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フリーランスも退職金を!節税にもなる「小規模企業共済」

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フリーランスも退職金を!節税にもなる「小規模企業共済」

c-George/iStock/Thinkstock

フリーランスで働く人や店のオーナー、会社の経営者にも、いずれやってくる引退の日。その日にそなえて、退職金の積立を始めませんか? 節税対策にもなるうえに、困ったときの事業資金にもなるのが小規模企業共済。そのメリットやデメリットをご紹介します。

法律で整備された「経営者の退職金」制度

退職金 老後の暮らし

出典元:「PhotoAC」

穏やかで楽しい老後のためには、退職後の備えが必要ですね。小規模企業共済は、フリーランスで働く個人事業主や小規模な会社の役員が、廃業したり退職したときに備えて、生活資金を積立てるための仕組み。法律に基づいている経営者のための安心で確実な共済制度で、「経営者の退職金」制度と呼ばれています。 

共済事業の運営は、経済産業省所管の独立行政法人である中小機構(中小企業基盤整備機構)。小規模な個人事業や会社を対象としていて、常時の従業員数20人以下の個人事業、または会社の経営者や役員が加入できます。ただし、商業やサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は従業員数に5人以下という制限があります。また、従業員数5人以下の弁護士や税理士などの士業法人では、社員がそれぞれ加入できます。

申し込みは中小機構と業務委託契約を締結している商工会議所、青色申告会なとの委託機関、または都市銀行など金融機関の本支店の窓口になります。

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小規模企業共済の3つのメリット

共済の積立 退職金

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小規模企業共済には3つのメリットがあります。

1)掛金の全額が所得から控除される
毎月の掛金は1000円から7万円までの範囲内で500円刻みで設定できます。その全額が小規模企業共済金等掛金控除として所得から控除されます。老後資金を貯めながら節税できるのは、大きなメリットですね。

2)契約者貸付制度がある
払い込んだ掛金合計額の範囲内で、事業資金等の貸付を受けられます。一時金に資金繰りが厳しいとき、傷病災害で急にお金が必要なとき、自分や家族の福祉のために住宅改修をするときなど、担保や保証人を用意せずに資金を借りることができます。

3)掛金の最大120%相当額を受け取れる
共済金は予定利率で算出される基本共済金と運用状況で異なる付加共済金の2本立てになっています。掛けた月数と掛金によって受け取れる金額が変わりますが、長期間掛け続けると、最大120%相当額を受け取れます。受け取り方法も一括・分割・併用と選べます。

4)受け取った共済金は退職所得になる
会社の退職や個人事業の廃業、65才以上になったときなど、一定の要件を満たすときは税法上、退職金と同じ扱いになります。一括で受け取ると退職所得(分割で受け取ると公的年金と同じ雑所得)とみなされるので、事業所得に比べて税金が軽くなります。

知っておきたい2つのデメリット

デメリットについても知っておきましょう。

1)掛けた月数が短い場合は元本割れする
掛金納付月数が6カ月未満(任意解約の場合は12カ月未満)では、掛け捨てに。退職や年齢などの要件を満たさない任意解約の場合、12~ 84カ月未満で解約すると戻ってくるお金は掛金の80%で、240ヵ月(20年)未満までは元本割れします。65才以上になるか、退職・廃業する日まで長期間掛け続けるのがおすすめ。

2)共済金を受け取った年に税金がかかる
共済金を受け取った年にはまとめて税金がかかります。とくに退職や廃業、年齢などの要件を満たさず任意に解約して解約手当金を受け取る場合は、一時所得扱いになるので注意が必要です。


長く掛け続ければ続けるほど得をする小規模事業共済。途中で掛金の増減もできますから、フリーランスで働く人、商店や工場を経営する人は、検討してみてはいかがですか。詳しくは中小機構のホームページで確認してください。

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