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教育費と老後が重なり家計が心配!どうすれば?/20代・40代夫婦相談

FPに聞きたいお金のこと 内山 貴博

教育費と老後が重なり家計が心配!どうすれば?/20代・40代夫婦相談

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今回のFP相談は40代と20代の年が離れたご夫婦からの相談です。「教育費」と「老後」が重なるということで大きな心配材料になっているようですね。

20代と40代、年の差夫婦の相談内容

40代前半夫(会社員)、20代後半妻専業主婦、子供2歳、0歳の4人家族です。年の差婚なので、教育費と老後が同じ時期になり心配です。もし可能であれば3人目の子供も望んでいますが、金銭的に苦しい状況にならないかと迷っています。( Dさん・女性20代 )

「教育費」と「老後資金」両面からプランニング

一般的に教育費において最も負担が大きいのが大学進学です。
20年後、子供が大学生として学んでいる頃に夫が60代に突入することになります。もし今後3人目が生まれた場合は、ちょうど大学受験や入学の頃に重なる可能性もあります。

今は60歳以降も働く人が増えていますが、仮に60歳で夫が退職していた場合、3人分の大学生活を支えながら自分たちの老後へと向き合わなければなりません。Dさんが感じている不安もよく分かります。ただ、各種社会保険制度や老後・教育資金準備に適した制度などを理解することでその不安も軽減されると思います。

60代前半を支えてくれる雇用保険制度

仲の良い年の差夫婦
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夫が60代に突入すると、企業勤めの場合、いったん退職して再就職するなどさまざまなケースが想定されます。場合によっては年齢がネックになり、収入が大幅に減少することも想定されますが、このような際は「高年齢雇用継続給付」が心強い存在となります。高年齢雇用継続給付とは、雇用保険に通案して5年以上加入していたことを条件に、60~65歳の再就職者を支援する制度のことです。

たとえば60歳以降も勤め先を辞めずに働き続けたものの、給料が大幅に減ってしまった場合、最大で給料の15%を受け取ることができます。もし、大幅な給料の減額となり月額20万円となった場合でも、その15%に該当する3万円(月額)が65歳まで受給されるのです。(簡易な説明です。詳細はハローワークのホームページ等でご確認ください)

会社員対象となりますが、一度会社を辞めて再就職した場合は「再就職給付金」という制度があります。「雇用保険は失業した際にもらえる制度」というイメージを持つ人が多いと思いますが、実はそれ以外にもこのように嬉しい制度があるのです。早い段階で各種制度を確認することをおすすめします。

夫はiDeCo(イデコ)、DさんはつみたてNISAから始めてみては

Dさん家庭の現状では、夫が60代前半の頃に学費もピークを迎えそうです。今のうちからできる対策としては個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)やつみたてNISAなどを検討してください。
iDeCoは60歳まで引き出すことができませんが、掛金が全額所得控除となるため税金の負担を軽減しながら将来の資産形成を行うことができます。加入方法や掛金額などは夫の会社がどのような退職金制度を導入しているかによって異なりますので、会社に確認をしてみてください。

今は子育て中で、今後も3人目の出産となれば、Dさんはしばらく働くことが難しいかもしれません。ただ、つみたてNISAなど税制メリットのある制度でコツコツ将来に向けて投資をすることを検討してみてください。子育てが落ち着いたタイミングでiDeCoを検討してみてもいいと思います。

iDeCoは60歳まで引き出せないというデメリットがありますが、子供の教育費のピークは夫が60歳以降になるため、タイミングとしては適しているといえます。
iDeCoもつみたてNISAも長期積立を行っていくことになります。投資の知識などを身につけることで不安解消の一助となりそうです。

年の差夫婦がトクする年金制度もある?

年金
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「年の差があることで将来が大変」と思われているかもしれませんが、年の差が離れているからこそ大きなメリットを享受できる場合もあります。それが老後の年金制度の1つ「加給年金」です。

加給年金は年金制度の家族手当のようなもので、1つのケースとして、夫が65歳に達した際に、65歳未満の配偶者がいた場合、年39万1000円の加給年金が給付されます。現在夫が42歳でDさんが27歳だとします。夫が65歳のとき、Dさんはまだ50歳。約15年もの期間、夫の年金額が加給年金で上乗せされることとなります。

65歳以降、夫が手厚い年金を受け取りながら、Dさんは仕事。こういった状況であればしっかり子供を独立させ、お二人の老後準備もはかどりそうですね。

ただし、加給年金を受け取るには、夫が20年以上厚生年金に加入し、その逆にDさんが20年以上厚生年金に加入していないといった諸条件を満たす必要があります。このような制度を視野に入れると、Dさんが子供を育てながらどのような働き方をするか?ということが大きなカギとなりそうです。

お金の知識や支援制度の情報を早めに得ながら対応を

Dさん夫婦の詳細を把握できてないため、上記は一般的な話です。「ぜひ3人目を」と筆者が促す立場にはありません。ただ、今回のように視野を広げることで不安が軽減され、3人目の出産を前向きに検討していただければと思います。

子育てや教育の支援制度についても、情報を得ておきましょう。幼児教育無償化の制度があったり、3歳から小学生までは通常1人1万円(月額)の児童手当も3人目からは1万5000円にアップします。奨学金制度も給付型制度(返還不要)が創設されるなど充実してきています。ぜひ、このようなお金の情報にアクセスしながら、これからのことをゆっくり考えてみてください。