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会社員の副業の種類から必要な税金、確定申告しないとどうなるか、20万円ラインの注意点などまるわかり (2ページ目)

ふやす 中村 賢司

2. 副業すると収入に応じてかかる税金、いくらまで確定申告不要か

副業をして収入を得ると、その収入に応じて所得税や住民税がかかります。

これらの税金の計算はその年の1月1日から12月31日までの所得を合算して行いますが、副業をしていないサラリーマンの場合は、会社が年末調整を行ってくれるので自分で確定申告をする必要がありません。

しかし副業をして20万円以上の所得を得ている場合は、翌年の2月15日から3月16日までに自分で確定申告をする必要があります。

確定申告とはその年の所得を確定させて所得税を計算し納税するもので、この所得に応じて翌年課税される住民税の金額も決められます。

副業にかかる税金はその副業の種類によって異なってきます。次に代表的な副業の4つの例を挙げ、どのような税金がかかるのか見ていきましょう。

2-1.  代表的な副業の4つの例

1. 給与所得(アルバイト、パート)
平日の夜や週末の空いた時間を利用して時給制のアルバイトをした場合は給与所得となり、本業の給与所得と合算して税金の計算を行います。所得税の申告をする確定申告のときには会社に知られることはありませんが、住民税の結果が勤務先へ通知されるので、その際所得が高くなっていれば、副業していることが会社に知られることもあります。

2. 雑所得(アフィリエイト、インターネットオークションなど)
一時的なネット収入は雑所得になるのが一般的です。しかしその取得が営利目的や継続的な事業であれば、次に述べる「事業所得」となります。雑所得は、その取得を得るためにかかった必要経費を差し引くことも可能です。

3. 事業所得(クラウドソーシング、手作り品の販売、ユーチューバー、起業など)
事業の継続性があれば雑所得ではなく事業所得となり、確定申告をする際、税制優遇を受けることができる青色申告を選択することもできます。また赤字になった場合は、本業の所得と収支を相殺することができるので所得税や住民税が軽減されることもあります。

4. 不動産所得(アパート経営、マンション経営)
貸付できる独立した室数が10室以下の不動産所得であれば事業所得とはならず不動産所得となります。10室以上ある場合は事業とみなされますので、事業所得です。また不動産所得でも赤字が出た場合は事業所得同様本業の所得と合算して税金を計算しますので、所得税や住民税が軽減されることもあります。

事業所得と雑所得の違いについては、その副業が営利目的や継続して行われるものであれば事業所得となり、一時的な小遣い稼ぎ程度であれば雑所得となります。

その他にも、譲渡所得には配当所得や株式投資、雑所得にはFX取引や仮想通貨の取引などが含まれます。

2-2.「年間20万円までなら確定申告は不要」の注意点

副業の所得が年間20万円までであれば所得税はかからないといわれています。よって確定申告する必要もありません。

この20万円は、事業所得等の場合は収入に対して税金がかかるのではなく、必要経費を差し引いた所得に対して税金がかかります。

収入 − 必要経費 = 所得

つまり、副業によって得た収入から必要経費を差し引いた額が20万円以上になると確定申告が必要です。よって必要経費のレシートや領収証などは大切に保管しておいた方がよいでしょう。いくら必要経費がかかったのかもノートなどにしっかりとメモしておきましょう。

ただ、副業での収入が20万円以下であっても、医療費控除や住宅ローン控除などを受ける場合は、確定申告が必要です。

さらに、本業と副業がどちらも給与所得の場合は、20万円以下の収入でも確定申告が必要です。本業の年末調整が終わって源泉徴収票をもらったら、副業の源泉徴収票と一緒に確定申告を行うようにしましょう。

3. 副業の確定申告のやり方、確定申告しないとどうなる?

税金
【画像出典元】「iStock.com/supawat bursuk」

副業の所得について、今まで述べてきたとおり継続性のあるものについては事業所得として、一時的なものであれば雑所得として確定申告を行います。

確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの収入と、それにかかった必要経費を差し引いて所得を確定させて本業の給与収入と合算して所得税を計算し直し、翌年税務署へ申告することをいいます。

確定申告の時期には各税務署が相談センターを設けていることが多いのでそちらへ行かれるとわかりやすく説明してくれます。また国税庁のホームページでWebサービスを利用し簡単に確定申告書を作成することができるのでそちらも利用されるとよいでしょう。

ここで一例を挙げます。
インターネットオークションサイトで30万円の売上があった場合の申告について
必要経費が商品購入代金15万円の場合は、30万円− 15万円= 15万円となり、20万円未満となりますのでこの場合確定申告の必要はありません。この必要経費を差し引いても利益が20万円以上となった場合、確定申告が必要となります。

