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20代フリーライターが実践!「車中泊ワーケーション」のススメ

経済とお金のはなし 中新 大地

20代フリーライターが実践!「車中泊ワーケーション」のススメ

【画像出典元】「shutterstock.com/oOhyperblaster」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

各地で「ワーケーション」という言葉が聞かれるようになり、仕事も観光も楽しみながら、流動的に働く試みが広まりつつあります。受け入れに名乗りを上げるのは、温泉街やテーマパークといった、コロナ以前に人が多く集まっていた場所。
熱海では、「温泉」「旅行」「ミーティング」をキーワードにしたラグジュアリーホテル、『ISHINOYA熱海』が開業。都内では、よみうりランドが観覧車を貸し切るサービスを開始するなど、ユニークで新しい挑戦があちこちで始まっています。

今回はそんなワーケーションのなかでも、車中泊とフリーランスの働き方を組み合わせた上で、「旅行と仕事の両方を実践する方法」を筆者の経験をもとに紹介します。

そもそも、なぜ仕事と併行してまで旅行(観光)がしたかったのかというと、「大好きな旅行を、仕事を理由に諦めたくなかった」「アドレスホッパーの人は両立できると言っていたけれど、自分でやってみないと本当かどうかわからない」と思ったからです。同時にその可能性を確かめることは、今後の自分の働き方やライフスタイルの幅を広げることにも役立つのではないかと感じました。

観光も仕事も楽しみたい!移動型フリーランス

木立の中でくつろぐ人
【画像出典元】「stock.adobe.com/Andrey Armyagov」

冒頭で紹介した、ホテルやテーマパークを軸にしたワーケーションを”滞在型”とするならば、私が実践したワーケーションは”移動型”といったところです。
私は車中泊をしながら移動することで、自分の拠点を固定することなく毎日観光と仕事の両方を楽しんでいました。

2018年~2019年の間に実践したのですが、中でも特に移動期間・距離の長かったものを紹介します。

私が実践したワーケーション
・ 移動期間:2019年9月中旬~10月初旬 計約3週間
・ 移動場所:北海道と東日本
・ 移動距離:約4500km
・ 宿泊方法:車中泊
・ 職業と仕事内容:ライター/コピーライター(記事執筆/キャッチコピー制作・SNS運用等)

このワーケーションでは、移動も宿泊もすべて車で行いました。
快適なホテル泊よりも車中泊を選んだのは、「お金を節約したかったから」というのもありますが、移動に自家用車を使用することで、「交通機関での移動に使う時間を短縮したかったから」という理由があります。
自分の車であれば、移動も食事も睡眠も、すべてがシームレスに車で完結するのです。

私は居住地の岡山からまずは京都の舞鶴港へ向かい、新日本海フェリーで北海道入り。北海道をまわった後は、再びフェリーで青森入り。その後東日本を南下する形で、岡山へと帰ってきました。
ワーケーションが注目を集め、キャンプがブームになっている今、アウトドアや旅行が好きな方は、車中泊をしながら働くことも視野に入れてみても良いのではないでしょうか。

フリーランスが車中泊をしながら働く方法とは?

夜の車中泊
【画像出典元】「stock.adobe.com/David」

それでは実際にどのように私が車中泊をしながら仕事や観光をしていたのか、どのようなポイントに注意していたのかを時系列でお伝えします。

出発前:1日の計画を立てる

効率のよい“車中泊ワーケーション”のためにはこの出発前の約15分がとても重要です。
まず確認するのは、その日行きたい観光地と宿泊地の確認です。
観光情報誌やWebサイトを見ながら、景勝地や文化施設、飲食店などをチェック。全部まわるのは難しいので、優先順位をつけてどこを通るかを決めます。
その後は宿泊地を確認します。私は道の駅やキャンプ場を利用しました。
その際に参考したのが、カーネル株式会社の書籍全般と以下のWebサイトです。
参考:カーネル株式会社みんなでつくる 車中泊マップ

車中泊は道の駅によっては許可されていない場合もありますし、可能であっても「駐車場が平坦ではない」「幹線道路が近く騒々しい」「トイレ等の設備に乏しい」といった場合があるので、事前の調査が必要不可欠です。
これらは移動中の時間・体調の関係で変更を余儀なくされる場合もありますから、候補を複数見繕っておいて、GoogleMapのラベル機能で管理していました。

行きたい観光地と宿泊地が決まったら、その日こなすべき仕事のノルマを確認。これは職業によって違うと思いますが、ライターの私の場合は記事の構成・執筆等を、納期と照らし合わせながら、いつまでにどれくらい終わらせるべきかを毎日確認していました。
観光と仕事を併行すると、計画全体に狂いが生じる可能性も高いです。そのため、毎日数分でも確認する時間をとり、スケジュールの管理・調整をしなくてはなりません。

さて、1日の計画と確認が終わったら出発進行!安全運転で走り始めます。

移動:チャンスがあれば仕事をする

当たり前ですが、移動中は運転に集中します。目的地に安全に移動することだけを考え、移動中に仕事ができそうな公園・カフェを見つけた場合は立ち寄りました。特に山間の道の駅やキャンプ場を宿泊地に選んだ場合、インターネット環境に乏しいことがあります。納期直前にインターネットになかなかつながらず、やきもきした経験がありました。
「仕事はできる時にやっておく」のがポイントです。

観光:仕事は一旦忘れて楽しむ!

