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会社にナイショの副業は住民税でバレる!リスクと対策法は?

ふやす 白浜 仁子

会社にナイショの副業は住民税でバレる!リスクと対策法は?

【画像出典元】「iStock.com/kzenon」

今は一つの会社に勤めているけれど、副業やダブルワークをしたいと考えている人は多いでしょう。しかし一方で、企業側の事情もあり、副業を推進または容認している企業は約2割ともいわれています。会社にバレないように、内緒で副業をしている人もいるかもしれませんね。そこで今回は副業にまつわるリスクやその対策、副業で得た収入にかかる税金や確定申告が必要なケースについてご紹介します。
 

副業やダブルワークは法律で禁止されてはいない。でも…

働くことに関するルールは労働基準法で定められており、そこには副業を禁止するような定めはありません。また、厚生労働省が示している就業規則の見本となるモデル就業規則(平成31年3月)にも

1 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる

と示されています。つまり副業は認められるべきものです。しかし一方で以下のようにも表記されています。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に会社に所定の届出を行うものとする

その中で、以下のようなケースでは、会社は副業の禁止や制限ができるようになっています。
・労務提供上の支障がある場合
・企業秘密が漏洩する場合
・会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
・競業により企業の利益を害する場合

つまり、副業をすることは問題ないが、本業に支障が出たり、背任行為となったりするような副業はタブー視されているわけです。このような禁止事項等が作用し、実際にはダブルワークをしたくてもできないという人もいます。

副業をしていることのリスクや、ばれたときのリスクは?

仕事に追われる男性
【画像出典元】「iStock.com/Gearstd」

副業を持つとトータルの労働時間が増えることから、健康管理がより重要になってきます。体調を壊してしまえば、本業・副業ともに身が入らない、または仕事自体ができなくなるということも考えられます。つまり充実した生活を送るために始めた副業が、反対の状況となってしまうリスクがあるわけです。

また、競合する企業で副業をする場合は、自然と本業で得た知識や技術、情報を活かした労働提供となるでしょうから、場合によっては情報漏洩などで会社に不利益を与えるかもしれません。そのことによって会社を解雇されたり損害賠償を請求されたりするということがあっては大変です。副業先の選定には細心の注意を払わなければなりません。

住民税のせいで内緒にしていた副業がバレる・・・!?

副業が会社にばれなければ大丈夫と思っている人もいるでしょう。ですが隠しながら副業を続けることは容易ではありません。場合によっては、住民税から分かることもあります。会社員で副収入がある人は、原則、確定申告をして所得税の過不足を精算する必要があります。税務署は申告内容を市町村に通知し、今度は住民税が計算されます。最終的に住民税額が職場に通知され、住民税から本業以外で収入があることが分かってしまうというわけです。

このように給与天引きで納める方法を特別徴収といいますが、それ以外に市町村から届く納付書を使って金融機関の窓口などで納める普通徴収という方法もあります。普通徴収にするには、確定申告のときに住民税の納付方法を選ぶ欄で普通徴収にチェックをするだけでいいのですが、市町村によっては、会社員はすべて特別徴収というケースもあり対応はさまざまです。特別徴収となると前述のように副業が分かってしまうきっかけになるかもしれません。

他にも、副業をしているところを勤め先の人に見られたり、SNSなどWEBを通して分かってしまうこともあります。つまり、内緒にできないかもしれないという不安が常に付きまとうことになります。

副業で得た収入は確定申告が必要?税金はいくらかかるの?

副業で得た収入は、所得20万円以内なら確定申告は不要です。つまり所得税はかかりません。給与所得者は、主となる収入である給与以外に20万程度のちょっとした副収入なら大目に見てくれるという考え方のようです。ただ、所得税はかからなくても住民税の納付義務はあるため、別途市町村に申告する必要はあります。

一方、所得が20万円を超えると自分で確定申告をして、副収入も含めた総収入額に対して税金を納めることになります。仮に副業での所得が30万円で所得税率が10%(税率は5~45%と幅がある)、住民税率10%が適用される人なら、合計6万円の税金を納めるということになります。

副業は会社に交渉できる

イキイキと働く女性
【画像出典元】「iStock.com/metamorworks」

筆者はクライアントであるフリーランスの女性から副業に関する相談を受けたことがあります。面談時にふと「以前から憧れていた会社が地方採用の求人を出している。やりがいや収入面から多くの魅力を感じるが、今の仕事も大事にしたい」と漏らしたことから始まりました。

「ダメでもともと、まずは問い合わせてみては?」という何気ない筆者の一言をきっかけに、求人先の企業とフリーランスの仕事を認めてもらいながら社員になることはできないかという彼女の交渉が始まりました。そもそも基本的に副業を認めていない会社だったため、最初は聞く耳を持ってもらえませんでした。しかし、その会社への想いやこれまでの実績、フリーランスとしての仕事がどんな効果をもたらすのかなどを熱心に伝えたことで重い扉が開き、特例として副業を認めてもらうことになりました。

このケースは、もともと会社員だった人が副業を模索することとは逆のパターンですが、副業を認めてもらったという点では同じことです。彼女の人生を更にキラキラとしたものに変える大きな出来事として印象に残っています。

前半で紹介した厚労省のモデル就業規則は、今でこそ副業を前向きにとらえているような内容になっていますが、以前は副業の禁止が示されているものでした。多様な働き方が認められるような時代へと変化している今、副業により収入が増えることだけではなく、社外で得られた知識やスキルによって、本業がより実り多いものになる可能性もあるでしょう。

起業を考える人であれば、リスクを伴う起業をまず副業からスタートすれば、本業で生活を支えながら徐々に事業を加速できます。副業を会社に内緒で始めることは推奨できませんが、副業は私も賛成です。この記事が副業に関する情報のひとつとして参考になれば幸いです。