逆に利益が赤字だった場合はどうでしょう。

売上10万円、商品購入代金15万円の場合、5万円の赤字となります。この場合は確定申告をして本業の給与収入と所得を合算することで納めすぎた税金の還付を受けることができます。赤字の場合は20万円を超えていなくても確定申告はした方がよさそうです。

3-1. サラリーマンが副業するときの注意点

サラリーマンが副業をして所得が多くなった場合は、所得税が増えるだけでなく翌年の住民税も増えることになります。

副業を考える上で懸念されることのひとつに、「会社にばれるかばれないか」ということがあるのではないでしょうか。実はこの住民税が増額されていると、会社にばれる可能性があります。

よって確定申告をする際、申告書の第2票の「住民税に関する事項」の欄を「自分で納付」に〇をつけておけば会社に通知はいきませんので、会社に知られることはないでしょう。しかし100%ばれないということではありません。副業による収入がアルバイトなどの給与所得の場合は、会社が従業員の住民税額を納める「特別徴収」になりますので、この場合会社に副業がバレてしまう可能性は高くなります。

3-2. 副業で確定申告をしないとどうなる?

副業の確定申告をしないと、無申告加算税や重加算税など、本来納めるべき税金以上の金額を納めなければいけなくなる可能性もあります。

無申告加算税
 各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。 なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。(国税庁のHPより

重加算税
重加算税とは、国税通則法68条に規定されているペナルティです。 事実の一部を隠ぺいし、または、仮装した場合に課せられます。重加算税の税率は、追加本税の35~40%です。(国税庁のHPより

延滞税
税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます(国税庁のHPより)。

4. 会社員でも「副業」の相談が増えてきている

最近は「働き方改革」の影響で残業が減り、数年前より給料が減ったという方が増えてきました。そういった方から相談を受けるのがこの「副業」です。今まで述べてきたとおり20万円を超えなければ申告の必要がなく会社にばれることもありませんが、それを超えるといろいろなリスクが発生してきます。

よって私が皆さんにアドバイスしているのが、まずは会社の副業規定を確認することです。会社が副業を認めているのであればどんどん働いて収入を上げればいいですし、確定申告をしても何も怖いことはありません。

しかし会社が副業を認めていない場合は、ばれないように副業をするのではなく、そもそも副業は行わない方がよいでしょう。

私のお客様で、ご主人が勤務する会社が副業を禁止しているため、奥様と共同で経営している事業で得た収入を奥様の収入にしている人がおられます。収入が低かったうちはそれでよかったのですが、そのうち収入が高くなってきたので扶養家族から外れ、税金や社会保険料の負担が発生してしまったというケースもあります。

本業に影響がない程度の副業であれば私はどんどん行うべきだと思いますし、またご自身のスキルアップのためにいろいろな経験をすることはよいことだと思うので、副業をする場合には勤務先とよく相談して行うようにしてください。

5. 副業についての考え方を整理し、情報収集を行おう

副業にはどのようなものがあるのか、また、本業の会社に副業を申告していない場合、どのように会社にばれるのかなど、お分かりいただけたでしょうか。また税金のことに関しては、確定申告が必要なケースもあれば、税金がかからないケースもあります。

商売の基本は現金出納にあります。家計簿や子供のお小遣い帳のようにいくら入ってきていくら出ていったのかを記録することは基本の「き」です。これを把握しておかなければ確定申告もできません。

これからの時代、副業を解禁する企業が増えてくると思いますので、いろいろなアンテナを張って収入源を増やしていくとよいでしょう。ただお小遣い稼ぎという意味合いではなく、ご自身のスキルアップにつながる副業はどんどんやるべきだと私は思います。常日頃からどんなことが副業としてできそうか、勤務先の副業に対する姿勢はどうか、など情報収集しておきましょう。

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副業についてのQ&A

Q 住民税で副業がばれるって本当ですか?

はい、本当です。副業の確定申告をした場合、会社で行った年末調整より所得金額が増えることがあります。その場合、翌年会社に通知される住民税も増額されてきますので、給与計算担当の人が見れば直ぐに分かるでしょう。もしバレないようにするには前述したとおり、住民税を自分で納付するよう選択してください。ただし100%バレないとは保障できません。

Q 副業をするときって会社に申告しないといけないの?

はい、もちろん申告しないといけません。会社には就業規則というものがあり、副業を禁止している会社もあれば解禁している会社もあります。それは副業により本業に悪影響を及ぼすという考えなのでしょうが、副業を禁止している会社に黙って副業をしており、ばれたときに解雇をいわれても何も反論できません。副業を検討中の人は必ず会社に申告するようにしましょう。

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