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「自分らしく暮らす」地方移住、注目エリアと考えておきたいこと

経済とお金のはなし 中新 大地

「自分らしく暮らす」地方移住、注目エリアと考えておきたいこと

【画像出典元】「SurfsUp/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

コロナ禍を経験した日本で、都市部よりも地方に可能性を見出す人が増えています。
都市にあふれるヒトやモノに疲弊した人々は、その対極にいるといっていい地方に、自身のライフスタイルに新たな可能性を感じているのではないでしょうか。

ただ、受け入れる地方にも千差万別あることは理解しておかなくてはなりません。地方の魅力は、そこで暮らす人々・自治体・企業、そして自然環境あってのものです。それぞれの魅力や関係性を理解して初めて、「ミスマッチのない地方移住」が実現するのではないでしょうか。

それでは、今筆者が注目している、地方移住におすすめしたい魅力あふれるエリアをいくつかご紹介したいと思います。

あなたはどんな町に住みたい?注目エリア3選

海岸沿いの風景
【画像出典元】「stock.adobe.com/Daigo Hoya* / 保谷提吾」

人口減少、消滅可能性都市など暗いワードも多い地方ですが、自治体も企業も一体となって、そうした動きに歯止めをかけるべく動き出しています。ここでは、魅力あるエリアを3つ厳選してご紹介します。

官民一体で挑む!兵庫県淡路島

最初にご紹介するのは兵庫県淡路島です。

「花の島」と呼ばれる淡路島は、2020年9月より順次本社機能の移転を始めた、パソナグループの件で話題となりました。パソナは淡路島に移ることで会社のデジタル化を進めるだけでなく、淡路島の観光開発プロジェクトにも本腰を入れるものと思われます。

パソナは淡路島にアニメパーク「ニンゲンノモリ」をオープンさせるなど、新しい魅力を自ら作り出そうとしています。あと数年もすれば、こうしたテーマパーク事業が淡路島の一大産業になっている可能性もあるでしょう。

また、淡路島(洲本市)は情報発信にも積極的。同市のあわじ暮らし総合相談窓口は、専用のホームページを開設しており、これから移住したい人に向けた魅力を発信するだけでなく、移住相談員によるブログ、そしてすでに淡路島に移住した人の「移住者ブログ」も発信しています。
移住は、移住そのもののハードルを越える方法だけでなく、移住後の生活がどうなるかといった展望が見えるかどうかが重要です。その点で移住者の生の声はとても貴重といえるでしょう。

参考サイト:「あわじ暮らし総合相談窓口」https://awajigurashi.com/

始めるあなたを応援!大分県別府市

温泉地としても全国的に有名な別府市。しかし、皆さんは別府市をただの観光地として見ていませんか?私が皆さんに注目していただきたいのは、観光地としての別府市ではなく、居住地としての別府市です。
こんこんと湧き上がる地球の恵みを受けるこの町は、移住へ向けて動き始めた人を力強くサポートしています。

市のホームページには「別府移住生活別府ではじめる自分らしい暮らし方」と題したマガジンを公開しており、別府市の魅力だけでなく、すでに移住した人のプロフィール、移住のきっかけ、別府市への思いが記載されています。インターネットで閲覧できるコンテンツも雑誌のようで読んでいてとても楽しくなります。

また、短期間宿泊できる「おためし居住施設」、別府市ならではの温泉付き物件も含まれた「別府市空き家バンク」、移住の手順を示した「移住の手引き」などの案内も行われています。移住を検討する上で欠かすことのできない住居や、今後の計画の立て方について丁寧なサポートを受けることができるでしょう。

参考サイト:「別府市移住支援」https://www.city.beppu.oita.jp/sisei/ijyuu/detail1.html

まるで町全体がベンチャー企業!北海道上川郡東川町

北海道の中心、旭川市の隣にある東川町は、約20年で人口が20%も増加。現在人口8000人の町にはさまざまなコンテンツがあふれています。
私自身も元町民で、東川町の暮らしやすさ、元々のポテンシャルを発揮しようとする大胆な試みの数々には驚かされるばかりです。「離れてからもずっと心にある町、いつか帰りたい町」。そんな印象を持っています。

北海道最高峰である旭岳の麓にある東川町は、「写真の町」の名に恥じぬ幻想的な写真を、随所で撮影することができます。写真家のギャラリー、パン屋や喫茶店、ゲストハウスにアウトドアショップが点在し、道内外からの人足が絶えません。生活のなかに常にシャッターを切りたくなるような瞬間があること、そしてその写真を見ながらホッと一息つけたりすること。これこそが、人々が東川町に引き寄せられる所以かもしれません。

