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子ども3人目は無理?子育てと老後のお金に不安/30代育休ママ悩み

FPに聞きたいお金のこと 白浜 仁子

子ども3人目は無理?子育てと老後のお金に不安/30代育休ママ悩み

【画像出典元】「Mladen Zivkovic/Shutterstock.com」

Wallet+ユーザー様からいただいた「FPに聞きたいお金のこと」に、FPの白浜がお答えします。今回は3人目を産むかどうか迷う、育休子育て中のママからの相談です。子供好きで頑張り屋の女性を想像しながら答えさせていただきました。

共稼ぎ、共家事、共育児の時代 お金はどうやって稼ぐのが正解?

35歳共働き女性Hさんの相談内容


夫40歳、私35歳、長男4歳、長女1歳の家族4人です。共働きの育休中で来年4月に復職予定。あともう1人子供が欲しいですが、2人の教育費や自分たちの年齢、老後資金を考えると諦めるのが賢明なのか悩んでいます。家族4人の場合と5人になった場合、今後どのくらいお金が必要なのかが知りたいです。

30代共働きHさん、子育てにかかるお金はいくら?

仲の良い4人家族
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3人目が欲しいけどお金のことが気になるとのこと。私事で恐縮ですが、私には長女(大4)、長男(大2)、次男(高3)の子供がいます。中高生の頃はハイエナのような食べっぷりで、お米をいくら炊いても足りないくらい。食費が落ち着くと今度は学費で、今は、莫大な教育費流出中!です。

子供にお金をかけようと思えばいくらでもかかるものですが、今回は、参考として政府が公表している調査結果をもとに分析することにしましょう。

内閣府による調査に、第1子にかかる1年あたりの教育費や養育費について記されている資料があります。それをもとに試算すると、保育所児~中学生までにかかる費用は、

●保育・幼稚園児・・・約121万円×7年=847万円
●小学生・・・約115万円×6年=690万円
●中学生・・・約155万円×3年=465万円

です。

この資料には高校と大学のデータがないため、中学生の養育費(教育費以外の部分)に文部科学省が公表している教育費や塾・習い事代を加えて試算することにします。

●高校生・・・((養育費)約100万円+(教育費・公立)約45万円)×3年=435万円
●大学生・・・((養育費)約100万円+(教育費・私立文系)約114万円)×4年=856万円

これら全てを合計すると、なんと3233万円にもなります。

インターネットによる子育て費用に関する調査 内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/mokuji_pdf.html

子供の学習費調査 文部科学省
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001135827&tclass2=000001135828&tclass3=000001135829

私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031.htm

子供が増えてもかかるお金が倍になるわけではない

教育費
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ただ、この統計には、2019年から始まった「幼児教育無償化」が考慮されていません。対象となる3歳以上の保育料を考慮すると、もう少し負担は少なくなります。

注意が必要なのは、このデータを鵜呑みにする必要はないということです。なぜならこの3233万円は、第1子の子育てにかかる費用の調査だからです。子供が増えても1人目と同じようにお金がかかるというわけではありません。

例えば、おもちゃや洋服、文房具などはお下がりや兄弟でシェアすることもありますよね。それに、保育所に通園する子供が2人いる場合は2人目の保育料が減免されたり、3人いる場合は無料になったりする場合もあります。

また、児童手当は通常3歳~小学6年生までは月1万円支給されますが、第3子は小学校卒業まで月1万5000円が給付されるため、受け取り総額は第2子までの児童手当より60万円多い260万円にもなります。(第3子とみなされる基準など詳細は各自治体にご確認ください)

子育て費用の負担減はまだあります。2020年(令和2年4月)からは、「私立高校授業料実質無償化」が始まり、年間で最大39.6万円負担が減る予定です。所得制限はありますが、共働きで子供が多いほど基準は緩和されるため、条件に当てはまる可能性は高まります。さらには今後も少子化対策としてなんらかの負担軽減策があるかもしれません。

(参考)
私立高校授業料実質無償化のリーフレット(文部科学省HPより)
https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf

あくまで単純計算ですが、仮に子供が1人増えた場合、幼児教育無償化で177万円(3万7000円/月の4年分)、児童手当260万円、私立高校授業料実質無償化で119万円(39.6万円/年の3年分)の給付や免除等を受けると、合計550万円超にもなります。これは私立大学4年間の学費に相当します。その他にも洋服や玩具などのお下がりなどを考えると、もっと費用負担は減るとも考えられます。(上記は考え方を示したものです。支給要件など細かい部分は考慮していません)

子供が増えると子育て費用も増えるので心配になる気持ちはとてもよくわかります。でもそれ以上に自分の分身である家族が増えることは、何にも代えがたい喜びが得られ、人生がさらに彩り豊かなものになっていきます。

私は、ライフプランの話をするとき「カレーライス」に例えることがあります。子供の頃、カレーライスを食べるとルーとご飯のどちらかが余ることがありませんでしたか? そして、成長するに従って同時に食べ終えられるようになったのではないでしょうか。これは、カレーとご飯の全体量を見渡して食べることができるようになったからです。

マネープランも同じで、ライフプランと必要なお金の全体が見渡せるようになると、子供が3人になったとしても、計画的にお金を使えば意外と生活できるものです。

案ずるより産むがやすし。頑張ってください!

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