お金

9月の通知を見逃すな!年金が増える「年金生活者支援給付金」最新情報

そなえる 白浜 仁子

9月の通知を見逃すな!年金が増える「年金生活者支援給付金」最新情報

【画像出典元】「iStock.com/itasun」

親の生活費が心配なmymo(マイモ)読者に朗報です。2019年10月から年金が少ない人に最高6万円の上乗せをしてくれる制度「老齢年金生活者支援給付金」が始まります。該当者には案内が届きますが、手続きをしなければ受け取れないので注意が必要です。では早速、給付金額や対象者、受給資格などを具体的に見ていきましょう。

●年金だけでは足りない事実、国民・厚生年金の見込み額を徹底シミュレーション

●40代独身女性の家計簿/「貯金がない、どうしよう…」老後のお金がすごく不安

2019年10月に始まる「老齢年金生活者支援給付金」とは

「老齢年金生活者支援給付金」とは、文字通り年金生活者をサポートする給付制度です。消費税の引き上げによる税収増を財源に、2019年10月から低所得者の生活扶助が始まります。障害基礎年金を受けている人や遺族基礎年金を受けている人が受けられる「障害年金生活者支援給付金」や「遺族年金生活者支援給付金」も同時に始まり、対象者は970万人とみられています。今回は、老齢年金生活者支援給付金について詳しくみていきます。

「老齢年金生活者支援給付金」の対象者や年齢、受給資格は?

仲の良い母と娘
【画像出典元】「iStock.com/szefei」

「老齢年金生活者支援給付金」の受給資格は以下の3つです。

(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
(2)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が、老齢基礎年金満額相当(約78万円※)以下であること
(3)同一世帯の全員が市町村民税非課税であること

※ 毎年度、老齢基礎年金の額を勘案して改定。平成31年度は77万9300円。

つまり、65歳以上で年金をもらっている人のうち、公的年金とそれ以外の所得の合計が77万9300円以下で、かつ、家族全員が市町村民税非課税の場合が対象ということです。たとえば年金だけで暮らしている夫婦や、収入が少ない子供と暮らしているケースが考えられます。
また、この制度は各個人に適用されるので、要件を満たせば夫婦ともに給付を受けることができます。

なお、77万9300円を1円でも超えたら給付がゼロという訳ではありません。87万9300円以下なら一定の掛け率のもと「補足的老齢年金支援給付金」が受給できるようになっています。

支給額はいくら?具体的にシミュレーション

次の(1)と(2)の合計額が支給されます。

(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
5000円(※1)×保険料納付済期間(月額)/480月

(2)保険料免除期間に基づく額(月額)
約10800円(※2)×保険料免除期間(月額)/480月

(※1) 毎年度、物価変動に応じて改定
(※2) 保険料全額免除・3/4免除・半額免除期間の場合は、老齢基礎年金満額(月額)の1/6。保険料1/4免除期間の場合は老齢基礎年金満額(月額)の1/12(約5400円)。

事例でみてみましょう。
たとえば、年金を20歳から60歳までの40年間すべて納めていたという場合は、次のように計算します。

(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
5000円×480月/480月=5000円

月当たり5000円の給付金がもらえます。年金は偶数月の15日(銀行休業日の場合は前営業日)に振り込まれますが、給付金も同日に2か月分の1万円が振り込まれます。この場合、年間の受取総額は6万円です。10年受け取ると60万円、20年受け取ると120万円にもなります。

免除の期間がある人は、次のように計算します。納付済期間が350月、全額免除期間が50月という場合でみてみましょう。

(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)
5000円×350月/480月=約3645円

(2)保険料免除期間に基づく額(月額)
1万800円×50月/480月=1125円

(1)と(2)を合計すると、月当たり4770円支給される計算です。
計算式から免除期間の方が手厚いことが分かります。これは、現役時代の所得水準が低い(=貯蓄が少ない)ということへの配慮かと思われます。

9月頃届く、案内と請求書類を見落とさないで手続きを!

書類申請
【画像出典元】「iStock.com/RichLegg」

2019年4月1日時点で老齢基礎年金の受給者のうち対象となる人には、9月頃に日本年金機構から案内と請求書類が届きます。見込額が記されているので確認し、必要事項を記入のうえ返送します。年金と同様に給付金も後払いとなるため、初回は10月分と11月分が12月の年金振込日に受け取れるということになります。2019年4月2日以降に老齢基礎年金を受給し始める人は、年金受給のための書類(裁定請求書)にこの老齢年金生活者支援給付金の請求書類も同封されるようです。

手続きをするにあたっての注意点は、案内が届いたら遅くとも年内には返送すること。提出が遅れると制度開始の2019年10月分から受け取れなくなります。もし年明けの2020年1月以降に請求した場合、請求月の翌月からの支給になってしまいますので早めの手続きが必要です。

●年金だけでは足りない事実、国民・厚生年金の見込み額を徹底シミュレーション

●40代独身女性の家計簿/「貯金がない、どうしよう…」老後のお金がすごく不安

親が「老齢年金生活者支援給付金」対象者かどうかを確認して速やかな手続きを

これまで「老齢年金生活者支援給付金」の対象者や支給額などについてお伝えしてきました。消費税は逆進性ともいわれます。今回の2%増税にともない低所得者の生活負担が大きくなるということなどから食料品は8%のままで購入できるなどの軽減税率が導入されますが、合わせて今回紹介した年金の上乗せ制度も始まります。親が該当するかもしれないというmymo読者は、親に制度の概要を伝えてあげると喜ばれ、手続きのし忘れを防ぐことにも繋がることと思います。