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住宅ローンの「保証料」とは何の費用?一括と分割どっちが損しない?

かりる 権藤 知弘

住宅ローンの「保証料」とは何の費用?一括と分割どっちが損しない?

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いま、住宅ローンの金利は史上最低水準レベルが続いています。この低金利を生かしてマイホームの購入や、借り換えを検討している方も多いようです。さて、住宅ローンの見積もりを確認したときに「保証料」という項目に目が留まったことはありませんか?

今回は住宅ローンの見積もりに出てくる保証料について、そもそも保証料とはどういうものか、支払い方法は一括と分割どちらがいいのか、そのメリットやデメリットを説明し、実際に料金の比較もしていきましょう。

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そもそも住宅ローンの保証料とは?

契約書
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数千万円の住宅費用を自己資金で用意することは難しいため、大部分の人は銀行などの金融機関から借り入れをして返済する方法で家を購入しています。

住宅ローンを契約するときに手数料や印紙税などの諸費用が発生しますが、その中で高い割合を占めるのが住宅ローンの保証料です。住宅ローンの契約には金融機関の多くが、住宅ローン保証会社との契約を必須にしています。この保証会社に支払うお金が保証料です。

もともと住宅や自動車など購入金額の大きな物のローンを組むときには連帯保証人が必要でした。契約者が返済できなくなってしまった場合、連帯保証人が返済を肩代わりするという仕組みです。多くの場合、連帯保証人には親族を充てることになりますが、連帯保証人を準備できなければ住宅ローンを組むことができません。そのため保証会社が連帯保証人の代行をすることで住宅ローンを組めるようになったのです。

保証会社と契約することで、もし万が一、契約者の支払いが難しくなった場合に保証会社が融資先にローンの残債を支払います。このことによって金融機関は貸し倒れのリスクを減らして住宅ローンの融資ができるようになります。

仮に返済不能になって保証会社が肩代わりしたとしても、返済をするのが融資先から保証会社に代わるだけですので、決して借入金が「チャラ」になるわけではありません。

保証料の支払い方法とそのメリット・デメリット

比較する男性
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繰り返しになりますが、住宅ローンを組む場合には保証会社との契約が必須です。この保証料の金額を決める要因はいくつかありますが、金融機関のほとんどは借入金額と返済期間で必要な金額を決めています。また支払い方法は二つです。

(1)一括前払い型・外枠方式
借り入れの際に借入金額や借入期間に応じて計算された保証料を一括で支払う方法です。そのため「一括前払い型」とか、住宅ローンの返済金額に組み込まないため「外枠方式」と呼ばれます。メリットとしては、後述の「利息組み込み型」と比較すると保証料の金額が少なくなることです。デメリットは住宅ローンの契約時にまとまった資金を準備しなければならないことです。

(2)利息組み込み型・内枠方式
利息組み込み型は契約時に保証料を支払う必要はなく、毎月の返済に上乗せして保証料を支払っていきます。この場合は融資の金利に0.2%程度の上乗せをされていることが多いようです。メリットは借入時に保証料用の資金を準備する必要がないことです。デメリットは返済期間が長期にわたるため、金利と合わせた保証料の総支払額が「一括前払い型」と比較して多くなることです。

住宅ローンの保証料、一括払いと分割払いどちらがおトクか支払い方法を比較!

気になるのは保証料の支払い方法がどのように違うのか、総支払額や毎月の支払いにどれぐらいの差が出るのか?だと思いますのでシミュレーションしてみました。

試算条件
・借入金額 3000万円 借入金利 1.0% 返済期間 35年
・一括型は返済期間35年間保証料として融資金額100万円につき2万1033円を支払い
・利息組み込み型の場合は上記の金利に0.2%の上乗せ
・途中で金利の変動はなく、繰り上げ返済も行わないものとする
・福岡銀行のHPより上記の融資条件を引用し試算
https://www.fukuokabank.co.jp/personal/service/juutakuloan/shinki/gaiyou/


上記のように総支払額で比較すると「一括前払い型」の方が少なくなります。ただし、前払い保険料の約63万円をローンの契約時に別途用意する必要があります。

住宅の購入は何かとお金が必要ですから、「利息組み込み型」を選び、手元の資金を確保しておいて引っ越し代や電化製品の購入に充てるという選択もできます。総支払額の多い・少ないだけではなく、その他の資金計画と合わせて考えると良さそうです。

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住宅ローンの保証料支払い法はライフプランとともに考えて

大部分の金融機関では住宅ローンを契約するときに保証会社と同時に契約する必要があります。全期間固定金利のフラット35や一部のネット銀行など保証料が不要な金融機関もありますが、保証料が必要でない金融機関で住宅ローンを契約する際は、融資のための事務手数料が保証料の必要な金融機関よりも高いことが一般的です。

総支払額で考えると、金融機関にもよりますが、金額としてはほぼ同じです。違いとしては、保証料が必要な「保証料型」は繰り上げ返済をすると未経過分の保証料が戻ってくる場合がありますが、保証料のない「事務手数料型」の場合にはありません。

ローンの保証料を考えるのは大部分の方にとって、おそらく一生に一度でしょう。実は一括型or組み込み型、保証料ありor保証料なしで事務手数料高め、どの方式を採ったとしても毎月の支払額に大きな差は正直なところありません。

保証料のタイプで悩むよりも、住宅ローンや教育費・老後資金を含めたライププランを作り、どのように住宅ローンを返済していくかを考えることが重要です。