観光中は仕事を忘れて、しっかり美しい景色や美味しい食べ物を堪能!
移動に車を選んだから行ける場所もあります。長期間で計画すれば、今回のように北海道をぐるりとまわってみたり、東日本を車で南下したりといった、普段の旅行では難しいことも実現できます。

ワーケーションはワーク(労働)とバケーション(休暇)を組み合わせた言葉ですが、それが常に混在している必要はありません。むしろ私はオンとオフの切り替えをはっきりさせることが、ワーケーション成功の秘訣と考えます。

休憩:昼下がりは危険!疲れを感じたら休もう

朝から運転、昼は観光と動いてばかりいると、どうしても昼下がりに眠くなってくることもしばしば・・・。疲れを感じたら無理せず休みます。
近年は設備の整った道の駅が増えており、広い駐車場や休憩スペース、コンビニやスーパーを併設している場合も多いです。

疲れたままの運転は危険ですし、後々の観光・仕事にも響きます。無理せずに停まれるところで停まって、休憩・仮眠をとるのがベストです。

到着:暗くなったら宿泊地へ!短期決戦で仕事する

北海道や東北など、どちらかといえば市街地を避けて山間を移動していた私にとって、夜間の運転はとても危険。道は険しく灯りも少ないため、暗くなってきた頃には宿泊地に到着するよう調整していました。

私がメインに泊まっていたのは道の駅ですが、なかでも温泉施設やコンビニが併設されている場所を選ぶようにしていました。そこで早めにお風呂と食事を済ませて、車にこもります。ここからやるのは仕事です。

1日のすきま時間で終わらなかった仕事を、夜8時~11時頃にかけてこなしていました。観光中がオフであれば、こちらは完全なオン。車内に簡易机を設置して、出発前に立てた計画に基づいて短期決戦を挑みます。
それでも終わらなかった場合は、寝ずに続けるのではなく、翌日に持ち越して再度スケジュールを調整しました。車中泊で移動しながら観光も仕事もこなすには、睡眠時間を確保することが重要なのです。

就寝:支度を整えてしっかり眠る!

仕事が終わったら支度を整えて、しっかりと眠ります。
私は車の窓に折り畳める目隠しを貼って、座席にマットと寝袋を敷いていました。言うまでもないですが、平坦な寝床と暖を確保できなければ快適な睡眠はありえません。
駐車時には、なるべく静かで平らな場所に停めること、季節に応じた寝具をそろえるようにしました。
ちなみにすでにご紹介したカーネル株式会社の書籍のほかにも、YouTubeで便利グッズの紹介や車中泊時の注意点を紹介した動画がたくさんありますので、興味のある方はチェックしてみてください。

また、運転・車中泊時に危惧されるのが、長時間同じ姿勢でいることで血行不良が起こる「エコノミークラス症候群」です。
厚生労働省の以下のサイトなどを参考に、きちんと対策を講じる必要があります。私も眠る前は、ストレッチと水分補給を欠かさず行っていました。

参考:エコノミークラス症候群の予防のために

やってみると意外とはまる?移動型ワーケーション

質やスピートが上がり、コストが下がる
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車中泊をしながら観光も仕事もするのは、とても忙しくはありますが楽しいことでもあります。経験を重ねることで、より賢くよりスマートに両立することができるようになります。

特にフリーランスの場合は、長期で日程をおさえやすいでしょうし、「PCさえあればどこでも仕事ができる」という方も多いのではないでしょうか。
もちろん、会社にお勤めの方でも場合によっては、社外での仕事が認められることもあるでしょう。「ワーケーションなんて・・・」「車中泊なんて・・・」と言わず、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

私がこの車中泊ワーケーションを実践してみて思ったのは、「限られた環境・時間の方が、仕事に集中できる」ということです。発端となるのは、やはり観光の時間を確保するためかもしれません。
ですが、その過程で

・ これまでの仕事のルーティンの無駄を発見できた
・ 自分のリソースと仕事との配分調整がうまくなった
・ 働き方の選択肢が増えたことで心に余裕が生まれ、クライアントへの感謝の気持ちや自分の仕事に対する自信も高まった


といった収穫がありました。これらは車中泊ワーケーションが終わった後にも、私のキャリアの拠り所になっていると感じます。

ぜひ皆さんも車中泊ワーケーションを実践してみて、ご自身の働き方改革やスキルアップ、これからのキャリア形成に活かしてみてはいかがでしょうか。
はまる人はどっぷりとはまってしまう可能性大ですよ!