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日本人は損してる?投資が普及していない3つの理由

ふやす 内山 貴博

日本人は損してる?投資が普及していない3つの理由

【画像出典元】「iStock.com/F3al2」

「貯金しかしていないんです」
「投資を始めたいと思っているのですが、なかなか行動に移せなくて」

FP相談者の方からよくこのような話を聞きます。

最近ではNISA(ニーサ)やiDeco(イデコ)といった税制優遇制度をきっかけに投資に興味を持つ人が増えていますが、それでもまだまだ預貯金重視という人が多い印象があります。

日本の金融資産の割合を海外と比較してみたら・・・

日米欧比較預貯金率

日米欧の家計の金融資産データを比較しますと、米国人の預貯金比率が約13%、欧州圏が約33%に対して日本は約52%となっています。

グラフ

しかも日本の場合、預貯金の次に多いのが満期金などを保証してくれる保険年金商品。いわば8割近い大半のお金が、投資からかけ離れている状態です。

日本人が投資にお金を使わない理由は?

なぜ投資にお金が向かないのか?私なりにFP相談者からの声をまとめますと、以下が要因だと考えられます。

1)    投資の必要性を勉強していない
2)    社会、経済的背景
3)    預貯金が重要で、子どもが生まれたら学資保険と両親や祖父母から教えてもらった

1) については、多くの方々が口にされます。

投資について勉強する機会がなかった。投資は難しい、コワイものという感覚を拭い去れないようです。

これは要因2)と重なるところですが、住宅ローンや子どもの教育費などと向き合っている30代や40代を中心にした方々、筆者もそれに該当しますが、その世代の人たちが子どもだったころは1980年代前後。日本の経済成長率も高く、金利も高い時期。投資をしなくても近所の銀行などにお金を預けておくと、最も安全でそして魅力的な利回り。投資の必要性を学ぶ機会もなく、社会人となりました。

ただし、社会人になったあたりから風向きが変わり、日本経済は低成長・低金利。少子高齢化で将来の年金への不安が高まり、リストラや非正規雇用など仕事への不安が増幅した局面も。今までどおりの家計管理が通用しなくなり、投資の必要性を徐々に感じてきたものの、何からやっていいか分からない。そんな時、最も身近な“先輩”である両親や祖父母からどのようなアドバイスをもらいましたか? これが3)の要因につながります。

この世代の両親や祖父母は、バブル景気やその後のバブル崩壊なども経験しており、

「投資など危ないものには手をだしてはいけないよ」
「しっかり貯金しなさいよ」
「子どもができたら学資保険に入るんだよ」

幼稚園
【画像出典元】「iStock.com/maroke」

こういったアドバイスをされている方が多いように感じています。もちろん、このようなアドバイスは親心からであり、とてもありがたいことなのですが、今の社会や経済情勢を鑑みますと、もう少し的確なアドバイスが必要かも。

例えば、学資保険は、現在の超低金利の影響で、ご両親が加入していたものと比較すると大きく異なります。一方、教育費は年々上昇傾向にあり、低い利回りの学資保険のみで将来の学費を準備することには疑問を感じます。

ただし、多くの方が、深く考えず教育費の準備といえば学資保険となりがちです。このように脈々と受け継がれる「お金への価値観」が、投資に向かう大きなハードルになっていると思われます。

20代を中心に金融への新しい考えが広まってきた

スマホで投資
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ただ、最近は20代を中心に少しずつ変化が見受けられます。

「金利って、0.00・・・%でほとんどつかないですよね?」
「老後の年金がどうなるか分からない。自分で対策をしなければ」
「仮想通貨などお金の在り方が大きく変わりそう」

こういった考えの若い人たちが増えており、「どうやって投資の勉強をしたらいいですか?おススメの本はありませんか?」といった質問を受ける機会が多くなりました。

今まさに、投資が普及しはじめている局面にあるのかもしれません。ぜひ若い方が中心となり、次の世代へ投資の必要性を伝えていく、いえ、上の世代である親御さんなども巻き込み、投資について向き合ってほしいものです。

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