザを閉じました。それでも、「上がる」と思えば買えばいいし、もう上がらないと思えばやめればいいだけなんですけど。どうにも私は、感情が切り離せないでいます。

投資に感情を乗せるべきではないのか!?でもやっぱり…

寄付
【画像出典元】「stock.adobe.com/New Africa」

私がずっと保持している焼き鳥チェーン店「扇屋」のヴィア・ホールディングス<7918>も、コロナショック前は600円台後半だったのが、コロナショックで400円台にまで落ち、その後じわじわと落ち続けて200円台をウロウロ。

一時は上場廃止の噂も耳にしましたが、4月20日には「事業再生ADR手続の成立及び債務の株式下等の金融支援に関するお知らせ」が発表され、どうやら事業再生に向けて歩みを始めた模様。そのニュースで株価も一時回復しましたが、しかしそれもほんの一瞬で、連休前には200円を切ってしまいました。

ちなみに私の取得価格は655円で、マイナス4万5000円ほど。損切りを考えたことももちろんありますが、でも手放せていません。株主優待も駆使してテイクアウトも店内での飲食も利用しています。

「ここがなくなったら本当に悲しい」という気持ちが、株を保有し続ける理由になっていることは明確です。投資で利益を得るには、このような感情が邪魔になることもあるのでしょうが、自分のお金を使うのだからと、私はどうしても「応援投資」というスタイルになってしまいます。投資としての利益はありませんが、「株主優待がもらえる」、何より「お店が続いてくれる」というメリットはあります。

できれば私なんかが応援しなくても、このような国難には、国がしっかり補償してくれたら安心なんですけどね。私は私で引き続きできることをして、乗り越えられる日を夢見ること、忘れないようにしたいと思います。