また、山の恩恵は”水”という形にもあらわれています。東川町の蛇口をひねって出てくる水は、ゆっくり時間をかけて流れてきた地下水。この地下水を使って作られるお米やパン、コーヒーの味は格別です。しかも、無料で使えるというのだから驚きです。

少し前には、岐阜の老舗である「三千櫻酒造」が、社長も社員も丸ごと東川町へ移転したことも話題となりました。ちなみに、新型コロナウイルスの拡大に伴い配布された、10万円の給付が全国最速であったことも話題に。

さらに東川町は、生まれた子どもたちに毎年違ったデザインの椅子を贈る「君の椅子」プロジェクト、お金とリターンが循環する「ひがしかわ株主制度(ふるさと納税)」、世界的な建築家である隈研吾氏と共同で家具のデザインコンペティションの開催など、まるで町全体がベンチャー企業のような多くのユニークな試みがあります。

参考サイト:「東川町に住んでみませんか?」
https://town.higashikawa.hokkaido.jp/settlingdown/

地方移住するなら、先に考えておきたい仕事と家族のこと

生活と仕事のバランス
【画像出典元】「stock.adobe.com/Andrey Popov」

魅力ある3つのエリアを紹介させていただきましたが、移住決断に至るには「仕事」と「家族」の問題を考えずにはいられないでしょう。

地方移住×仕事の問題

コロナ禍でリモートワークが推進されたとはいえ、収束後もこの動きが継続されるかどうかはわかりません。であれば、家から出社することを前提とした職業選択をするほうが無難で、生活圏内に仕事があるかどうかをまず確認するべきでしょう。

求人・転職サイトはもちろんのこと、市町村の公式ホームページにも求人情報が掲載されていることがあるのでチェックしてみましょう。また、地域の公民館・交流センターなどには求人情報だけでなく、住宅情報や地域の雰囲気を知ることができるイベント情報なども掲載されています。移住前に現地を訪れる際は参考にしてみてください。

地方は都市部よりも第一次産業の仕事が多く、人によってはそれが合わないと感じる場合もあります。もちろん、「こちらの方が向いていた」という場合も考えられますが、キャリアは何十年と続きます。

特に20~30代の若い世代は、自分の働き方や周囲の人間関係に良くも悪くも敏感なはず・・・。若さでいきなり地方へ飛び込むこともできるかもしれませんが、それによって自分を追い込むことがないよう、キャリア形成のパターンを複数持っておくことをおすすめします。

  • 正社員として積極的に働く
  • アルバイトから始めて町に馴染むことから始める
  • 生活が落ち着くまでは休職して、その後仕事を探す
  • 思い切ってフリーランスになってみる、起業してみる

など、いろいろなパターンがあると思います。移住とキャリア形成に絶対の正解はありません。自分自身の心と体、これからの人生設計に無理が無いように進めていくようにしましょう。

地方移住×家族の問題

すでに家族がいる人、これから家族を持つ予定がある人も含めて、移住はひとりの問題ではないことをよく考えておかなくてはなりません。
移住の理由に「田舎でゆっくりと子育てをしたい」を挙げる人は多いですが、その一方で行政や医療のサポートは、都市部の方が充実していたりアクセスしやすかったりする場合も考えられます。非常に難しい問題ではありますが、理想と現実のバランスを上手くとることができなくては、家族全体の生活を心もとないものにする恐れもあるのです。
移住を検討の際は、候補地の入念な下調べを徹底すること、そして家族全体のライフステージに応じて、どんな生活をするのかというイメージを膨らませておくことが欠かせません。

私の暮らし方を考えることから始まる移住

日差しの中でジャンプする人々
【画像出典元】「stock.adobe.com/Art Stocker」

地方への移住支援が活発になったぶん、移住を検討する側は「結局どこがいいのかわからない」という問題も生じるようになりました。どのエリアも自分たちの町に人を呼び込むためにたくさんの魅力を語り、たくさんの支援制度を用意するようになったからです。

そんなときはまず、「私はどんな暮らしがしたいのだろう?」と問いかけることから始めましょう。仕事を優先するのか、住環境を優先するのか。食なのか、自然なのか、そこで出会う人なのかといった具合に・・・。
自分の理想とするライフスタイルを顧みることが、移住成功の近道といえるでしょう。

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